概要
古来より、地震が起きる際に動物や気象になんらかの影響がでると考えられてきた。そのひとつに、日本ではナマズが地震を起こすという伝承がある。よって自然の現象から地震を予知しようという動きが自然に発生することになる。
宏観異常現象とは、それら自然の異常現象を観測することで地震を予知しようとするものである。
有名なところでは以下のとおり
- ナマズが暴れる、クワガタが冬眠から目覚める、といった生物の異常行動
- 通常漁獲されない魚が捕獲される、または見つかる。(リュウグウノツカイが有名)
- クジラやイルカが浜辺に打ち上げられる。
- 竜巻状の雲が発生する(いわゆる地震雲)
- 夕焼けや朝焼けが異常に赤い
- イオン値が異常上昇する
- ラジオの電波が通常届かないところにまで届く
など
注意事項
もちろんこれらは科学的な根拠はまったくない。これらが観測されたからといって必ず地震が発生するとは限らないことを留意しておくことを進める。
実際地震学者もそういったことで地震を予知することはしていない。(なんらかの因果関係はあるかもしれないが、直接地震が原因になった現象とは考えていない。)
地震と関連している可能性が高いケース
但し、宏観異常現象の中には地学的に考えても比較的にどの異常現象よりも地震との関連性が高い可能性のある現象も存在する。
- 地下水・温泉・井戸水等の異常
1つ目は、地下水・温泉・井戸水等の異常だ。具体的にはどのような現象なのかというと、
- 水位の低下・上昇
- 温度の低下・上昇
- 間欠泉・水柱・温泉が噴出・停止する
- 地下水・温泉・井戸水の濁り
など、複数存在していることが確認されている。
どのようなメカニズムで生じているか不明だが、過去の地震記録を見てみても、大地震前後にこのような異常現象は起きていることが確認されている。実際に過去の記録を見ると、
- 過去の南海トラフ巨大地震発生前後を見ると、西日本各地で温泉が止まるなどの記録が残っており、特に道後温泉は発生後に例外なく湯が止まるなどの異常が現れていること
- 過去の三陸沖などにおける海溝型地震でも、北海道・東北・関東地方の各地で井戸水の渇水や濁りなどの異変が生じていること
などが確認されている。
実際に過去の地震を例に挙げると、
- 関東地震(関東大震災)発生前には、静岡県にある熱海の大湯間欠泉が止まる
- 1943年の鳥取地震では、地震発生前に温泉が真っ白に濁ったという報告がある
- 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)前後には、北海道・東北・関東地方などの各地で温泉の水位が低下するなどの異常が現れている(主な例は、岩手県の五葉温泉)
等が挙がる。つまり、地下水・温泉・井戸水等に異常が現れた場合は、地下活動についても考慮しなければならず、実は地震などの前兆現象として現れている場合がある(勿論、全てが地震の前兆現象とは限らない)。仮にそうであった場合、自然現象である以上、前兆現象は年単位で起こることもあるため、長い目で見る必要があると言える。
- 地震発光現象
2つ目は、地震発光現象である。専門家の間でも宏観異常現象を根拠に迷信として片づけてしまいがちだが、実際のところどうなのか、というと、
- 既に松代群発地震をきっかけに実在する現象と判明している
- 古文書には、過去の大地震の際にも「空が明るくなった」等の記載が多くある
などが理由なため、「地震発光現象は実在しない」「地震発光現象は迷信」は、誤りである。
しかし、発光現象の中には、現在の時代では電線のショートによるアークと呼ばれる現象が発生したものも多くあるため、判別するのが難しい。
そのため、宏観異常現象を根拠に、何でもかんでも頭ごなしに否定して、人為的要因が原因と思い込むこともよくないと言える。