概要
2021年は西海岸デルマーで行われたブリーダーズカップ。毎年芝の精鋭牝馬たちが集うBCフィリー&メアターフに、この年日本から挑戦する1頭の牝馬がいた。春シーズンに香港QE2で牝馬三冠馬デアリングタクトや香港ヴァーズ馬グローリーヴェイズを退けたラヴズオンリーユーである。これにより欧米と日本から12頭で争われることとなった。
現地勢は連勝中だったウォーライクゴッデスを筆頭にロデオドライブSを勝ったゴーイングトゥベガスや、きょうだいに3年前の覇者シスターチャーリー及び凱旋門賞馬ソットサスを持つマイシスターナットらがエントリー。欧州勢は前年覇者アウダーリャや英二冠牝馬ラブなどがエントリーした。
12頭建て、うちG1馬6頭という陣容となった。
出馬表
馬番 | 馬 | 年齢 | 騎手 |
---|---|---|---|
1 | ゴーイングトゥベガス | 4 | U.リスポリ(USA) |
2 | ポケットスクエア | 4 | I.オルティスJr.(USA) |
3 | アカネラ(IRE) | 3 | C.キーン(IRE) |
4 | ルジール(FR) | 3 | M.ギュイヨン(FR) |
5 | クイーンスプリーム(GB) | 5 | J.ドイル(GB) |
6 | ラブ(IRE) | 4 | R.ムーア(IRE) |
7 | ウォーライクゴッデス | 4 | J.ルパルー |
8 | ラヴズオンリーユー(JPN) | 5 | 川田将雅(JPN) |
9 | マイシスターナット | 6 | J.オルティス(USA) |
10 | オーシャンロード(GB) | 3 | O.マーフィー(GB) |
11 | ドッグタグ | 5 | F.プラ(USA) |
12 | アウダーリャ(GB) | 5 | W.ビュイック(GB) |
前評価
人気 | 現地 | JRA | JRAオッズ |
---|---|---|---|
1 | ウォーライクゴッデス | ラヴズオンリーユー | 2.6 |
2 | ラブ | ウォーライクゴッデス | 3.7 |
3 | ラヴズオンリーユー | ラブ | 5.1 |
4 | ゴーイングトゥベガス | ゴーイングトゥベガス | 7.1 |
5 | ポケットスクエア | アウダーリャ | 12.5 |
当時上がり馬だったウォーライクゴッデスと実績上位のラブ・ラヴズオンリーユーの力関係が難しかったようだ。前年覇者アウダーリャは大外枠もあり控えめな評価だった。
動画
日本語実況
現地実況 実況:L.コルムス
展開・結果
最内枠のゴーイングトゥベガスが逃げ、外枠のドッグタグが追走する形。ポケットスクエア、アカネラが続き、ラヴズオンリーユーは中団前目につけた。前半は400m24秒1、800m47秒8と平均ペースで流れたが徐々に遅くなり、2周目向こう正面で最後方にいた1番人気ウォーライクゴッデスが進出開始、3-4コーナーで外からまくって直線入り口で先頭に立ち、遅れて上がってきたマイシスターナットとのたたき合いに入る。そこへ直線半ばでラヴズオンリーユーが仕掛け、2頭の隙間を割って抜け出しゴールイン。ウォーライクゴッデスはいっぱいになったか2着マイシスターナットからアタマ差の3着だった。2番人気ラブは4着、連覇を狙った前年覇者の6番人気アウダーリャは5着だった。
着順 | 馬 | 着差 | 人気 |
---|---|---|---|
1 | ラヴズオンリーユー | 2:13:87 | 3 |
2 | マイシスターナット | ½ | 8 |
3 | ウォーライクゴッデス | アタマ | 1 |
4 | ラブ | 1½ | 2 |
5 | アウダーリャ | 2¼ | 6 |
6 | オーシャンロード | 2¾ | 12 |
7 | ルジール | ½ | 7 |
8 | ポケットスクエア | 1¼ | 5 |
9 | アカネラ | ¾ | 10 |
10 | ドッグタグ | 9¾ | 9 |
11 | ゴーイングトゥベガス | 7½ | 4 |
12 | クイーンスプリーム | 大差 | 11 |
これにより、
- 日本調教馬として初めてブリーダーズカップ諸競走の制覇となり、鞍上の川田将雅騎手は海外GⅠ初勝利となった。
- ラヴズオンリーユーはこれで同年クイーンエリザベス2世カップに続くGⅠ3勝目となった。
その後
- 本レースに出走していた馬のうち、11着ゴーイングトゥベガスは22年のファシグティプトンセールでノーザンファームが、6着オーシャンロードは同セールでジェイエスが落札している。うちゴーイングトゥベガスは翌23年にイギリスでフランケルをつけ、23年末までに輸入された。7着ルジールは23年春まで現役を続け、引退後フランケルをつけて年末までに日本へ輸入された。
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