業田いのり
なりたいのり
概要
『怪異凶変』のエピソードの一つ『狼と赤ずきん』編の登場人物。
家族思いで明るい性格の持ち主である高校2年生の少女。
幼い頃から「赤ずきん」が大好きで、父とはよく赤ずきんごっこで遊んだり、両親に自分とのお揃いで赤ずきんをモチーフにした手作りのうさぎのマスコットをプレゼントするほどの愛着を持っている。
かつては父がなんとか就職できた織布工場を家族で15年経営していたが、親会社の工場で起きた針の混入事件が原因で地方工場である自分たちの工場が全ての責任を負わされ倒産してしまい、3億もの借金を抱え、母が過労で他界。
以来、父とは小さなアパートで慎ましく暮らしていたが、父の前では気丈に振る舞いつつも、心の底では休む暇もなく日々重労働に追われる父が母と同じように死んでしまうことを何より恐れており、少しでも父に楽をさせたい強い気持ちから、自身もアルバイトに励み、父に休息を与えるためにバイト代を必死に貯め込んでいた。
※以下、ネタバレ注意!
父の前では気丈に振る舞いつつ、父のために健気にバイトにも励んでいたいのりだったが、実は通っていた高校で、同級生でもある金持ちの息子(本名不明)を中心とした男子グループから陰惨ないじめを受けていた。
ある日、その男子グループに父のために今まで貯めていたバイト代を取られそうになり抵抗したが、グループのリーダー格の男の怒りを買い、その日の夜、いつものように父の帰りを待っていたいのりは突如アパートに乗り込んできた男子グループに車で拉致され、襲われてしまう。
その次の日の朝、とある山中で意識不明の重体で見つかったいのりだったが、自分が金持ちであるのをいいことに金の力で悪事を揉み消せるリーダー格の男によって、「崖から誤って転落した」と事故して処理されてしまう。
娘のいじめの事実を知り、男子グループに拉致された娘が傷つけられる写真を見た父は娘の苦しみに気づいてあげられなかったことを強く悔やんでいた。後日、意識を取り戻したいのりは父に自分が“何かされたこと”を知られると、ショックのあまりに父を拒絶するほどのパニック状態に陥り、更には男子グループに拉致された時のトラウマに苛まれてその悪夢を繰り返し見るようになり、心身ともに崩壊寸前に追い込まれていた(ただしこの時のいのりは父を拒絶しても、決して父を責めたり恨む発言はしなかった)。
しかし、いのりを苦しめた張本人である男子グループが堂々といのりの病室に現れ、父は男子グループに対する怒りや憎しみ、自ら死を望むようになってしまったいのりの苦しみに気づいてあげられなかった後悔や罪悪感の念から、狼男のような姿に変貌し、グループのリーダー格の男とサブリーダーらしき男を殺害する。
現場に駆けつけ、その惨状を目の当たりにしたいのりは、Hariから怪異と化した父をどうするかの選択を迫られるが、父と一緒にいたい強い気持ちから、父を助けることを選ぶ。
こうして、いのりは狼男から人の姿を取り戻した父と涙ながらの抱擁を交わし、和解に至った。
後に怪異化した父が病院内で起こした男子二人の惨殺事件が世間で公になると、いのりと父は父娘二人でどこかへ姿を眩ますのだった…。