概要
M3 GTRは、BMW E46型M3をベースにしたハイパフォーマンスモデルである。アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)に参戦するために開発され、ホモロゲーションを取得するためロードカーモデルが僅か10台生産された。レースカーも数十台程度しか存在しないため、非常に希少な車両である。
誕生の経緯
BMWはアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)に参戦する際、M3を用いてGTクラスに挑んでいた。このクラスではM3が何度かチャンピオンを獲得したものの、参戦台数の多いポルシェ911が圧倒的な勢力を誇り、GTクラスを支配していた。この状況を打破するため、BMWはポルシェ911に対抗できる強力なマシンの開発を決断した。その結果生まれたのが、このM3 GTRである。
M3 GTRは通常モデルとは異なり、エンジンは従来の3.2L直列6気筒エンジン『S54B32』から新開発の4.0LV型8気筒エンジン『P60B40』を搭載。自然吸気なのは変わらずだが、それでもレースカーでは447PS、ロードカーではデチューンされても387PSという強力なスペックを実現した。他にも徹底的な軽量化が施されており、車体の屋根・リアウィング・フロントバンパー・リアバンパーにはカーボン複合材が採用された。
初年度の参戦ではチャンピオンを逃したものの、2001年にはGTクラスでチャンピオンを獲得。この結果、ポルシェ VS BMWの争いが激化するかと思われたが……
悲劇
なんと早々に変更されたレギュレーションにより、「一定数を市販していないエンジンや車両」での参戦が禁止された。M3 GTRはロードカーがわずか10台しか存在しないため、この規定に該当してしまい、ALMSからの撤退を余儀なくされた。
BMWは当初の目標であったGTクラス制覇を達成したものの、翌年以降のM3は従来の直列6気筒エンジンを使用して戦う必要が生じた。M3 GTRはその高い性能を発揮する場を失ってしまったのである。
その後
M3 GTRはその後、世界最大の草レースとも称されるニュルブルクリンク24時間レースに参戦。2004年と2005年には2連覇するという快挙を果たし、その戦闘力の高さを改めて見せつけることができた。
NFSMWでの収録とその後
2005年、M3 GTRがニュルブルクリンク24時間レースで2連覇を達成した同年、伝説的なレーシングゲーム『Need for Speed: Most Wanted(2005)』が発売された。この作品で主人公が乗る車として登場した青とシルバーのツートンを纏ったM3 GTRは、瞬く間に世界中で人気を博し、その後のシリーズにもたびたび登場することとなった。今や「M3 GTR = NFS」のイメージが定着している。
しかし忘れないでほしい。M3GTRはもともとALMSで勝つために開発された車であることや、世界一過酷な耐久レースで輝かしい成績を収めた実績を持つ、真のレーシングマシンであるということを。
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M3GTRが有名になったきっかけのゲーム