『機動戦士ガンダム00』に登場する用語については→GNドライヴ
概要
太陽光を集めて巨大な熱量を発生させる加熱器。基本的な構造は大型の凹面鏡かレンズで、焦点に集めた光を利用する。
原理としては、虫眼鏡で光を集めて黒い紙を燃やしたりする科学実験と同じもの。
鏡一枚でできた小型のものから、広い土地に多数の大型ミラーを並べた巨大な施設もある。
オリンピックの聖火に着火する道具としても知られるが、実用品としては小型のものがタバコ用のライターとして使われているほか、熱を調理に利用するものは「ソーラーオーブン」とも呼ぶ。
焦点を細く絞るほど高熱が得られるので、精度の高い鏡やレンズがあれば、人が持ち運べるサイズでも鉄を焼き切るレベルの高熱が得られる。
利点
- 仕組みが非常に単純。言ってみれば単なる鏡やレンズであるため、焦点を取れさえすれば電源や機械構造や制御装置などが一切不要のまま、そのへんの野っ原にポンと設置するだけでも瞬時に高熱を得られる。この点では電子機器であるソーラーパネルよりも利便性が高い。
- 太陽の寿命が尽きる数十億年先まで実質的にエネルギーは無限。燃料などを運ぶ手間がいらないし、燃えカスや排ガスといった廃棄物も出ない。太陽光発電と同様に、自然エネルギーを人間が使いやすい形に変換できる方法として見直されている。
欠点
- お天道様のご機嫌次第。あるていどの太陽光が得られる程度に晴れている昼間の屋外でしか使えないという大きな制限があるので、雨など悪天候や地理的条件で日照時間の少ない地域だと効率が悪い。鏡やレンズを綺麗に保つメンテナンスも必要。
- 広い範囲から得た光をごく狭い一点に集中する構造上、大きなものや大量のものを均一に加熱する用途には向かない。産業規模で利用したい場合、超巨大な鏡やレンズを作るか、広い土地を確保して大量に設置しないといけない。
- 太陽炉本体は単純でも、効率よく長時間利用したい場合は、動き続ける太陽を正確に追尾する装置が必要になる。上記のように産業用として大量に設置した場合、追尾装置も大量に必要。
- 意外と危険。光を収束させるのでかなり眩しく、直視すると目に悪影響を及ぼす。また、炎のように目に見える熱源がなく、ボイラーのように熱源を閉じ込めておく構造にもできないので、空中の焦点にうっかり手などを入れてしまえば瞬時に火傷を負う危険も。大規模なタワー型太陽熱発電所では、焦点に近づいた鳥が焼かれたという報告もあるほど。
用途
発電
熱でお湯を沸かせば蒸気タービンを駆動させられるので、太陽熱発電の熱源として用いられる。熱を溜めこんでおき夜間も発電できるようにした施設もある。
調理
調理の熱源としては「ソーラーオーブン」と呼ばれ、小型のものはアウトドア用品として一般人でも手に入る。加熱したい食材に直接光を当てて焼くものが一般的。
インドのブラマクマリスセンターやアナダナム複合施設のように、調理用の蒸気の熱源として大規模施設で利用される場合もある。
反射板は非常に眩しいため、使う際には目を守るサングラスが必要。
着火
オリンピックの聖火をギリシャのオリンピアで最初に点火する時に使われる。
ソーラーライターと呼ばれるタバコの着火器がある。
水の蒸留
発展途上国では、太陽炉を用いて水を蒸発させ衛生的な蒸留水を作る試みがなされている。
熔融実験・還元
太陽光の収束度によっては幾千度の高温に達するため、物質の熔融実験にも用いられる。
また、超高熱を利用し物質の還元にも利用される。