開発経緯
新型の100mm対戦車砲を搭載するため、SU-85の戦闘室を改良した車輌。当初、海軍用のB-34 100mm砲を改造したS-34を搭載する予定であったが、幅の関係で乗員が出入り可能な車体前方ハッチが取り付けられないため、さらに改良されたより軽量なD-10Sに変更された。しかし再びS-34を搭載することを要求され、試作車であるSU-100-2も製造され試験で比較されたが、結局D-10Sを搭載するタイプがSU-100として量産に入った。
防御力
車長用に直視型ヴィジョンブロック付きのキューポラが増設され、前面装甲は45mmから75mmへと大きく強化された。また戦闘室後部装甲の傾斜角度も変っている。しかし砲の大型化と前面装甲の強化によりノーズヘビーであり、前傾を抑えるため第一転輪のコイルスプリングは直径が30mmから34mmに拡大されている。それでも過加重ぎみであるため、操縦には注意を要する
攻撃力
D-10S 100対戦車砲の発射初速は880m/s、徹甲弾の重量は15.88kgに達する。
車内への搭載数は34発と少ないが、パンターやティーガーIを正面から撃破可能な威力があった。
○各種砲弾○
(貫徹力-距離)
BR-412(AP-HE) |
155mm-500m |
135mm-1000m |
BR-412B(APBC) |
160mm-500m |
150mm-1000m |
BR-412D(APCBC)※戦後開発 |
200mm-500m |
185mm-1000m |
実戦参加
初陣は1945年1月のオストプロイセンやハンガリーへの侵攻作戦で、3月のバラトン湖の戦いからまとまった数が本格的に投入された。戦後もチェコスロバキアで生産され、エジプトなど中東に輸出されイスラエルとの戦闘に参加した。チェコ製の戦後型は、車体右側面の大型雑具箱や戦闘室左後部のハッチの違いなどでソ連製と識別できる。この他、ユーゴスラヴィア、キューバ、アンゴラに売却あるいは供与されている。
1944年夏、量産に先駆けて動力系を電動ハイブリッド方式にしたESU-100が試作されたが、採用には至らなかった。1944年末に、前方過加重の問題を解決するため戦闘室を後部に、エンジンを前に移動し、さらにT-43やT-44と同じトーションバー式サスペンションに換装しバランスの良くなったSU-101も試作されたが、後に同じ火力を持つT-54が採用されたこともあり、量産されなかった。
関連タグ