不破愛花

ふわあいか

不破愛花とは『絶園のテンペスト』の登場人物。

概要

本作の裏ヒロイン。不破真広の義妹にして滝川吉野の彼女。ただし吉野との付き合いは真広も含めた周囲には隠していた。

一年前に両親と共に何者かに殺されており既に故人である。そのため、作中の出番の多くは吉野か真広の回想となっている。

彼氏の吉野をして「性格が悪い」と言わしめる難儀な性格で、真広のことを「マヒロ」と呼び捨てにし、吉野共々しょっちゅう皮肉や嫌みを浴びせていた。

もっともこうした面は2人にしか見せておらず、その合間に僅かな気遣いや好意を垣間見せていることから、彼女なりに心を許していたようである。

愛読書はシェイクスピアで特にハムレットとテンペストを好んでおり、台詞を度々引用していた。

彼女の殺害は始めはただの強盗の仕業と思われていた。しかし、魔法探査でも何も出てこなかった為、そこから逃れる特権を持った鎖部一族の仕業と推測された。

ところが鎖部哲馬の追加調査から「愛花の死後、はじまりの樹に許される儀式を行った者はいない」ことも判明し、新たに「絶園の魔法使い犯人説」と「はじまりの樹による犯人隠蔽説」が出された。

ネタバレ注意

では誰が彼女を殺したのか。

結論から述べれば彼女自身である。

前述の通り捜査は完全に手詰まりで、出された仮説はどちらも決め手に欠けていたため、「葉風が再び過去に渡り、事件の目撃者となる」という最終手段が採られる事となった。

そうして無事事件当日に間に合わせた葉風だったが、街中で偶然愛花と接触してしまい思わず魔法で逃走を図った。だが、愛花も難なく追いかけて来て、葉風がはじまりの樹の関係者であることを見抜くと共に、彼女こそが心身伴った真の「絶園の魔法使い」であることを明かした。

その後、葉風から未来の情報を聞いた愛花は自身の役目である「はじまりの樹は絶園の樹に倒されるべき存在である」という真実と自らが推理した「自身の死の真相」を語った。

その真相が「絶園の魔法使いである彼女自身が魔法で殺したのであれば凶器は残らず、自殺ではつけられない傷が付けられ、魔法探査にも引っ掛からない」というものであり、その動機は「未来の情報から自分が死ねば、葉風がはじまりの樹を倒す決意を固め、吉野と真広を守る事が出来ると知った為」である。

一連の真相を聞かされた葉風は力ずくで愛花を止めようとするも返り討ちにあい、彼女が気絶している間に吉野と真広に宛てた最後のメッセージと葉風に宛てた伝言を残し、自らが語った通りに死んでしまった。

その後羽村によってはじまりの樹が倒され、二人はメッセージを見るのだが、そこには絶園の魔法使い故に孤立していた彼女をただの少女として守ろうとした二人に対する感謝の言葉が述べられていた。