猿楽から派生した喜劇のジャンルのこと。また、歌舞伎で演じられるドラマのことを狂言とも呼ぶ。
概要
狂言は、道理に合わない物言いや飾り立てた言葉を意味する仏教用語の「狂言綺語」(きょうげんきご)に由来する。
この語が猿楽の滑稽な物まね芸を指す言葉として転用され、やがて上述の諸芸能の名称として定着した。
一般名詞としても、滑稽な振る舞いや、冗談や嘘、人をだます意図を持って仕組まれた行いなどを指して狂言と言う。
明治時代以降は、能・式三番と併せて能楽の一分野として位置づけられた。能と違って原則として面を用いず(鬼や天狗などの役柄を除く)、所作も写実的で、台詞は中世〜近世初期頃の口語をそのまま用いる(現代日本語とは少々違うが、現代日本人でも容易に理解できる程度のものである)。
このような特徴を持つ狂言は他の伝統芸能に比べ親しみやすく、現代でも幅広い層に観賞されている。