第2次安倍政権が打ち出した経済政策。
呼称は中川秀直がつけた。安倍とエコノミクスのかばん語であり、かつてのアメリカレーガン大統領の経済政策『レーガノミクス』になぞらえたものである。
(注:レーガノミクスは『インフレ抑制策』であり、ベノミクスとは逆にデフレを悪化させた)
安倍自身の経済観は竹中平蔵を重用していることからわかるように小泉純一郎の「聖域なき構造改革」を継承している面があるが、これにインフレターゲット政策(デフレ克服のための無制限の量的緩和)、「上げ潮派」的な公共投資を組み合わせている事が特徴である。
安倍はこれを「三本の矢」と呼んだ。なお、レーガノミクスはインフレターゲット政策と公共投資増加(主に軍拡)、富裕層優遇の経済政策を組み合わせた『インフレ抑制策』であり、インフレ抑制には成功したものの政府財政を悪化させ国内産業を衰退させた(政府財政の赤字と貿易収支の赤字という「双子の赤字」を生んだ)。
2012年末から2013年4月ころにおける初期段階ではインフレターゲット政策が円高是正、株価の上昇につながっており支持されているが、経済専門家には批判する意見が目立ち、国債金利上昇などへの影響が懸念される(公共事業支出が増加し財政が悪化すれば相乗効果でインフレ率・国債発行高・国債金利が際限なく上がり続け、最終的に悪性インフレに陥る懸念がある)。さらに、自民党が「成長戦略」でうたう大胆な公共投資や構造改革、輸出企業偏重の資源配分はこれまでの自民党の経済政策をさらに徹底させた(ないしはIMF後の韓国の後追いをした)ものであり、国民経済を破壊するもの、国際経済を混乱させるものとして多くの専門家の厳しい批判を浴びている。
2013年5月ごろから株価が乱高下を繰り返すようになり、アベノミクスの前途には早くも暗雲が立ちこめはじめた。各国の過剰な金融緩和政策のために市場の不安定化が進んでおり、このような中で緩和策を継続するのは非常に危険性が大きく、国際金融市場をさらなる混乱に巻き込むことになりかねない。