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ソード・ワールド

そーどわーるど

ソード・ワールドは、グループSNEが発表し、富士見書房から発売されたTRPGのひとつ。
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正式タイトルは「ソード・ワールド」。しばしば中黒(・)を抜いた「ソードワールド」の記述が見られ、pixivでもそちらのタグの方が多く使用されてしまっている。

 このTRPGの後継として平成16年グループSNEより『ソード・ワールド2.0』が発表されているものの、受け継いでいるのはタイトルとシステムの大まかな概要のみであり、このTRPGとの舞台・キャラクターとも互換性は低い。

 この為、本項では、『ソード・ワールド2.0』を含まない従前のシステムについて解説する。

概要

システムの概要

 米国発のTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』を参考に、TRPGがあまり浸透していなかった日本でも普及しやすいようなシステムとして、平成元年に発表された。

 もともと、ロールプレイングゲーム( RPG )というのはシミュレーションゲームと同様、TRPGの方が歴史が古いのであるが、日本ではRPGと言えばコンピュータ・ゲーム、初期ではパーソナルコンピュータ用のそれが早期に輸入され、コンシューマとしては昭和62年に発売されたファミリーコンピュータ用ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズがそのイメージを決定付けてしまっていた。

 また、米国発のTRPGシステム、たとえばD20システム( ダンジョンズ&ドラゴンズで用いられるD20システムやクトゥルフ神話TRPGで用いられているベーシックロールプレイングなど )では4面体、8面体、10面体、12面体、20面体という特殊なダイスを要求するものも存在したが、日本では伝統的な6面体サイコロ以外のダイスは入手が難しかった事も、TRPGの日本での普及を阻害していたといわれる。

 そこで日本国内でも受け入れられるよう、入門しやすく、一方でシナリオの自在性も高く、特にサプリメント( RPGシステムの拡張ルール )なしでも初心者から上級者まで扱いやすいシステムとして、グループSNEの水野良をリーダーとし、安田均、清松みゆきらのチームがGGM( グランドゲームマスター、TRPGシステムの制作・管理責任者 )となって開発したものである。

 この作品の出版権は一貫して富士見書房が取得した。ただしコミック単行本のみは富士見書房がその分野から撤退した為、親会社である角川書店のレーベルから発行されている。

特徴

 キャラクターメイキング、及びセッション中の行動の判定を2つのダイス目に依存し、そのダイスは所謂6面体のサイコロ2つまでとする、“2d6”システムを採用した。これは『ソード・ワールド』以降グループSNEなどで開発されるRPGの多数で採用される特徴である。

 プレイヤーキャラクターの種族、身体的特徴などはプレイヤーが設定する事が出来るものの、人間、及び人間社会で育ったハーフエルフの場合、その出自もダイスによって判定し決定する。基本的な能力値はダイス目によって確定し、その後その能力に応じて職能を修得する。

 画期的な点はキャラクターの各種能力を固定された“職種”ではなく固定されていない“職能”で決定する点にある。職能は冒険者用ではファイター、シーフ、レンジャー、バード、セージ、プリースト、ソーサラー、シャーマンが存在し、経験点次第でどの技能をとる事も可能である( ただし、種族によっては取得不能のものも存在し、また能力値にマッチしていないと無駄に経験点を使うだけになる可能性も高い )。能力値と職能の組み合わせによっては能力がフルに使えないパターンもあるが、基本的には複数技能を持つキャラクターを製作することになる。また、キャラクターの身分も、例えばソーサラー技能があるからといって専業の魔法使いである必要はなく、さまざまな立場が用意できる。

 ただし、シーフに関しては盗賊ギルドに所属していないとモグリ扱いされ、官憲のみならず盗賊ギルドからも追われる羽目となる為、基本的にはシーフを本職とせざるを得ない(ただし「街中で仕事」をしなければ問題ない場合も多い。なお『ロードス島戦記』(第3部以降)には盗賊ギルドとは別に国家公認のスカウトギルドが存在する)。

制限等

 とは言え1989年と言う時節柄、お手本となった『D&D』の影響もあり、まだ勧善懲悪スタイルが基本になっており、種族としてはダークエルフが基本敵対NPC用だったり( ただしルールエルフの上位互換であるため認めると恐ろしいことになる )、暗黒神であるファラリス信仰も原則禁止とされている等、2010年代の日本の価値観から見ると制約は割合と大きい。

※なおファラリスは秩序の破壊者、暗黒神として信仰されているが、実際のところ不徳を積極的に奨励するような事は言っていない( が、抑制もしない。「汝の為したいように為すがよい」という言葉が代表的。NPC専用なのは、教義を実践するとゲームプレイが崩壊する危険が大きいのと、ファリス信者などに討伐の対象となるというのが大きな理由 )。取りようによっては、産業革命以降の法治社会・民主主義を勧める様な教義とも取れるが、実際に説かれがちなのは、法治社会にも民主主義にも反する「責任の伴わない自由」になってしまっているという厄介な状態になっており、ファラリス神官を使用可能なサプリメントでは、依頼者に裏切りへの報復能力を持たせる事で、やりたい放題を抑制している。(この要素は後のラーリスなどに多かれ少なかれ反映されている節もある。)

 また『ソード・ワールド』の世界は、現実世界の中世ヨーロッパ的な封建制度が当然の世界であり、法と秩序を絶対視するファリスが至高神とされている( ただし、「悪法は法ではない」とし、圧制を敷いていた国を聖戦士や神官が滅ぼす事例も存在。デザイナーの一員である清松みゆき氏が理系である事も、秩序重視の世界観に寄与しているのかもしれない )。

 ただ、ユーザー側は1989年の日本社会、特に文系若者の感覚が当然の主観になっている為、ガチガチで融通が利かず、秩序を乱す相手に対し攻撃性を持つファリス神官( に限らず、光の神の勢力 )の方がむしろ快く思われない、所謂“ファリス・バッシング”という皮肉な現象が現れていた。リプレイにおいても同様の問題が発生している。

 さらにデザイナー側も最初期の公式シナリオで登場させたNPCファリス神官戦士を彼は犯罪を犯してもファリスの正義さえ守っていれば、それで満足なのですと説明していたり、続くコラムでも「俗世の法では無く、ファリスの法で裁く」「存在そのものが悪である妖魔や魔獣などは、残らず殺してしまわなければならない、というのがファリスの教義」「自分たちの勝手な判断だけで、悪と思った者には制裁を加えるという奴もいる(前述のNPCは「センス・イービル」の呪文が使える分まだマシ)」などと記載されており、「こう考えると、ファリスの神官戦士は、けっこうアブナイ奴なのです」と言う記述も相まって、バッシングの土台を作っていたという問題もある。

 流石にマズイ状況だとSNE側も判断したのか、NPCとしてはクレア・バーンロード、PCとしてはイリーナ・フォウリーという形で名誉挽回という名の軌道修正を図っている。

目的の不達成

 これらの制限や点数計算の煩雑さ( このシステムでは攻撃のダメージ決定に「レーティング表」というものを参照し、キャラクターシートに書き写す必要がある )が中途半端に残った事から、当初の目標は完全には達成できず、より初心者向けに明快で制約の少ないのシステムとして翔企画から『モンスターメーカーRPG』が発表( 出版は富士見書房 )される。

 また、上級者向けになるがサプリメント使用を前提とし、キャラクターメイキングからダイス判定要素を排除することで自由なキャラクターメイキングが可能な『GURPS』が輸入され普及する。

 しかし、商業展開された国産TRPGシステムのさきがけとなり、またリプレイ集や小説等、TRPGに無関心だった層を積極的に取り込む方策が功を奏し、日本におけるTRPGの代名詞的存在、デファクトスタンダードの地位を確保するに至った。

後継作品

 前述の通り、後継となる『ソード・ワールド2.0』が発表され、グループSNE・富士見書房の商業展開はほぼ完全にそちらに移行したものの、従前のシステムとの上位互換は図られておらず、いわば「見捨てられた」世界となっている。

世界観

 舞台となる世界「フォーセリア」は、『ロードス島戦記』&『ロードス島伝説』シリーズ、『クリスタニア』シリーズと共有する。

 ストーリー開始の年代的には『ロードス島戦記』と『ソード・ワールド』がほぼ同時期で新王国暦520年から530年を舞台としており、『ロードス島伝説』はその約30年前で『クリスタニア』は約350年後を舞台としている。

 また、『魔法戦士リウイ』はそのまま『ソード・ワールド』の世界観、時間軸を舞台としており、キャラクターの能力・行動は原則『ソード・ワールド』のシステムに合致するようになっている。逆にそれが理由で『リウイ』が完結しない限り新王国歴530年以降のアレクラスト大陸の世界情勢を発表できないという状況に陥ってしまってしまい(『クリスタニア』は別大陸なのでノーカン)、ゲームの年代も新王国歴520年代に固定される事になってしまった(まぁ(TRPGではないが)先に年表を発表している『FSS』みたいな例もあるが、あの作者しょっちゅうちゃぶ台返しをかますし…)。


 なお、ルールブック発売前の最初期の世界観では「見つける者たち( ファウンダーズ )」が目覚めさせてしまったすべての世界を滅ぼしてしまう「魔精霊アトン」を打倒しえる唯一の手段である「ファーラムの剣」というアーティファクト探索がアレクラスト大陸の全ての冒険者に課せられた、という話だったものの実際にルールブックが発売されてみれば探索にかかわるシナリオの提供は一切なく、アトン自体が殆ど語られない有様であった。以降は小説であるリウイが発表されるまではろくに扱われず、PCたちに課せられた筈のクエストはリウイ一行が引き継いだこととなった。(公式リプレイでは大金を手に入れたPC一行が高レベルNPCを雇う事を防ぐ為、NPCが関わっているPCには知らされない極秘任務として語られたこともあった)

サプリメント

 公式サプリメントとして変わったものは『名探偵デュダ』シリーズがある。これはファンタジーTRPGシステムをベースに、ありきたりな“剣と魔法の世界での冒険”ではなく、ある程度インフラの整った都市を主な舞台として展開する、『ソード・ワールド』のシステムを使ったミステリー系シティ・アドベンチャー用サプリメントである。

ローカルサプリメント

 平成には言ってしばらくするとTRPGは一旦斜陽の時代に入るが、平成7年以降、日本国内でインターネットが爆発的に普及し、リアルタイムで文章会話の可能なIRCが一般でも容易に使えるようになると、GM及び各プレイヤーが自宅にいながらにして、しかも遠隔地同士でもセッションが可能になった為、日本では再び隆盛期を迎えた。

 『ソード・ワールド』もその恩恵に預かったものの、既に初版発表から10年以上経過している古いシステムの為、自分たちの好みのシナリオ作成・キャラクター作成・セッション展開の為、非公式のローカル・サプリメントが無数に誕生した。

 特に多いのは、PCのダークエルフや暗黒神信仰が可能になる事を前提としたものである( 現状ではどちらも公式サプリメントが発売された )。先述したとおり、萌え”のためならなんでもありという時代に入っていた事から、これが横行する事になった。

『ソード・ワールド』の名前を冠する出版物

 前述の通り、日本人に馴染みの薄いTRPGに興味を持ってもらう為、富士見ファンタジア文庫から『ソード・ワールド ノベル』や『ソード・ワールド短編集』として、小説が発表されている。執筆陣の多くはグループSNEに所属していたライターである。

 これらの作品のアニメ化はされていない( ただし『魔法戦士リウイ』は映像化されているが、同作には『ソード・ワールド』のタイトルは初期には冠されていたともそんなものはなかったとも言われる )。

 定期刊コミックやドラマCD等のメディアミックス展開は、公式リプレイ集第6世代「へっぽこーず」のものが僅かにあるのみである。ロードス島戦記などとはえらい違いである。

ノベル以外の出版物

ルールブック:基本ルールブック/上級ルール(1,2)/完全版/ベーシック

ワールドガイド:アレクラスト博物誌/西部諸国ロードス島

ワールドガイドツアー:オーファンロマールファンドリアパダケイオスランド

シナリオ集:シナリオ集( 1~6 )/読者シナリオコンテスト「バラールの館」/PC・SFC100シナリオ集/完全版シナリオ集( 1,2 )

リプレイ集:第一部(スチャラカ冒険隊)/第二部(スチャラカ2)/第三部(バブリーズ)/第四部(風雲ミラルゴ編)/第五部(アンマント財宝編)/デーモン・アゲイン猫の手冒険隊

新リプレイ集( 完全版 ):新リプレイ集(へっぽこーず)/新リプレイ集next(ぺらぺらーず)/新リプレイ集Waltz

雑誌連載( 読者企画 ):ソード・ワールドRPGアドベンチャー(ナイトブレイカーズ)/西部諸国シアター

CRPG版:ソード・ワールドPCソード・ワールドSFCソード・ワールドSFC2

(PCおよびSFCは「死せる神の島」SFC2は「自由人の歎き」シナリオとなる)

関連タグ

ファンタジー 指輪物語

TRPG ダンジョンズ&ドラゴンズ ロードス島戦記 クリスタニア ソードワールド2.0


小説家になろう ソード・ワールドのリプレイが投稿可能だったとされるが、

現状ではソード・ワールド2.0ほかの現行の角川関連作品となっている。細かいガイドラインを含めた詳細はなろう公式の方を確認の事。


カクヨム ソード・ワールド2.5だが公式で二次創作が許諾されている。詳細はカクヨム公式を参考にされたし。

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