概要
「地球なめんなファンタジー」の逆バージョンで、普通に「ファンタジーなめんな地球」とも言う。
現代兵器に敗北することもあるファンタジー世界だが、ファンタジー世界もファンタジー世界で現代科学が敗北しかねない謎技術が使われていることもある。
故に、それらファンタジー世界の産物で現代兵器に対抗する、言うなれば「強力な現代兵器で無双し高笑いしているような奴を、ファンタジー兵器でやっつけるシチュエーション」。
ファンタジーが現代科学を制する展開自体はむしろありふれたものであり、いわゆる量産型のライトノベルや能力バトルモノ、それに準ずる作品などのファンタジー作品においては大抵、ファンタジー側が地球側をナメくさっている。
実際幾つかのファンタジー作品には核爆発を引き起こす呪文なんてのも珍しくないし、いわゆる神話等は当時の人類にとってのこういうシチュエーションであると言えるかもしれない。
だからこそ、それを覆す「地球なめんなファンタジー」が光るのだと思われがちだが、そのためにファンタジー世界があまりに弱く愚かに設定されてたり(或いは、肝心のファンタジーの脅威が地球側に付いちゃってたり)する事もあり、その場合、そんなファンタジーに打ち勝っても何のカタルシスも無い、という状態に陥ってしまう。
また、「地球=自国、ファンタジー世界=異国」のように認識されがちな事もあるが、ファンタジーというのは元々空想を意味するため、「地球=現実、ファンタジー世界=理想」という関係も存在しており、従って地球がファンタジーに打ち勝つ事には理想が現実に敗北するという意味合いも現れ、それは一般的に非常に残念な事である。
このジャンルには、その辺りに対する反動の意味合いも含まれてるものと思われる。
加えて、大抵のファンタジー世界は文明が中世レベルであることが多いため、「地球なめんなファンタジー」においては、遥かに進んだ現代文明の利器を用いて無双するという所謂「ズルやチート」の状態になり易い。
そうやって調子に乗ってる相手を、その世界の限られた文明の力で打ち負かすという爽快感も、このジャンルの一つの要になってるものと思われる。
そうなると、古くからある「(ファンタジー抜きの)ローテクでハイテクに対抗する」という展開も、このジャンルに通じているのかもしれない。
なお、近未来兵器や拳で岩を粉砕する人間なんかもファンタジーの存在には違いないのだが、ここで言う「地球とファンタジー」は大抵「科学と魔法」に置き換えて語れる概念であるため、それらはあまり「ファンタジー」のものとして扱われない。
また、男の子のロマンを構成する一要素たる現代兵器を、少女趣味的な要素の多い魔法が打ち破るという点で、ドMホイホイ的な面も持ち合わせている。
…勿論、やりすぎると「所詮、限界がある現実の存在ではパワー無限大の空想には勝てない」という、ある意味「当然」の結果になってしまう。例えば、現代兵器に苦しめられるファンタジー世界側の主人公が大した理由付けも無く超常現象や大魔法を操りアメリカ軍や自衛隊を壊滅させたところで「ファンタジー世界舐めんな地球」とは断言できず、最悪「そりゃそうなるよな」と切り捨てられてしまうだろう。
カタルシスを求めるあまり読者からの反感を買っては話にならないので、特にクロスオーバー作品の場合は注意されたし。
「地球なめんなファンタジー」との両立
現代兵器が実在する物に限られるのに対して、ファンタジー世界は文字通り空想の産物であるため、ぶっちゃけ作者の匙加減次第でどうとでもなり、パワーバランスは容易に崩れる。
ファンタジー側の縛りと言えば、いわゆる「ファンタジーっぽい雰囲気」を維持できているかどうか程度だろう。
科学と魔法の対称的な特徴としてよく挙げられるものとしては、「科学の産み出した道具が(物にもよるが)使い方さえ分かっていれば誰でもお手軽に力を得られるのに対して、魔法などは個人の資質に加えて経験や訓練を積まなければまともに使えない場合もあり、極めれば強大な力を行使できるとはいえ、そこに至るまでは相当な苦労が必要な場合もある」という点があろう。
しかし、現実でも個人の資質等が必要な職業は多いし、魔法などが現代兵器以上に誰でもお手軽に使える代物と化している場合もあり、この構図も決して絶対的なものではない。
そういった事態を避けて上手く「地球なめんなファンタジー」と「ファンタジー世界舐めんな地球」を両立させている作品も存在する。
例えば『自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』では圧倒的な力を持つ個人戦力たるロゥリィ・マーキュリーが各国特殊部隊相手に無双するし、『ルーントルーパーズ』に至っては一巻目からいきなり敵の魔術師が自分を生贄にして王国の首都が丸ごと消し飛ぶ威力の隕石を落としてきたりして自衛隊を苦しめている。
また、両作品とも「科学にできないことを魔法が行う」といった描写もあり、戦闘以外の面でも「ファンタジー世界舐めんな地球」を行っている。
――地球側を一方的に舐めくさることがあるファンタジー作品に比べて「ファンタジーを一方的に舐めくさっている」と思われがちな「地球なめんなファンタジー」の筆頭であるはずの作品が「ファンタジーを舐めていない」どころか作品内で「ファンタジー世界舐めんな地球」をやっているというのは、何とも皮肉な話である。
もっとも、先述の『GATE』においては、「亜神であるロゥリィ並みの肉体戦闘力を持つ、地球出身の普通の人間」という「地球人なめんなファンタジー人外」とでも言うべき栗林志乃がいたりするのだが……(ファンタジー世界側では亜神扱いまでされている)
主な事例
実在
- ジャック・チャーチル:第二次世界大戦中、よりにもよって剣(クレイモア)と弓矢で暴れ回るという、ある意味リアルで「ファンタジー世界舐めんな地球」をやっちゃった英国陸軍軍人。
- ルネ・カントン:19世紀も終わりかけ、非科学的なことは否定されつつあった時代に、輸血用血液の代わりに海水を注入して患者を治療するという、「地球の神秘舐めんな現代科学」をやっちゃった医師。
創作物
- 魔神(はちくま):魔神結界あるいは神霊結界というバリアで守られているため、銃をはじめ近代兵器や未来兵器ではダメージが半減するか一切効かない。設定上は「はちくま作品の物質世界を魔王が滅ぼしたため」となっている。
- 『進撃!?イヌミミ機動部隊!』:pixiv連載中。異世界からやってきた艦隊がミッドウェイ沖海戦に巻き込まれてしまうという作品。異世界と言っても科学による産業革命が起きているようで、部分的には地球より進んでいると思しき点も。
- 『アバター』(映画):一部地球側からの裏切り者もいるが、最終的には弓と毒矢を主力武器とする原住民が原生生物を味方につけ、銃器やパワードスーツを使用する地球人を追い出すことに成功している。
- 『三千界のアバター』:仮面ライダーディケイドよろしく主人公サイドである「ワールドホライゾン」の特異者が様々な世界を旅をする物語であり、魔法が主となる世界では銃器等の科学による力が弱くなる(当然、その逆も起こるが)。
- 『スターオーシャン3』:17世紀の地球レベルの技術で作られた「新型」の大砲をドラゴンの背中に乗せて、敵の巨大宇宙戦艦に立ち向かうシーンがある。
- 『終末のイゼッタ』:第二次世界大戦当時をモチーフとした世界において、魔女の末裔であるイゼッタが戦車や戦闘機を相手に魔法で無双する。
- 妖怪を主要題材とした少年漫画作品等(『ゲゲゲの鬼太郎』『うしおととら』他)の大半:現代科学を絶対視して驕る者が妖怪の前になすすべ無し、的な展開が一種の定番となっている。
- 『帽子世界』:ネタバレ防止のため詳細は割愛。
- 『アクトレイザーシリーズ』:1は魔物に苛められる人々を神様(主人公)と天使がやれやれ目線で救うストーリーだったが、2では、七つの大罪の悪魔に取り付かれた人々が神様と天使に反抗するストーリーに。バベルの塔のステージでは、人々はオーバーテクノロジーを駆使した機械を使って人工の神を作り、自分達が神に成り替わろうとした。
要検証
【地球や地球人が用語としても出てこない】
- 『STARWARS』シリーズ:XウィングやTIEファイターなどの宇宙でも戦える戦闘機や宇宙戦艦が当たり前に存在する世界観でありながら、剣(ライトセーバー)や超能力(フォース)を武器に戦うジェダイやシスが、銃器(ブラスター)装備の兵士相手に無双しまくっている。
- 『ファイナルファンタジー6』:欲望渦巻く人間界に失望し幻獣界へ迷い込んだ人間の女性マドリーヌは、幻獣(魔法を使う人外)の男性マディンとの間に愛娘を授かる。このゲームは、その半幻獣の娘ティナが人間と打ち解けるまでを描いたストーリーで、群像劇の要素も持つ。物語前半において、ティナの魔力は敵の帝国が作り出した化学兵器に利用されている。
【地球や地球人も登場するが、現代兵器の描写が少ない】
- 『Re:CREATORS』:ファンタジー世界出身の主人公達が一騎当千とも言うべきパワーを発揮し、自衛隊も彼らへの対策が後手に回るような描写がある。最終的には、別のファンタジー世界の登場人物がこの世界の危機に対し、協力体制を要請する事になるのだが……
【戦闘描写がなく比較できる対象が不明】
関連タグ
ドラゴンカーセックス:……関…連…?
地球なめんなファンタジー:対義語にして名前の元ネタ。