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キハ58系の編集履歴

2020-09-02 17:58:42 バージョン

キハ58系

きはごじゅうはちけい

国鉄が設計・新製した急行形気動車の形式グループの総称。

概要

 鉄道車両の系列の一つで、国鉄急行気動車の形式グループ(キハ58形・キハ28形・キロ58形・キロ28形)の総称である。

 なお、あくまで便宜的・趣味的に用いられた呼称であり、正式の系列名ではない

 1961年から1969年にかけて新製され、日本国内各地に投入され急行・快速普通列車に幅広く運用された。特殊仕様を付加された車両(北海道向けキハ56系、碓氷峠対応のキハ57系)を含めた広義のキハ58系グループ全体では実に1,823両が新製された。最盛期にはこのグループ全体で国鉄の保有・運用する気動車の約3割を占めたことすらある。


形式区分

北海道向け本州向け碓氷峠対応
1エンジンキハ27キロ26キハ28キロ28キロ27
2エンジンキハ56キハ58・キロ58キハ57

本来、グリーン車は冷房化の要請が高いことから大多数の線区ではエンジンを1両1基にしてでも冷房エンジンを積んでいたが、中央東線の急勾配ではそれも叶わず、冷房を諦め2エンジン車で固めたことから走行機関2基搭載のキロ58が登場した。国鉄車では後述の名鉄・キハ8200形のように電源機器などを床上に上げるという手法を取らなかったため(勿論この場合でも定員減などの代償はある)、冷房の搭載はブースターとしてのキハ65の登場を待つよりなかった。


廃車と運用終了

 国鉄時代末期には急行列車の特急格上げ・快速格下げによる減少からローカル列車での運用が次第に増え、初期車両には廃車も出たがそれでも1987年の国鉄分割民営化に伴いJR旅客会社各社に全体の約2/3が承継された。中にはジョイフルトレインに改造された車両も存在する。

 21世紀に入ってからは老朽化とアスベスト問題および後継車両の登場や定期運用路線の電化(特に北近畿・山陰地区)により廃車が進んでおり、2007年6月30日限りで芸備線の急行「みよし」が廃止されたことで本来の用途である急行列車での定期運用は終了した。

 そして、2011年3月11日をもって、JR西日本地区を最後に定期運用から完全に撤退した。

 2012年、そのJR西日本に残っていたキハ28いすみ鉄道が引き取り、既に入線しているキハ52の増結車輌として運用されることになった。


現在

 2014年11月現在、JRで稼働状態で残っているキハ58系は、JR東日本のジョイフルトレイン「Kenji」に改造された3両のみとなっている(他にもJR九州の観光特急「ゆふいんの森」で運用されているキハ71系も、中間車はキハ58の台枠・機器を流用した改造車である)。

どちらも既にエンジンは換装されており、往時のDMH17エンジン装着車ではないが、「キハ58・28」の形式称号を残すKenjiも、2018年6月、9月のさよなら運転の後、程なく引退すると発表された。同車が廃車されると、JR線からキハ58系が廃系列となる。


国鉄以外のキハ58系

 大量に製造されたキハ58系は全体から見れば少数ではあるが、私鉄(民鉄)や第三セクターでも運用された実績がある。


富士急行

 当時キハ58系で運転されていた中央本線の急行「アルプス」に併結する形で運転された急行「かわぐち」用の車両として富士急行が製造した同型車(キハ58000形)が存在する(国鉄以外が製造したキハ58系列はこの車両のみ)。58001と58002は1961年12月製、予備車58003は1963年製である。

 電気鉄道である富士急行が、その時点で既に電化区間である中央本線(新宿大月)への乗り入れ車両として気動車を製造したのは、併結相手の「アルプス」が未電化区間(当時甲府以西未電化)への直通列車だったため、気動車にせざるを得なかったためである。

 3両が製造されたが、そのうちの1両であるキハ58003は予備として用意された両運転台車である(後にJRにも両運転台改造車(キハ53形の区分番台(200番代・1000番代)として編入)が登場したが、新造時から両運転台車なのはこの1両のみ)。

 電車と気動車では動力車操縦者免許が異なり、富士急行でも内燃車免許を運転士に取らせるなど車両購入以外の費用もかかった。

 併結相手の運転区間は程なく電化されたが、国鉄は「架線下ディーゼル」が多数走っていたため、即座に無用とはならずに済んだ。

 1975年に併結相手が電車化、使用車両も自社車両から国鉄の電車へと変更され、廃車。

 気動車の法定耐用年数(11年)は増備車58003もどうにかクリアしている。

 後に有田鉄道に譲渡され、エンジンを1機下ろした上で運用された(実質的にキハ28と同性能)。またJR西日本からもキハ58 136が譲渡されている。

 キハ58003が路線廃止まで在籍しており、現在は「有田川町鉄道公園」に動態保存されている。


北近畿タンゴ鉄道(現:京都丹後鉄道)

 JR西日本からキハ58、キハ28が2両ずつ、計4両が譲渡され、そのうちの2両は「エーデル」と同じ形をした展望席が取り付けられた。

 この車両は「レインボーリゾート」と呼ばれ、「タンゴエクスプローラー」の補完的な用途に使われたが、「タンゴディスカバリー」に置き換えられて廃車された。


いすみ鉄道

 JR西日本で運用されていたキハ28 2346を2012年に譲り受けたもの。

 その前に譲渡されていたキハ52 125と編成を組んで運用され、増結車として運用される(イベント列車の車両にも使われる)。


国外譲渡車両

ソ連(当時)向け

JR東日本で廃車になったキハ58形28両をサハリン向けに譲渡。ソ連崩壊前後の経済混乱で既存(日本製)Д2形が補修パーツの払底で運転不能になり、代車として渡ったもの。非冷房車である。

ただしД2以上に古い車両であるため、20両弱が使われたに過ぎず、残りは部品取りである。

その部品取りも含めて現地車号としてk-1から順に付番しているため、日本の鉄道誌に掲載された車両の現地車番はところどころ飛びがある(運転写真のある車両の現地ラストナンバーはk-22)。kは勿論キハ(ロシア語でもКиха58と直訳。書類上は「k形」とされたが、通称では58はロシア語読みになったろうがそのまま「キハ58」と呼ばれ続けた)に由来。


低床ホーム対応のステップ追加など最小限の改造で、キハ56を投入した北海道より寒い土地で使ったが、「冬は運休する。乗る客が居ない」とこともなげに片付けられた地域もある。

Д2の補修が終わると現地でも廃車となった。

タイ向け

タイ国有鉄道にJR西日本から譲渡。冷房車で、キハ58・28とキロ28と一通りの車両が渡っている。当初は種車の等級(普通・グリーン)に関係なく全て2等車扱いで、エンジンの関係で走行性能は低いものの通勤ライナー的な優等列車に充当された(現地車両はほぼカミンズ製エンジンで統一され、それなりに走行性能を持つ。DMH17のキハ58系が優等列車充当なのは全車空調を持っていたため)。

ステップ追加以外にも軌間が異なるため、改軌改造・ブレーキ改造などを受けたほか、追加した下段ステップはロシアの外付けと異なり自動ドア内に引き込んだため車体裾が大きく下がった。

台車に干渉するためそうした改造が不可能な運転台付き車両は、前デッキのドアを締め切り扱いにして実質1デッキ車となった。

エンジンが旧式であること、冷房の負荷が日本の比でなく高いことから(熱帯気候であるので通年使用である)冷房故障などで老朽化が急激に進んでしまい、一部は非冷房の3等客車に改造して使われたものの後に全て廃車となった。

ミャンマー向け

JR西日本東日本で廃車になった車両を譲り受け、改軌して使用。

 ミャンマーでは気動車形式をエンジン出力(1両あたりの総出力)で分類しているため(但し車種・車体構造別ではなく、キハ52など別車体構造の車両も同一出力であれば一括り)、エンジンが原型(DMH17H:180PS)か換装形式(DMF14ほか:250PS以上)かで別れ、公式には西日本車がRBE3600、東日本車がRBE5000となっている。但し現場では車体構造の区別をしたいためか、元の日本車番を併記(カタカナはローマ字に転写し、KIHA58 . 567(例)のように)している。

 タイと同じく1m軌間でホームも低いため、改軌とステップ取り付けは必須であるが、設備条件の違いから改造内容には相当に差異がある。

 ステップ:ロシアと同じく車外に外付け。そのため、運転室直後のデッキも使用可能。

改軌方法:タイでは日本時代の車軸をバックゲージ差異分だけ圧入して使ったが、ミャンマーでは一旦車軸を切断し、差異分だけ切り詰めた後再溶接。日本では認められない方法であるが、走行速度はタイより数段低いため簡易な方法としてなされている。

 車体:元々はタイの1m軌間車両限界も小さいのだが、タイにはかつて標準軌だった線があるため、そうした線区の実質の建築限界はかなり余裕があった。そのためタイ行のキハ58系は「実際問題通れる」ことから車体はステップ以外手を付けなかったが、ミャンマーの鉄道は元々隣接するバングラデシュなど旧英領インドの1m軌間線区の車両・資材を転用して敷設されたのがルーツのため、建築限界もそれに合わせて非常に小さく、最大高さは3400mmに制限される。

 最大都市(旧首都)ヤンゴンの主要駅近辺でも旧来の規格通りで空頭の低い跨線橋があるため、車体無改造では運転不能である。

 冷房を撤去してもまだ足りず(元々のキハ58系の屋根高さは初期車で3720mm)、さらに屋根を下げるため窓の近辺で車体を320mm前後切り詰めて調整している。他方、連結器は日本時代のものをそのまま使用。結果、ミャンマー国鉄の車両の連結器規格は同じ線路の上で3通りとなってしまった(ノルウェー式と称されるフック式連結器(中心高さ508mm)と、その高さでつけたジャニー式連結器、日本規格の高さのままの柴田式(ジャニー式系統))。工場で入換をする際、特に日本製気動車の場合は控車が必須となる(同じ高さで付けたジャニー式であれば、中間連結器でこのリンク写真のように繋げる)。


余談

タイトーの大人気ゲームである電車でGO!では、初代から長きにわたってキハ58系が運転できるようになっている。初代では山陰本線、プロフェッショナル編では山陰本線とJR京都線の急行「たかやま」、3通勤編では山陰本線、篠栗線で運転が可能。特に山陰本線は3作品とも運転路線に選ばれるほど。



関連タグ

国鉄 気動車 急行

キハ58:表記揺れ。


グループ系列

キロ28

キハ28

キハ56(キハ56系)

キハ57


派生系列

キハ65

キハ8000系 名鉄高山本線乗り入れ用車両。車体の外見はまるきり異なり、大きさが名鉄の車両限界準拠、窓や座席がパノラマカーの流れを汲むものであるが、下回りはキハ58をベースに設計・製造されている。

最後に増備されたキハ8200形に至っては、キハ58等と同じDMH17Hエンジン2基装備ながら更に電源用エンジンを別積みするという構成である。

但し座席数は車体の短いキハ8000系より減っている。つまり国鉄で床下に付けている部品の一部を床上に置いたことで、二律背反な2機関搭載と電源確保を両立している。

固定窓・空調完備、座席は最低でも転換クロスシートと国鉄車とあまりに設備に差がありすぎるので(国鉄車は冷房なし・固定クロスシートもまだ普通の時期)、国鉄車両と併結されて運転されたことはないが、国鉄が借りて名鉄線内に起点を持たない夜行列車の運行に使われたことはある。

格上げ改造など無い、全く同じ車両の列車種別が準急急行特急とどんどん格上げされていった珍しい事例。


富士急行 北近畿タンゴ鉄道 いすみ鉄道

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