概要
英語の" Refugee "の和訳から「難民」という語は生まれた。
定義
国連難民高等弁務官事務所(日本語版)においての難民の定義は国際法である難民の地位に関する1951年の条約において定められ、難民の地位に関する1967年の議定書において拡張されたものであり、具体的には「以前の条約や議定書などで難民とされたもの」および「「人種・宗教・国籍・政治的信条もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者」と定義している。
それに準じるもの
戦争、自然災害、環境変動、伝染病が発生し、当該国家のみでの人命保護ができなくなった場合も、慣例的に難民に準じた措置が取られることが多いが、直接的な迫害を受けたのではない避難民は、条約上認められた難民ではないこともあり、これは一時的な処置とみなされる。
偽装難民
難民に関しては基本保護されることもあり移民よりも審査が甘くなる場合があり、彼らを強制送還することは人道上問題があることもあり、難民を偽装して入国の申請を行う、という事態が発生しており、各種問題となっているが、この件に関してはピクシブ百科事典に過去記事が存在したが加筆時点では白紙化されているため一部その記述を参考にして記述を行う。
経済難民
上記定義の場合単なる経済的困窮は難民として扱われることはないため、死の危険が無い程度の貧乏で国外に脱出しても難民とはみなされず、不法移民として強制送還される場合が多いが、それを知りながら密入国を図る者やその手引きをするブローカーやそれを装った人身売買業者等にまつわる問題も多発しており、問題が発生している。
工作員
押し寄せる難民の中には、特定の意図を持って他国に潜入・潜伏しようとする工作員がまれに存在するといわれ、彼らは保護された国などにおいてスパイ行為などの情報収集行為を行ったり、オルグ等により仲間を増やしたり、反社会的活動、例を挙げれば暴動の煽動やテロ行為を行ったりするものが存在しているといわれ、元々テロリストになる意図なく入国した「真の」難民や移民であっても、工作員等の働きかけを受けたりしてこのようになる場合も存在するが、これをもって難民等を排除しようするのは陰謀論の信奉者と変わらない言動である。
帰国と移民
彼らの大多数は基本的には居住地に戻る事を希望していると言われるが、それがかなわない、あるいは帰国すると迫害されるなどの理由により避難先で定住し、場合によっては移民同様に集団化、集落化する事も少なくなく、その結果、地元住民との間で軋轢が生まれたり、その土地でも貧困状態に置かれたり、 自暴自棄から彼ら自身が犯罪の原因となってしまったりと、新たな社会問題が引き起こされる場合も存在する。
避難先の国の選択の一般的傾向
なお、一般的な傾向として、隣国以外が難民を受け入れる場合には、旧植民地等の歴史的な関係に基づいている事が多く、これは文化的に多少なりとも暮らしやすいという配慮からである。
日本国の場合
日本国はその例外的存在と言われており、第二次世界大戦後は旧植民地からでもほとんど難民を受け入れた例が無かったが、これは戦後日本本土が困窮していたにもかかわらず旧植民地や占領地からの大量の引揚者、具体的には敗戦により植民地や占領地に在住していた日本人、を受け入れなければならなかった事や、復興後も先進国有数の人口となってしまい受け入れ余地に乏しい事、1980年代以降は朝鮮半島や台湾の政情が安定し大量の難民が生まれる時勢にない事( ただし北朝鮮からは脱北者という形での難民、あるいは亡命が散発的に発生しており、彼らの一部が日本に渡航することは今でもある )等が理由に挙げられている。
在日朝鮮人
しかし、第二次世界大戦後から朝鮮戦争の前後にかけ、大韓民国の共産党狩りや朝鮮民主主義人民共和国による各種弾圧、または朝鮮戦争などの戦乱、あるいは経済的な理由により日本への密航を行ったものが存在しており、在日朝鮮人と同等に扱われた彼らは「事実上の難民、あるいは棄民」であったが、これを含めた在日外国人に関連した治安の悪化や日本人との軋轢が問題視されており、これは今でも「在日韓国・朝鮮人問題」として今でも続いているとも言える。
EUにおける問題
EUはその創設時より人道的に難民の受け入れに積極的であったが、それも近年では変化が見られている。
東西格差と難民
EU以前、第二次世界大戦後のヨーロッパにおいては西は自由主義、東は社会主義と分割され、経済の格差および政治的な問題により「東から西へ」の「難民」が発生、東側はそれを食い止めるために各種政策を採り、たとえばベルリンの壁はその代表的なものであった。
東欧革命後も政情不安やユーゴ紛争等から難民・移民は多い。同じキリスト教白人同士であり教育水準も高いということもあって西欧側も積極的に難民・移民受け入れを行っていた。
中東からの難民
だが2010年代に入り、イスラム国を始めとするイスラム過激派の活動やシリアなどで発生した内戦のため大量の難民を生み出すようになった。
西欧諸国では当初は冷戦以来の経緯もあり受け入れを支持する意見が多かった一方、経済状況が芳しくない東欧の一部は反発し、ハンガリーに至っては国境に壁を建設して物理的に移動を遮断しており、これはEU内の移動の自由を謳う「シェンゲン協定」にも真っ向から反するものであり、なし崩し的にEUそのものの否定がなされるようになった。その後ドイツのアンゲラ・メルケルは全会一致が原則のEU議会の承認を多数決で強行し、強制的に難民を振り分けたため加盟国間での対立が生じた。
受け入れ後
東欧難民と違い、彼らはイスラム教徒のアラブ人であったためヨーロッパ人と様々な軋轢を生んだ。その後も事態は一向に改善せず、飽和した難民とそれによって引き起こされた様々な社会問題( 治安の悪化、医療崩壊、不動産価格の高騰、難民対策による予算の圧迫など )が発生していることもあり西欧諸国でも排外主義が台頭、追い打ちをかけるように難民に紛れて上陸した戦闘員がテロを起こし、世論は一気に現行体制への反発に傾くようになり、フランスでは明確な反イスラムを掲げるマリーヌ・ルペン率いる国民戦線が躍進するなど、各地で極右・極左政党が勃興し、目には目を的に難民を襲うネオナチも増加した結果、難民・移民問題に格差社会の進行とエリートへの不信が重なり、EU全体が不安定化している。
イギリス
そして2016年、イギリスが国民投票にてEU離脱を可決、加速する民族主義はこれだけに留まらず、「連合4ヶ国( イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド )の分裂」さえも視野に入れているといわれ、それに対し当時の首相であったデービッド・キャメロン以下当時の首脳陣は相次いで政界自体からの離脱を図っており、イギリス政界は混迷を極めている( そもそも中東に紛争のタネをばらまいてきたのは他ならぬイギリスであり、しかもその解決に正面から向き合わずに逃げ続けてきた結果に過激派があるとも言われておりその結果が回り回ってイギリスが瓦解しようとしている現状は皮肉と言うほかないだろう )。
ネットスラングとして
インターネット界隈では、アニメや特撮等の放送終了や打ち切り、ネットゲームやソーシャルゲームのメンテナンスやサービス終了等により居場所や楽しみを失い、その未練を引き摺ったまま他のコンテンツに現れる人間の事をこう呼ぶ事があり、特に日常系アニメのファンに多いとされ、しばしば前作との比較や放送終了への嘆きを垂れ流す無自覚な荒らしとなる事から、否定的なニュアンスで用いられる傾向が強いとされ、二次元の娯楽ですら疎ましがられる事を考えれば、実際の難民の生活がいかに困難なものであるか想像できる……かもしれない。
難民救済
近年では、過去の作品を想起させる場面を見て「◯◯難民救済」と書き込みする用法がとても増えている。
スラングでもネガティブ気味だった難民という言葉を、使いやすくライトな表現にした物と考えて良い。
こちらはアニメ界隈をネタにしたものが多いが、そんな難民どこに居るんだ!と突っ込まれるようなものを救済する者たちも居る。
(例「ごちうさ難民救済」「赤ずきん難民救済」「カチカチ山難民救済」)
ただしパロディ等直接的に過去作品をオマージュしたものには使われる事は少なく、
あくまでそれっぽい描写がある(けどそうじゃない)事が大切な模様。
Pixivでは作者自身が自分の主張したい救済タグを付けたほうが、ネタとして分かりやすくトラブルにもなりにくいだろう。
関連タグ
外部リンク
UNHCR JAPAN:難民の地位に関する1951年の条約、難民の地位に関する1967年の議定書
新聞等
日本経済新聞:「難民で稼ぐ国」と「難民が稼ぐ国」…日本は「難民を見ない国」
産経ニュース欧州に押し寄せているのは「移民」か? それとも「難民」か? 偽装難民、不法移民は早期送還も