概要
英語では「developed country」と表記する。
一定の経済発展を遂げ、高い生活水準、技術力、教育水準、充実したインフラを有する国々を指す。
具体的にどこまでを先進国に含めるのかは定まっていない。基本的には「先進国クラブ」ことOECD(経済協力開発機構)加盟国のうち国民所得の高い国、もしくは一人当たりGDPが参照されることが多い。このうち都市国家のような規模の小さな国は経済水準が高くとも先進国から外される場合もある。
しかし、高所得国でもOECDに参加していない国があったり、GDPだけでは実態が測れない(都市国家は高い値が出がちであり、カタールやアラブ首長国連邦のような産油国も高くなる)ということで、所得や学習到達度、平均寿命、健康寿命などで算出されるHDI(人間開発指数)が参照されることも多い。
ちなみに何故か北半球に多い。
南半球で先進国といえるのはオーストラリアとニュージーランドくらいで、赤道付近にある先進国も海外領土を除けばシンガポールとブルネイくらいしか無い。
対義語は「発展途上国(developing country)」。
BRICSの様な「新興国」とはライバル的な関係にあるとされる場合が目立つ。
先進国のあるある
それぞれの先進国ごとに異なる点もあるものの、だいたい以下の点が共通していると言われている。
- 都会のみならず田舎でもインフラが整っており生活水準が高い。
- 地方都市が力を持っている。
- 首都一極集中のイメージが強い日本や韓国、イギリスですら地方都市がそこそこ強い。
- ただし香港やシンガポールのように地方という概念が無い都市国家は例外。
- 工業または金融が主な産業である。
- ただしIT分野に関しては新興国の方が強い場合もある。
- 例外としてオーストラリアとニュージーランドは農業が主な産業である。
- 公的医療制度が充実している。感染症で亡くなる人が比較的少ない。
- 平均寿命が長い。
- 特に東アジアと南欧は世界トップクラスの長寿国も多い。
- ただしアメリカや東欧諸国のように、一部の新興国(チリなど)より短い先進国もある。
- 合計特殊出生率はほぼ全ての先進国で2.0を下回っている。
- 学歴社会である。
- 政治体制が民主主義的である国が多い。
- 人権に対する意識が高い国が多い。
- 中東の産油国はこれが当てはまらないため、経済的には豊かでも先進国と認められない場合が多い。
- 識字率は95%以上の国が多い。
- ただし100%では無い。(100%だとデータの取り方が怪しまれるため)
- 死刑制度を廃止している国が多い。あるいは制度上は死刑存置国であっても10年以上執行されていないという場合がある。
- 人口が少ない国が多い。人口1億人以上の先進国はアメリカと日本だけ。
- 「昔植民地を持っていた国」(宗主国)と「宗主国から近い元植民地」が多い。以下が主な分類である。
- 基本的に先進国から脱落するケースは少ないとされる。
先進国と見做されている主な国
G7(先進国首脳会議)や欧州連合(EU)への加盟の有無も記載する。
東アジア
国名 | 加盟 | 備考 |
---|---|---|
日本 | G7 | 平均寿命は「人口10万人以上の独立国家」でトップ。 |
韓国 | かつては新興国だったが1990年代から先進国の仲間入りを果たした。今では一人当たりGDPや平均寿命は日本と大差ない。また、失敗国家ランキングでもシンガポール、日本に次いでアジアでは3番目に点数が低かった。 |
西ヨーロッパ(西欧)
国名 | 加盟 | 備考 |
---|---|---|
イギリス | G7 | 2020年1月31日をもってEUから脱退。 |
フランス | G7、EU | |
ドイツ | G7、EU | |
ベルギー | EU | |
オランダ | EU | |
ルクセンブルク | EU | |
オーストリア | EU | |
アイルランド | EU | |
スイス | EUには加盟していない。 |
北ヨーロッパ(北欧)
南ヨーロッパ(南欧)
北アメリカ(北米)
オセアニア
先進国かどうか評価が分かれる国
東アジア
東南アジア
国名 | 加盟 | 理由 |
---|---|---|
シンガポール | ||
ブルネイ | 一人当たりGDPは日本などより高いが、人口規模が小さく、石油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸出に依存した経済構造である。また国王の権限が強く、定期的な国政選挙が無い。 |
西アジア(中東)
国名 | 加盟 | 理由 |
---|---|---|
サウジアラビア | 一人当たりGDPは高いが石油などの輸出に依存しており、労働者のおおよそ3人に2人が外国人である。また政治体制は前近代的な専制国家で、人権抑圧も酷いことから先進国と認められない場合が多い。 | |
イスラエル |
| |
アラブ首長国連邦(UAE) |
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バーレーン | UAEと同様に、経済構造が特定の資源に依存しているため。 | |
オマーン | 同上 | |
カタール | 同上 | |
クウェート | 同上 | |
キプロス | EU | 一人当たりGDPは先進国並みだが、北キプロスとの紛争問題が解決していないため先進国と認められない場合がある。 |
西欧
南欧
東ヨーロッパ(東欧)
国名 | 加盟 | 理由 |
---|---|---|
チェコ | EU | 一人当たりGDPは東欧諸国の中ではトップクラスだが、それでも西欧諸国の半分程度である。 |
スロバキア | EU | 同上 |
スロベニア | EU | 同上 |
エストニア | EU | 一人当たりGDPは旧ソ連構成国の中ではトップクラスだが、それでも西欧諸国の半分程度である。 |
ラトビア | EU | 同上 |
リトアニア | EU | 同上 |
中央アメリカ(中米)
国名 | 加盟 | 理由 |
---|---|---|
バハマ | 一人当たりGDPは中南米ではダントツの水準だが、国の規模が小さい。産業は観光業とタックス・ヘイヴンなどの金融に依存している。 |
先進国の海外領土
北欧
北米
- グリーンランド:デンマークの自治領。資源豊富であるが、先進国であるデンマーク本土との経済・教育・インフラ格差が大きい。
中米
- プエルトリコ:アメリカ合衆国の準州。所得水準は発展途上国に近い。
オセアニア
先進国ではない経済大国
新興国のうち経済規模が大きい国。一部地域は先進国並みに発展している場合もあるが、地域格差が大きい。
東アジア
- 中華人民共和国(中国):人口の多さ(世界一)もあいまって世界でもトップレベルの経済大国であり、国内総生産(GDP)はアメリカに次いで2位。世界に冠たる工業国で、技術水準も分野によっては日本をしのぐレベルに発達している。上海や深圳のような一部都市の所得は先進国レベルに達しているが、国土が広大なため地域格差が大きく、まだ発展途上国水準にとどまっている地域も多い。また、今でも中国共産党による独裁政治が続いており、情治国家(人治国家)であるため先進国とは認められていない。
東南アジア
南アジア
- インド:GDPは大きく、経済発展も著しいが、人口も中国に次いで多いため一人当たりGDPは発展途上国の中でも低い方。
旧ソ連
- ロシア:超大国・ソビエト連邦の後継国家で、G8こと先進国首脳会議の一角をなす国であったが、一人当たりGDPは発展途上国レベルである。国土があまりにも広大であるためモスクワとサンクトペテルブルク周辺以外のインフラは発達しておらず、ソ連時代に整備された鉄道や航空網を除くとおおむね発展途上国水準にとどまっている。新興大国を指すBRICsの一角とされるが、他のBRICs諸国と異なり経済は豊富な資源輸出に依存していて工業技術水準はソ連時代からむしろ後退しており、政治体制は非常に権威主義的である。また、平均寿命は発展途上国の中でも短い方である。
アフリカ
中米
南アメリカ(南米)
- ブラジル:中南米一の経済大国。鉄鋼や航空などの技術水準も高いが、国土が広大なためインフラが発達していない地域も多い。人口の多さもあってまだ一人当たりGDPは発展途上国レベルにとどまる。
- チリ共和国:中南米きっての安定した経済成長を誇るが、まだ一人当たりGDPは先進国水準に達していない。しかし平均寿命は先進国並みである。
先進国から脱落した国
- アルゼンチン:昔は本当に先進国だったが経済政策の失敗により脱落。それでも一人あたりGDPは中南米の中では高い方ではある。
関連タグ
平均寿命(先進国は長いことが多い)
学歴社会(多くの先進国が学歴社会である)