概要
近畿地方南部に位置する県で、9市20町1村からなる。日本最大の半島である紀伊半島のうち西側から南にかけての範囲を県土とする。
北に大阪府、東に奈良県、南東に三重県と県境を接し、西は海を挟んで徳島県・兵庫県(淡路島)と向かい合っている。
県北部は瀬戸内海式気候、県南部は太平洋側気候と特に降水量面で大きく気候が違う。
北部に中央構造線が走っているため、北部では小規模な地震が頻発することがある。
内陸には深く険しい紀伊山地が広がっている関係で、人口の多くは沿岸部と河川流域の僅かな平地に分布している。
本州の最南端である潮岬(串本町)を擁する県である。その地理的な位置から台風の進路に当たることが多く、本州で最初に台風が接近することから台風のテレビ中継で登場することが多い。
産業
農林水産業が盛んであり、特に農業用地の果樹比率が60%を越える全国トップレベルの果樹王国であることが特徴。有名なものとしては梅と温州みかんの収穫量が日本一である。前者は梅といえば紀州南高梅というほど圧倒的なブランド力を擁している一方、後者は各地の名産地、特に愛媛県としのぎを削り続ける定めにある(ここ20年ほどは和歌山県がトップを維持しているが)。
その他、はっさく、柿、山椒、じゃばらの生産量も日本一である。
(特にじゃばらは元々北山村でしか生産されていなかったが、現在は種苗法の保護期間が切れているので各地で生産されている。)
蜜源となるみかんの木が多く植えられていることから養蜂も盛んであり、養蜂業者の戸数も長野県に継ぐ全国2位である。もちろん蜂蜜も和歌山名物。
山林が県の8割を占めることから林業もかなり盛ん。日本全体では民有林(個人や企業が所有する山林)よりも国有林の方が多いが、和歌山県ではほとんどが民有林という特徴がある。ウバメガシの木から作る備長炭の発祥の地であり、特産品である。
漁業では特にマグロ、カツオ、ハモ、太刀魚が盛ん。有田市は太刀魚の水揚げ量が日本一で、すさみ町のカツオ、那智勝浦のマグロ、雑賀崎のハモが有名。釣り場も多く、大阪から釣りに来る人も多い。また、太地町は古くから捕鯨の町として知られており今でも捕鯨やイルカ漁が続けられている町であるが、同時に捕鯨問題による海外からの風当たりも強い。
加工食品としては湯浅町は醤油の発祥の地とされ醤油が有名なほか、同時に梅干しと並ぶ和歌山のご飯のお供、金山時味噌も特産品である。また、先ほど太刀魚で紹介した有田市は太刀魚を加工した蒲鉾(かまぼこ)の「ほねく」も特産品である。
また、阪神工業地帯に接しているため化学工業も盛んであり、花王が国内最大の工場・研究所を置いている。
海南市の水周り用品生産シェアは全国8割レベルを誇り、御坊市のサイコロ、麻雀牌、全自動麻雀卓の生産量も日本一を誇る。その他では有田市の蚊取り線香、田辺市のボタン、橋本市のパイル織物(新幹線や高級車のカーシートなどに用いられる)などが有名。
観光
観光業も重要な財源であり、険しい山中に佇む荘厳な歴史的寺社の数々と、本州の中では南国であるという立地を生かしたリゾートが主力。
真言宗の総本山・金剛峯寺を擁する高野山や、熊野神社の総本社である熊野三山(熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社)の3社すべてが県内に存在し、それらへの参道である熊野古道が広がっている。険しい山中に佇む寺社は霊場の名に相応しい荘厳さがあり、これらがまとめて世界遺産になっていることもあって多くの観光客が訪れている。
また、関西屈指のリゾート地である南紀白浜を持つ。ビーチと温泉があり、三段壁などの景勝地や動物園・水族館・遊園地一体型テーマパーク「南紀白浜アドベンチャーワールド」がある。このアドベンチャーワールド、パンダの飼育と繁殖において日本一のみならず本場中国を除けば世界一の実績をもつ動物園であり、2018年秋現在では日本に10頭いるパンダのうち過半数の6頭を飼育している。このことから白浜を走るJRの特急くろしおにはパンダの意匠をあしらったものが存在する。和歌山大学とかにはパンダがモチーフのキャラクターはいるとのこと。
また、先述の通り本州最南の地である串本町はサンゴ礁の北限にあたっており、本州にいながらにしてサンゴ礁を観察できる稀有なスポットでもある。当然ダイビングスポットにもなっているが、串本海中公園という海中に透明なトンネルを通した施設が存在するため、手軽に海の中の景色を楽しむことができる。
和歌山市と淡路島のおよそ中間にある無人島「友ヶ島」には旧日本軍の施設跡が遺っており、その風景がまるで天空の城ラピュタのようだと話題になった。あくまで似ているだけでモデルになったわけではない。ちなみに伝説のクソゲーの聖地でもある。
深刻な人口減少
先述のように観光先としては良いところだと言えるが、暮らすという観点からいうと地形の関係もあって交通の便が悪いことと、京阪神の都市圏とは(たまに出かける程度ならまだしも)日常的に往復するには遠いこと、県内に大学が少ないため若者が流出しやすく流入しにくいこと、などの理由から人口減少が激しく、2010年にはついに総人口100万人を切ってしまった。
2018年現在で人口は47都道府県中40位であり、近畿地方では最少である。
一応岩出市など大阪のベッドタウンとして人口増加傾向にある市町村もないではないが、県としては人口は減る一方である。
中世から近代くらいまでは紀ノ川流域は全国的にみて大規模な方の都市であり、江戸時代には徳川家のお膝元として栄えてもいた地域なのだが……今となってはそれらは全て過去の栄光となっている。
文化
「びんちょうタン」、「AIR」(アニメ版)の舞台となったため、萌えの先進国と呼ばれている時期があった。そして、それ以来となる最新作アニメーション作品では漫画のサマータイムレンダの舞台にもなっている。
あの伝説のクソゲーである「デスクリムゾン」のムービーのロケ地「友ヶ島」もこの県にある。
だからと言って和歌山県がオタクに優しい県かどうかと言われると、見方にもよるが残念ながら思っているよりも優しくはないらしい。アニメイトなどのオタク方面に強いショップや人気機種の置いてあるゲームセンターは殆ど和歌山市に偏ってしまっており(それにしても規模は小さいものがほとんど)、県中南部はおろか、北部でも和歌山市から離れてしまうと訪問するのにさえ時間がかかってしまう。もっともこれは和歌山県に限らず、ほとんどの田舎規模の地域ではよくあることだが…。
良い点と強いて言えばイオンモールやダイソーといった名店があるくらいだろう。
初の猫の駅長である「たま駅長」がいる駅もこの県である(現在は二代目の「ニタマ」が駅長を継いでいる)。
また、「トルコ」との交流のきっかけである「エルトゥールル号遭難事件」は県南端の串本町で起こった。
方言
紀州弁。いわゆる関西弁の一派ではあるが、地形的に山などによって京阪神とはやや隔絶されている関係で、大阪弁や京都弁と比較するとより古い形の言葉が残っているとされ、こんにち一般にイメージされる典型的な関西弁とは少し異なるところも多い。
Z音(ザ行)を持たずD音(ダ行)に置き換わる(雑巾:「どうきん」、どうぞ:「どうど」等)という大きな特徴を有し、たびたびメディアでも取り上げられることがある(これは特定個人のクセではなく、れっきとした和歌山県の方言である)。しかしこの特徴は現在ではほぼ失われており、高齢者を除いてほとんどの和歌山県民はザ行をZ音で発音しているのが実情である。
なお、奈良南部〜和歌山県北山村あたりにかけての山林地帯には東京式アクセント(つまり標準語のイントネーション)やそれに近いエリアがある。
自治体
紀北、紀中、紀南の分け方に厳密な境界はなく、あくまで一例である(そもそも紀中がなく紀北と紀南だけに分ける分け方もある)。
紀北
※は紀中と分類される場合あり
紀中
紀南
北山村は全国で唯一「市町村全域が都道府県の飛び地となっている」場所であり、奈良県と三重県のみによって囲まれている。村に繋がる唯一の公共交通機関は三重県の熊野市駅から出る村営バスであり、和歌山県なのに和歌山県(本体)と直接繋いでいる公共交通はないという不思議な村である。
和歌山県出身者
歴史上の人物
武蔵坊弁慶 徳川吉宗 井沢弥惣兵衛 陸奥宗光 南方熊楠 春姫
著名人
小野田寛郎(元軍人)
明石家さんま、溝端淳平、岡本玲(タレント)、千葉真一、小西博之(俳優)
栃乃和歌清隆(大相撲力士・現「春日野親方」)、木村山守(大相撲力士・現「岩友親方」)
駒野友一(サッカー選手)
デューク更家(ウォーキング研究家)
玉置成実(歌手)
hyde(ミュージシャン)
架空の人物(漫画やアニメなど)
高垣楓、並木芽衣子(『アイドルマスターシンデレラガールズ』)
綱代慎平、小舟潮、小舟澪、南方ひづる、麦形窓、麦形鷺子、根津銀次郎(サマータイムレンダ)
関連イラスト
関連タグ
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