概要
愛知県豊橋市を中心とした東三河地域で鉄道・軌道・バス事業を行う鉄道事業者。
名古屋鉄道(名鉄)の連結子会社である。
以前は名鉄の中古車両を走らせていたが、90年代末期以降は乗客数の増加に伴い、通勤用車両を東急から購入し、走らせている。
逸話
地方中小私鉄の例に漏れず、豊橋鉄道も一時期、自動車普及による鉄道離れにより、経営状況は芳しくなかった。
ただでさえ愛知県はトヨタと三菱自動車という2大自動車メーカーの“お膝元”であり、自動車志向が高く、中小どころか最大手の名鉄でさえアクロバットのような経営を強いられているのが実情である。
かつて存在した貨物輸送が、1984年の国鉄貨物縮小合理化の煽りを受けて廃止されたこともそれに拍車をかけた。
特に輸送力増強と給電設備統廃合を狙った1997年の渥美線1500V昇圧工事が裏目に出て、実施後から経営危機に陥っていた。
一時は鉄道・軌道線全路線廃止も視野に入れていたという。
このパターンで多くの地方鉄道が姿を消していった。
だが豊橋鉄道の判断は違った。
「どうせ廃止しかないのなら最後に大バクチを打とう」
そう経営陣は腹をくくった。
縮小傾向をやめ、渥美線の日中15分ヘッドパターンダイヤ化という、見ようによっては暴挙としか思えないダイヤ改正を実施したのだ。
するとどうだろう、減少の一途をたどっていた利用者数は一転、増加に転じたのである!。
あまりラッシュを考慮していない2扉の元名鉄車では輸送力に限界が生じ、東京の東急から3扉車を調達しなければならなくなった。
さらに12分ヘッドへの短縮を目論んだが、乗務と検車の双方で人員数不足が生じたため、15分ヘッドに戻さざるを得なくなったほどだった。
現在も渥美線は豊橋鉄道の稼ぎ頭として、経営危機にまで陥った地方中小私鉄とは思えない豪華設備で運用をしている。しかも、ワンマン運転を実施していない(全列車に車掌が乗務)。
この事実は豊橋鉄道の奇跡として、地方中小私鉄ファンに知られている。
車両改造に定評のある豊橋鉄道
豊橋鉄道は車両改造のレベルの高さに定評がある。
一例として市内線のモ3500形(元都電7000形)を例に見ると
- 都電時代の台車枠をそのまま活用して車輪だけ1067mm幅に取り替える
- 各扉へのステップの設置、中央扉の移設(そのままでは井原の半径11mの急カーブを通過できないため)
- 床下機器の移設
市内線だけでなく、かつて渥美線で活躍していた1900系(元名鉄5200系)も大改造の末に入線している。
- 足回りの機器類はほとんど5300系に譲って何も残っていなかったので、国鉄101系・111電車の廃車発生品のDT21形台車、MT46形主電動機、名鉄3800系の主制御装置を組み合わせて電装
- 名鉄時代軽量構造が災いして不可能だった冷房化を路面電車用クーラーを使って実現
- 名鉄時代に事故で運転台を高運転台に改造していた車両を低運転台に戻す
・・・親会社の名鉄の遺伝子をしっかりと受け継いでいるのだろうか。
日本一の急カーブ
路面電車である市内線の井原停留所から運動公園前に至る支線の途中には半径11mの急カーブがある。これは日本の鉄道の中では最も急なカーブでこの区間を低床車のT1000形ほっトラム、モ800形は通過できない。