300系に次ぐ新たな次世代の新幹線電車に採用する技術のテストを行うために1995年に製造された。
仕様
車体は基本的にアルミ合金で作られており、床下機器をカバーで覆うボディーマウント構造を採用している。これを基本として各車両毎に異なる製造方法で製造された。また先頭形状が東京方向はラウンドウエッジ型、博多方向はカスプ型で作られ、比較検討のために先頭車を入れ替えることができる。
主制御装置はGTO素子のVVVFインバーターを採用し、出力405kwの三相交流誘導電動機を制御する。6両1編成全車両が電動車である。
台車はボルスタレス台車を履き、一部の車両の台車には油圧式の車体傾斜装置が搭載されている。なお台車支持位置が床面より高い位置にあるため、台車部分だけ車内床面が盛り上がっている。
パンタグラフには騒音防止のためにカバーを取り付けた。カバーの形状はワイングラスに似ており、特徴となっていた。なお試験中パンタグラフが何度も異なる形状のものに交換され、カバーも何種類かテストが行われている。
各車両の仕様
1号車
車両番号:955-1
博多方向を向く制御電動車。先頭形状はカスプ型。車体構造に航空機の技術が応用されジュラルミンをリベットで接合している。製造は三菱重工業の名古屋航空宇宙システム製作所。
2号車
車両番号:955-2
中間電動車でパンタグラフを搭載する。車体構造は後に700系に採用され、アルミ合金製の新幹線電車で標準化したアルミダブルスキン構造となっている。製造は日本車輌
3号車
車両番号:955-3
中間電動車。パンタグラフは搭載されていない。車体構造は300系と同じアルミシングルスキン。製造は川崎重工
4号車
車両番号:955-4
中間電動車でパンタグラフは3号車同様搭載されていない。車体構造はアルミ中空大型押出形材を採用。製造は2号車と同じ日本車輌
5号車
車両番号:955-5
中間電動車でパンタグラフを搭載する。車体構造は500系と同じアルミハニカム構造を採用。製造は日立製作所
6号車
東京方向を向く制御電動車。先頭形状はラウンドウェッジ型。車体構造はろう付けアルミハニカム。製造は5号車と同じ日立製作所。
速度記録
1996年7月26日の未明、東海道新幹線米原京都間で鉄輪式の鉄道では国内最速となる443.0km/hを記録した。この時の先頭車両は東京方向の955-6。
最高速度試験後
最高速度試験後に廃車される予定だったが、700系や後のN700系へとつながる技術開発やデジタル式ATC試験に供せられ、2002年2月に廃車された。廃車後中間車は全車両解体されたが先頭車両は保存され、博多方向の955-1は滋賀県米原市の鉄道総合技術研究所米原風洞実験センターで、東京方向の955-6はリニア・鉄道館にて保存中。