青い 霧とたそがれの中に住み
永遠のときを 生きる一族……
概要
永遠の時を生きるバンパネラ(ヴァンパイア)をモチーフにした耽美で幻想的な世界観と、繊細で絵画のような絵柄、綿密に構成された完成度の高い物語に未だ熱狂的なファンを持つ。作中で200年近い時が流れており、各話に時代考証がされている。第21回小学館漫画賞受賞。
ストーリー
1744年、幼いエドガーとメリーベル兄妹は、深い森の奥に捨てられる。老ハンナ・ポーに育てられるが、実は、ポーの一族は吸血鬼「バンパネラ」であった。秘密を知ったエドガーは、14歳のときバンパネラにされてしまう。それから、メリーベル、アランと共に、永遠の時を生きることとなる。
主な登場人物
エドガー・ポーツネル
メリーベル・ポーツネル
ポーツネル夫妻
夫・フランクと妻・シーラは、身寄りのなくなったエドガーとメリーベルをひきとった。
アラン・トワイライト
メリーベルとポーツネル夫妻が死んだあと、エドガーはアランを仲間に引き入れ、共に旅をする。
各話あらすじ
オムニバス形式で連載されたため、それぞれが読み切りであり、時系列も異なる。
すきとおった銀の髪
14歳のチャールズは、町はずれに越してきた少女メリーベルに恋をするが、彼女はまたすぐに引っ越してしまう。30年後チャールズは町中で、子どものまま姿が変わらぬメリーベルに出会う……。
ポーの村
森で狩りをしていたグレンスミスは、茂みからとび出てきた少女をシカと見誤って撃ってしまう。少女の名はメリーベルといった。彼女の兄エドガーと村人に連れられ、グレンスミスはポーの村に二晩滞在する。
グレンスミスの日記
グレンスミスの娘エリザベスは、父の遺品から日記をみつける。そこにはバンパネラの住む村についての記述が……。エリザベスは激動の人生を日記と共にし、日記はさらなる世代へと受け継がれる。
ポーの一族
1879年、ロンドンから古い港町へと越してきたポーツネル一家。彼らは身体の弱いメリーベルのために、新たなる生贄を探しにきた……。エドガーは貿易商の一人息子アランに目をつける。
メリーベルと銀のばら
幼きエドガー・メリーベル兄妹は、森の捨て子だった。老ハンナ・ポーに拾われ、スコッティの村で健やかに成長していく。村では、バンパネラの噂がまことしやかに囁かれていた……。
小鳥の巣
1959年春の西ドイツ。エドガーとアランは、ある目的でガブリエル・スイス・ギムナジウムに潜入する。ギムナジウムには、「魔の五月」「ロビン・カーの幽霊」という伝説があった……。
エヴァンズの遺書
エドガーは嵐の中、馬車の落下事故にあい、記憶喪失を起こしてしまう。衰弱した彼を看病してくれたのは、エドガーの実兄、オズワルドの子孫たちだった。
ペニー・レイン
最愛の妹メリーベルを失ったエドガーは、アランをバンパネラにしてしまう。アランが目覚めるのを待つ間、エドガーはメリーベルへの想いに苦しむ。
リデル・森の中
10歳までエドガーとアランに育てられたリデルは、彼らとの思い出を語る。彼女は「リデル人形」と呼ばれていた。
ランプトンは語る
1966年、ジョン・オービンは、エドガーの正体を追うための集会をクエントン館で開く。エドガーは館に火をつけ、逃げ遅れた少女シャーロッテは焼死する。
ピカデリー7時
第一次世界大戦の少し前、エドガーとアランは友人のポリスター卿に会うためロンドンを訪れるが、彼は殺人事件に巻き込まれ、行方不明になっていた。
はるかな国の花や小鳥
エドガーはアランと共に立ち寄った町で、美しい女性エルゼリ・バードと出会う。彼女は10年以上前のひと夏の恋人を想いつづけていて、幸せだという。
ホームズの帽子
1934年、ジョン・オービンは魔性の少年エドガーと出会い、その魅力にとりつかれる。
一週間
一週間、留守番をすることになったアランは、2人の少女と河畔で遊びすごす。
エディス
アランはエドガーが殺したシャーロッテの妹、エディスに恋をする。エディスはエドガーとそっくりの少女だった。