概要
サザンオールスターズが2015年に発表した楽曲。アルバム『葡萄』に収録。歌詞は北朝鮮による日本人拉致問題をテーマにしている。
2002年に拉致問題が表面化されて以降、桑田佳祐はこれまでも「人の生命(いのち)の重さより 重たいものは無い 誰もが夢を持って 帰らぬ君を待っている」と同年の全国ツアーで歌い問題の解決を訴え、2005年には「拉致された人々(ひと)を取り戻せっちゅうの!!」と叫び、2007年には「国交正常化などという美談で事実を風化させるなよ」とそれまでの拉致問題を扱った音楽(※1)でさえも踏み込まなかったストレートなメッセージを歌詞にして歌った。
そうした事も踏まえて改めて制作された楽曲であり、桑田自身さまざまな報道を通してなかなか状況が進展しない様子や拉致被害者の家族の辛い心情と、逆風の中で解決を訴えていく現状を察知し、気を揉んでいた事を述べており、この曲を「『ここからどうにもできないの?』といったシンプルなクエスチョン」と「解決を訴え続けている方々へのエール」と位置付けており、「私は或る特定の主義や思想の持ち主でもリベラリストでも右でも左でもない」「日本政府には解決に向けてもっともっとがんばっていただきたいという思いがあるだけだ」「一日も早い問題の解決を願ってやまない」と発言している。歌詞中の「Megumi」とは拉致被害者の横田めぐみの事である。
ローソンで配布された「スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』」では週刊文春の取材により石高健次、西岡力、五味洋治による拉致問題・北朝鮮外交についての解説と、横田めぐみの両親であり、かねてからサザンの楽曲を好んで聴いていたという横田滋・早紀江夫妻が登場し、この曲を絶賛するコメントが掲載された。
横田夫妻は実際に当楽曲を歌詞カードを追いながら聴き、時折滋・早紀江共々笑みを浮かべ、聴き終わると拉致問題が表面化されておらず横田夫妻を含めた一部の人物しか声を上げていなかった頃を回想し、「この曲で桑田さんが歌われているように、有名な方が拉致問題のことを歌ってくれたらと昔から思っていました。ですから、今ようやくその願いが叶った気がします」「この歌のとおりですね。本当にありがとうございます」と述べている。