概要
サザンオールスターズの54作目のシングル「ピースとハイライト」のカップリング曲。2013年8月7日発売。
2015年のオリジナル・アルバム『葡萄』、2018年のベスト・アルバム『海のOh, Yeah!!』にも収録された。
作詞・作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ
活動再開時に桑田の自宅で最初にリズムトラックを録音した楽曲。
「あの人」「栄光の男」と表現されているように、制作期間中に国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄をイメージして作った曲。無論ただの長嶋讃歌ではなく、長嶋を見て育った男のその後の人生を桑田らしい視点で描いたものになっている。
制作のきっかけも長嶋と松井秀喜が並んだ受賞セレモニーをテレビの中継で見て、大学時代の出来事を思い出した事からだった。
最初の歌詞に「立ち食いそば屋」が登場するが、実際の桑田は大学生時代、長嶋の引退試合を青山の喫茶店で見ていたと述べており、一つの時代の終わりを感じたのと同時に長嶋の人生と桑田自身を比較し、人目をはばからず号泣したと語っている。
桑田自身はこの曲の歌詞について「短編小説を書いたような気持ちになった」「大人になったつもりの今、『栄光の男』とは程遠い自分自身を鼓舞しているかのよう」と述べている。また、大サビのフレーズに関しては「芝居がかった感じでやってみた」という。
長嶋茂雄は桑田の人柄と功績を「素晴らしい。歌をはじめ、他の面においてもすごい方」と称えており、この曲に対して「桑田さんの素晴らしい音楽に私の野球がいくらかでも貢献できたと思うと大変うれしい気持ちです」と述べた。
桑田はこの曲を気に入っており、ライブでの演奏頻度も高く、2013年『灼熱のマンピー!!G★SPOT解禁!!』以降、少数の例外を除いてほぼ演奏されている。
2013年のスタジオツアーでは表題曲を差し置いて退場曲に使用している程である。
2019年の40周年ライブツアー後のインタビューで、(当時の考えで)「「栄光の男」の主人公が今は一番好きかもしれない」と語っている。
同ツアーのアンコールでこの曲が披露されたときには、長嶋選手の引退場面からイントロが始まり、さらに2番でイチロー選手の雄姿がスクリーンに映され、観客を驚かせた。これは長嶋・イチローサイドに許可をとった上での使用であり、同ライブの参加スタッフには協力として読売巨人軍やバウ企画(当時イチローが所属していたマネジメント会社)がクレジットされた。
なお桑田は中学生時代(茅ヶ崎第一中学校)に野球部で活躍しており(中学2年生の頃、新人戦で優勝投手という実績がある)、野球に関してはかなりの拘りを持っている。
『ブルー・ノート・スケール』(1987年)『素敵な夢を叶えましょう』(1998年)にはそれぞれプロ野球について意欲的に記載されており、長嶋の外に王貞治、落合博満、張本勲、村田真一などが好きな野球選手として挙げられている。また青山学院大学在籍時には長嶋や王の物真似をお家芸にしていたことを関口和之や斎藤誠らが述べている。
また、松田弘が読売ジャイアンツを熱狂的に応援していることはサザンオールスターズファンの間では知れ渡っており、ライブのメンバー紹介でもしばしば野球ネタが挿入される。
長嶋を主題に置いたこの楽曲に松田がどう反応するか桑田が興味を持っていたところ、「うんともすんとも云わなかった」ことで拍子抜けしたと『葡萄』の附属解説書に記されている。
桑田自身は「アンチ巨人=巨人ファンの裏返しであることはわかっているが巨人ファンとは云いたくない」という立場を取っている。
メディアでの使用
- メンバー全員出演の三井住友銀行「NEVER STOP CHANGING」CMソング。
関連動画
ミュージック・ビデオ
サザンのメンバーが野球のボールを投げ、キャッチした幅広い世代へ繋げていく内容。ブレイク前の永野芽郁(2:26 - 2:39を参照。曲で言うと2番のBメロである)がこのミュージックビデオに出演している。永野はブレイク後も好きな曲として「真夏の果実」を挙げ、サザンが大トリを務めた2024年9月23日開催の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』最終日を会場である国営ひたち海浜公園で観覧しており、サザンへの思い入れの強さを度々語っている。