愛宕権現信仰とともに全国各地に愛宕山と名付けられた山は存在するが、その中でも特に有名なのが以下の2ヶ所である。
以下、この二ヶ所について解説する。
愛宕山(京都府)
京都府京都市右京区と同亀岡市に跨がる山。山頂は京都市にある。標高890.06m。
比叡山とともに古くから信仰の対象とされており、山頂の愛宕神社は火伏せの神として祭られてきた。後に愛宕権現信仰として全国に広まっており、全国の愛宕という地名の元祖となっている。
戦前には嵐山から電車とケーブルカーによる登山ルートもあり遊園地やホテルが設置されるなど一大リゾートとして観光客で賑わったが、世界恐慌や戦争の影響でこれらが廃止・閉鎖されてからは戦後になっても再開することなく自然に還ってしまった。現在は徒歩でのルートのみである。
尚、落語の演目でも同名のものがあり、これは京都の旦那が大阪の太鼓持ちを連れて愛宕山にピクニックに来るという噺である。
愛宕山(東京都)
山頂には徳川家康により江戸の防火のために祭られた愛宕神社があるが、これが「天下取りの神」「勝利の神」と知られ、これまた全国各地に分霊が祭られる事になった。また、馬で石段を駆け上がって山頂の梅の枝を取ってきた事で馬術の達人として名が知れ渡った曲垣平九郎の逸話から、愛宕山の男坂は「出世の石段」としても知られるようになった。
また、日本初のラジオ局である東京放送局(後のNHK)が開局した場所でもあり、現在では愛宕神社の隣にNHK放送博物館が開かれている。