DDG-177「あたご」は、海上自衛隊が運用するイージスシステム搭載ミサイル護衛艦の1隻。あたご型護衛艦1番艦のイージス艦である。日本が保有するイージス艦としては5隻目。
性能の詳細は「あたご型護衛艦」の記事を参照。
イージス艦として現代によみがえる愛宕
三菱重工長崎造船所で建造され、2005年に進水、2007年に就役した。第3護衛隊群第3護衛隊に所属しており、定係港は舞鶴である。
艦名は京都府の「愛宕山」に由来し、由来を同じくする艦としては旧日本海軍の摩耶型砲艦3番艦「愛宕」、高雄型重巡洋艦「愛宕」に次いで本艦で3代目。
艦名は部内応募により決定したが、この際、旧海軍を代表した艦にちなみ「ながと」「ゆきかぜ」も候補に挙がっていた。しかしどちらも時期尚早として見送られ、こんごう型護衛艦以降のミサイル護衛艦は命名法則として山岳の名を用いることになったこともあり、結果的に「あたご」となったといわれている。ただし「ゆきかぜ」は海自でも、1954~85年にかけて存在したはるかぜ型護衛艦の2番艦として使用実績がある。
痛ましき衝突事故を乗り越えて
砲艦の初代「愛宕」は座礁のためほかの同型艦3隻(摩耶、鳥海、赤城)より早く除籍され、重巡洋艦の2代目「愛宕」もレイテ沖海戦の緒戦で米海軍の潜水艦に撃破され、悲劇的な最期を遂げたことから、「あたご」という艦名には反対意見も多く、当初から懸念する声もあった。
その懸念は異なる形で的中してしまう。
就役直後の2008年2月19日、本艦は千葉県南房総市沖で漁船と衝突、漁船側に2名の犠牲者を出す事故を引き起こしてしまう(護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件)。事故後しばらく「あたご」は横須賀基地に留め置かれ、翌月下旬まで乗組員の外出が禁じられたという。その後、本艦は戦列に復帰するが、この衝突事故では衝突前の漁船との位置関係から、漁船側に回避義務があったことが明らかになった。
その痛ましき衝突事故を乗り越え、2010年には「あけぼの」とともに環太平洋合同演習リムパックに参加。2013年には米軍との合同訓練ドーンブリッツ13に「ひゅうが」とともに参加という実績を積み重ね、現在にいたる。
また最近では、第2回護衛隊群米国派遣訓練に参加したが、このときは某ぽいぽい……もといゆうだちを従えていた。
関連イラスト
2015年8月の本艦の一般公開では、この艦隊これくしょんの愛宕のPOPを堂々と艦内に飾ったり、バルーンで掲げていた模様。
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「あたご」と同じく第3護衛隊群所属の護衛艦
みょうこう:「あたご」と同じく舞鶴を定係港とする、前級・こんごう型護衛艦の3番艦。2012年公開の米映画バトルシップの劇中で「みょうこう」とされているイージス艦は、実は「あたご」が演じている。
ひゅうが:舞鶴を定係港とするヘリ母艦。竣工当時は横須賀配属だった。
せんだい:第14護衛隊配属で舞鶴を定係港とする、あぶくま型護衛艦の4番艦。竣工当時は佐世保配属、その後呉を経て舞鶴にやってきた。
同時期に建造された海外艦
世宗大王(イージス艦):本艦同様に2010年のリムパックに参加した、韓国海軍初のイージス艦。やはり米軍のアーレイ・バーク級フライトⅡAをもとに建造された。同級は3隻が在籍する。
日本海軍
愛宕(重巡洋艦):重巡の2代目愛宕は呉海軍工廠(現・JMU呉事業所)で建造された。