概要
海上自衛隊の護衛艦名。2代存在し、旧日本海軍の初代神風型駆逐艦「夕立」の時代から通算で4代続く由緒ある艦名でもある。
DD-103「ゆうだち」(IV/現役艦)
本艦は住友重機械工業浦賀工場で建造され、1997年8月19日に進水、1999年3月4日に就役した、新むらさめ型護衛艦の3番艦。
3代続けて「村雨」~「むらさめ」、「春雨」~「はるさめ」の姉妹艦となった。
まずは平穏に任務を全うした先代と違い、こちらは2002年以来3度のテロ対策特別措置法(3回目は新テロ特措法)によるインド洋派遣、そして2013年1月30日に発生した中国海軍によるレーダー照射事件の自衛隊側の当事者となるなど、先々代ほどではないにしろ波瀾万丈の艦生(?)を送っている。
就役当初は舞鶴基地を司令部とする第3護衛隊群第7護衛隊に所属し、佐世保基地を定係港としていた。2013年度からは7護隊所属のまま、定係港を大湊基地に改め、現在に至る。
- 最近では第2回護衛隊群米国派遣訓練にもイージス艦「あたご」とともに参加。また2016年度上半期には、第24次派遣海賊対処行動水上部隊として「ゆうぎり」と共に4度目のインド洋展開に臨んだ(3月6日大湊基地出発~9月7日帰国)。
- 本艦が生を受けた住重浦賀は、まだ浦賀船渠と呼ばれていた1920年代に駆逐艦「望月」が生を受けた場所でもあり、現「ゆうだち」は、その望月の名を受け継いだ「たかつき」型3番艦・2代目「もちづき」の置き換えを目的として導入された(ただし「もちづき」は退役当時すでに特務艦に種別変更されていた)。
DD-108「ゆうだち」(III)
石川島播磨重工業東京第1工場で建造され、1958年に進水、翌年就役した、旧むらさめ型護衛艦の2番艦(同型3番艦は「はるさめ」)。
「夕立」を命名された艦船としては前述の初代神風型駆逐艦、白露型駆逐艦に次ぐ3代目となる。
同型の「むらさめ」「はるさめ」もそうだが、主砲として、米軍の空母ミッドウェイより移された5インチ単装砲を3門、装備していた。この5インチ砲のかつての持ち主であるミッドウェイは、2代目の夕立(と、同型艦の村雨・春雨)が参戦したミッドウェイ海戦の由来となった艦でもあり、皮肉な運命を感じさせる。
はつゆき型護衛艦の増備にともない、1984年の特務艦への転籍を経て、1987年3月に除籍となった。
本艦就役ののち、同じ石播東京では前述の2代目「もちづき」が竣工している。
余談
- 4代目「ゆうだち」は、あぶくま型護衛艦の3番艦「おおよど」との縁が深く、「おおよど」が一足早く大湊へ転属した2011~12年度を除き、同じ基地を定係港にしている(あぶくま型5番艦「ちくま」も大湊基地を定係港に持つ)。さらに佐世保配属時代には、あたご型護衛艦の2番艦「あしがら」ともねぐらを同じくしていた。
- 4代目「ゆうだち」の建造先である住重浦賀は4年後の2003年3月、準同型にあたるたかなみ型護衛艦のネームシップ、「たかなみ」の竣工・就役を最後に閉鎖され、浦賀船渠時代からの長い歴史に幕を閉じた。
- 3代目「ゆうだち」の艦番号だったDD-108は、現在は4代目「ゆうだち」の妹艦にあたる4代目「あけぼの」の艦番号になっている。この「あけぼの」は3代目「ゆうだち」および自身の先代(同型艦のない沿岸護衛艦)と同じ石播東京の生まれだが、同艦が就役した直後の2002年3月末をもって石播東京は閉鎖された。住重浦賀の閉鎖の前年にあたる。
関連タグ
むらさめ型護衛艦:むらさめ-はるさめ きりさめ-いなづま-さみだれ-いかづち-あけぼの-ありあけ
4代目ゆうだちと同じ第3護衛隊群第7護衛隊所属の艦
4代目ゆうだちと同じ住重浦賀生まれの現有海自艦
村雨(艦隊これくしょん)/春雨(艦隊これくしょん)/曙(艦隊これくしょん)
大淀(艦隊これくしょん)/筑摩(艦隊これくしょん):現「おおよど」は2代目、「ちくま」は3代目。
高波(艦隊これくしょん):横須賀基地を定係港に持つ当代「たかなみ」は3代目。
妙高(艦隊これくしょん):2代目にあたるこんごう型護衛艦の3番艦みょうこうは、現「ゆうだち」と同じ第3護衛隊群所属のイージス艦。こちらの定係港は舞鶴基地。
愛宕(艦隊これくしょん):3代目にあたる舞鶴配属のイージス艦あたごは、あたご型護衛艦の1番艦。蛇足だが艦これの愛宕は、夕立(改二以前のノーマル夕立)とは金髪碧眼である点で共通する。
足柄(艦隊これくしょん)/夕柄:現在も佐世保配属のイージス艦「あしがら」は2代目。
むらさめ型、たかなみ型、あぶくま型←自衛艦これまたは改自のタグ
日本海軍