※艦名は旧日本海軍の春雨型駆逐艦・初代「有明」、初春型駆逐艦の2代目「有明」に続くもので、元米国海軍の駆逐艦だった護衛艦の3代目「ありあけ」、現在運用中であるむらさめ型護衛艦の4代目「ありあけ」の2代が存在する。
4代目(現役/DD-109)
DD-109「ありあけ」は、中期防衛力整備計画に基づく平成9年度計画4,400トン型護衛艦2238号艦として三菱重工長崎造船所で建造され、1999年5月18日起工、2000年10月16日の進水ののち、2002年3月6日に就役した、新むらさめ型護衛艦の9番艦(最終艦)。
最終艦ではあるが、実際の就役は東京生まれの8番艦あけぼのより2週間ほど先んじている。
竣工就役とともに第2護衛隊群第6護衛隊に編入され、佐世保基地に配備された。
この第6護衛隊配属時代の2003年と2004年には、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「こんごう」(2003年分はほかに補給艦「はまな」)と共にインド洋で任務に従事。2006年には環太平洋合同演習 (RIMPAC)に参加、真珠湾、サンディエゴに寄港する。
2008年3月26日に第3護衛隊群第7護衛隊に転属。その年、新テロ特措法に基づく補給支援活動にともないインド洋に赴く。4年後の2012年9月には、ウラジオストク港とその周辺海域で実施される日露捜索・救難共同訓練に参加するため護衛艦「おおよど」と共に同月26日に訓練を実施している。
2013年には、第16次派遣海賊対処行動水上部隊として4度目のインド洋派遣に参加。このときは護衛艦「せとぎり」を同伴していた。
2014年3月13日に現在の第1護衛隊群第5護衛隊に転属。
2016年には「せとぎり」と共に、海上自衛隊の艦船として初めて、ベトナム・カムラン湾に寄港している。
定係港は就役から一貫して佐世保である。
3代目(除籍済み/DD-183)
他方、3代目にあたるDD-183「ありあけ」は1960年3月21日に就役した、ありあけ型護衛艦のネームシップ。
当初は米国海軍のフレッチャー級駆逐艦・DD-663「ヘイウッド・L・エドワーズ」で、1944年1月26日に就役した。第二次世界大戦後はモスボール状態にあったが、1959年3月10日、日米艦艇貸与協定に基づき、のちに「ゆうぐれ」となるDD-664「リチャード・P・リアリー」とともに米国ロング・ビーチで日本に引き渡され、そのまま曳航ののち4月16日に横須賀港に到着している。浦賀船渠でのモスボール解撤を経て、4月20日に自衛艦旗授与式を行い、正式に海自艦となった。
2番艦「ゆうぐれ」ともども、訓練を主任務として運用されることから、海自艦となる際に5インチ3番砲、20ミリ機銃及び21インチ魚雷発射管を全て撤去し、40人収容の実習員講堂を新設、燃料タンクの一部を真水タンクに改造している。また「ありあけ」はソナーをQJAに換装した。
就役とともに横須賀地方隊配属となるが、1963年12月からは「ゆうぐれ」ともども練習艦隊に転属、さらに1970年には実用実験隊(開発隊群の前身)に転属している。この際、本艦は防衛庁技術研究本部で開発中の低周波遠距離用の試作バウ・ソナーT-101の実験艦に改造された。改造はIHI(当時は石川島播磨重工)で行われ、従来の艦首を切断し、新造のバウ・ソナー用艦首に改めるとともに、5インチ1番砲を撤去、艦首部の弾薬庫や居住区にもソナー関連機器を収め、従来の講堂にもディーゼル発電機が設置された結果、全長が5.5m長く、排水量は230トン増加した。
1974年3月9日に除籍、米軍に返還された。その後は1976年に売却、のち解体されたが、詳細な時期は不明である。
関連
こんごう、あけぼの(護衛艦)、あきづき:4代目ありあけの第5護衛隊における同僚。