※Pixivでは2代目を指すことが多いと思われるため、親記事は「汎用護衛艦」としている。
むらさめ型汎用護衛艦(現役)
海上自衛隊の第3世代汎用護衛艦。基準排水量約4,550トン、満載排水量約6,100トン。前々級はつゆき型護衛艦の後継として平成3年(1991年)度予算で初めて導入され、1996年に1番艦「むらさめ」が就役した。9隻が建造されており、現在の護衛艦隊の数的主力である。
汎用護衛艦としてはVLSと90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を初搭載したほか、初めてステルス性を意識し、艦上構造物に傾斜を設けるなど、新機軸を多用しているのが特徴。なおVLSはアスロック用のMk.41とシースパロー(後にESSMに更新)用のMk.48を混載しており、二種類のVLSの混載した艦級、Mk.48を搭載した艦級としては海自唯一である。
また、ヘリ格納庫は最初からSH-60が2機搭載できるように設計されている。前級あさぎり型護衛艦でも格納庫は2機搭載できる広さはあったが、設計の最終段階で急遽行われた改設計だったために無理が生じており、実際に運用されることはなかった。本級では海外派遣に際して実際に2機を搭載運用した事例がある。
2020年代時点で艦齢が20年前後に達しつつあるが、改修としてあさひ型護衛艦のOPY-1、またはもがみ型護衛艦のOPY-2フェーズドアレイレーダーの搭載による能力向上が検討されている。
同型艦
むらさめ型対空護衛艦(除籍)
昭和30年(1955年)度から昭和31年(1956年)度予算で建造された対空護衛艦。同時期に計画されたあやなみ型護衛艦が対潜能力に重点をおいていたのに対し、対空能力に重点をおいた艦として建造された。
対空兵装として54口径5インチ単装砲を3基、50口径3インチ連装速射砲を2基搭載するほか、対潜兵装として短魚雷落射機、ヘッジホッグ、爆雷投射機を搭載し、兵装は重量比で18%に達する重武装の艦であった。
同型艦はむらさめ・ゆうだち・はるさめの3隻。1987~1989年に退役した。
旧日本海軍の駆逐艦から艦名を継承
むらさめ型対空護衛艦は3隻すべて、むらさめ型汎用護衛艦も9隻中「きりさめ」を除く8隻が旧日本海軍の駆逐艦の名を受け継いでおり、白露型駆逐艦、吹雪型駆逐艦、初春型駆逐艦に由来する。
白露型由来
「むらさめ」(3代目・4代目)・・・3番艦「村雨」(2代目)
「はるさめ」(3代目・4代目)・・・5番艦「春雨」(2代目)
「ゆうだち」(3代目・4代目)・・・4番艦「夕立」(2代目)
「さみだれ」(2代目)・・・6番艦「五月雨」(初代)
吹雪型由来
「いなづま」(4代目)・・・最終24番艦「電」(2代目)
「いかづち」(4代目)・・・23番艦「雷」(2代目)
「あけぼの」(4代目)・・・18番艦「曙」(2代目)
初春型由来
「ありあけ」(4代目)・・・5番艦「有明」(2代目)
関連項目
はるかぜ型護衛艦:1956~1985年に在籍していた海自初の国産護衛艦で、白露型駆逐艦を参考に設計された。「はるかぜ」「ゆきかぜ」の2隻。
たかなみ型護衛艦:新「むらさめ」型の次級にあたる汎用護衛艦。
曙(駆逐艦):吹雪型のうち、第二次大戦終結時に残存していた3隻の中の1隻。ちなみに新「むらさめ」型の艦名に受け継がれた駆逐艦8隻の中で、終戦を迎えられたのはこの曙のみである。