概要
アメリカ合衆国で1970年代に実用化された短射程の艦対空ミサイル。
空対空ミサイルのAIM-7スパローをベースとして開発されており、型番は「RIM-7」。
射程は7~20km程度と比較的短射程で、艦隊内では各搭載艦ごとの短距離の防空を担当する。艦隊全体の防空を担うスタンダードミサイルなどの長射程艦対空ミサイルが、艦隊に接近する敵攻撃機・敵対艦ミサイルを撃ちもらした際の補間的な役目を果たす。
なお米海軍では対水上モードが存在し、対艦ミサイルとして使用する事も可能。あくまでも対空ミサイルであるため、純粋な対艦ミサイルよりも威力は劣るが、上部構造物を破壊する威力はある。
水上目標に対しては、基本的に対艦ミサイルや艦砲(機関砲を含む)を使った方がいいが、空母のようにそれらを元々積んでいなかったり、なんらかの事情で使用不能になった場合の最終手段だと思われる。
事故ではあるものの実例があり、演習中にフォレスタル級空母「サラトガ」が、本来はあくまでシミュレーション上での発射指令だったはずが、本当にシースパロー2発を発射してしまい、トルコ海軍機雷敷設艦の艦橋に命中し戦闘指揮所を破壊、5名の死者と15名の負傷者を出した事がある。
開発国のアメリカ海軍のほか、冷戦時代から20世紀終盤にかけて西側諸国の海軍に輸出され、海上自衛隊にも広く配備された。
近年は最新発展型の発展型シースパロー(ESSM)に更新が進められている。ESSMは射程や機動性から電子機器まで大幅に強化されており、また従来のシースパローはイージス艦の戦闘システムと相性が悪いこともあって、徐々に活躍の幅を縮小しつつある。