概要
時は江戸時代嘉永6年（1853年）、江戸幕府はそれまでの大船建造の禁を解き浦賀造船所を設置した。その後横須賀港に製鉄所を設置することとなったが、官営としての浦賀造船所は明治9年（1876年）に移転閉鎖された。この移転先となる横須賀造船所が後の海軍横須賀海軍工廠となる。
明治時代
明治27年（1894年）、元浦賀奉行与力中島三郎助（官営浦賀造船所の責任者）の意思を継いだ荒井郁之助・榎本武揚・塚原周造が中心となり、明治30年（1897年）にかつての浦賀造船所の地に浦賀船渠が設立された。同時期、石川島造船所浦賀分工場との間で受注競争が激化し、浦賀船渠が石川島造船所浦賀分工場を買収することで決着した。この石川島造船所は後に事業統合されたジャパンマリンユナイテッドの系譜につながることとなる。
明治40年（1907年）に初代神風型駆逐艦「長月」の建造を受注し、以降海軍艦艇や貨物船や青函連絡船などを手掛けた。
昭和時代 （戦前）
昭和に入るとますます駆逐艦を中心に艦艇の建造が盛んとなった。
1945年（昭和20年）までに軽巡洋艦2隻、砲艦1隻、駆逐艦44隻、海防艦11隻を建造、2隻が建造中止となった。
（建造艦内訳）
砲艦：厳島
神風型（初代）：長月、菊月
樺型：桐
樅型：柿、萩、菱、蓮
若竹型：早苗、早蕨
神風型（2代）：追風
択捉型：隠岐、福江、干珠、笠戸
鵜来型：新南、屋久、竹生、神津、保高、伊唐、生野、蔚美(未成)、室津(未成)
昭和時代（戦後）以降
戦後も海上自衛隊向け艦艇を続けていたが、昭和44年（1969年）に住友機械工業と合併し住友重機械工業浦賀造船所となった。
平成7年（1995年）、艦艇造船事業をIHI（前述の石川島造船所の後継企業）と統合し、共同出資により株式会社マリンユナイテッドを設立、同社の浦賀工場となる。（現在は合併を続けジャパンマリンユナイテッドとなっている。）
平成15年（2003年）海上自衛隊護衛艦「たかなみ」の建造を最期に浦賀工場は閉鎖された。
海上自衛隊向け建造艦
むらさめ型護衛艦(初代)：「はるさめ」
やまぐも型護衛艦：「あおくも」「あきぐも」「ゆうぐも」
はつゆき型護衛艦：「はつゆき」「はるゆき」「あさゆき」
あさぎり型護衛艦：「ゆうぎり」「せとぎり」
むらさめ型護衛艦(2代)：「ゆうだち」
たかなみ型護衛艦：「たかなみ」
ゆうばり型護衛艦：「ゆうばり」
あぶくま型護衛艦：「せんだい」「とね」
