「テスト、開始」
「不思議な反応の原因がわかったわ、あなたがいたからよウルトラマンコスモス。あなたがいなければ地球人は『文明人に相応しい行動』を採ったか解らない」
データ
別名 | 超高度文明人、宇宙少女 |
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身長 | 135cm |
体重 | 32kg |
出身地 | 宇宙 |
演 | 秋元眸 |
概要
第55話「最終テスト」に登場。
地球の文明の調査・破壊の為にミーニンを送り込んだヒューマノイドタイプの宇宙人。特殊な光線を放って相手を眠らせることが出来る。
火の玉に変身して地球の文明が危険かどうかを測定していたが、地球人にテストを行うべく自ら赴いた。
彼女自身は「大きな力に大きな力で対抗する地球人のやり方は文明人のやり方ではない」と断じており、ミーニンが入っていた2つのガモダマと共に地球に送った箱の中に「この箱を開けし文明を持てる者、ガモランにより滅ぼされるべし」との脅迫文を入れ、片方のミーニンがバイオコントローラーの破損により巨大化に失敗した為、もう片方をガモランに変え、地球の文明を破壊しようとした。
だが、地球を破壊する為に送り込んだガモランに対し、地球人とウルトラマンコスモスが攻撃こそしたものの、最終的には助けんと行動をした為に興味を持ち、鏑矢諸島に保護されていた2体のミーニンの内、以前ガモランにならなかった片割れを連れ去り、バイオコントローラーを取り付けてガモランⅡへと変えるや『「人類がウルトラマンの力を借りずにどこまで文明的な行いが出来るか?」のテスト』として、コスモスへの変身能力を封じガモランⅡを暴れさせた。
しかし、EYESがガモランⅡへの攻撃に踏み切る前に、フブキ隊員と残る1体のミーニンが説得し助けようとした姿を見て変身能力を復活させ、コスモスによってバイオコントローラーが破壊されたガモランⅡが元のミーニンへと戻る。
最後の最後まで彼女の正体(出身の星がどこか、なぜ一方的なテストを地球に課した目的等々)はわからなかったが、フブキ隊員の武力以外の解決策を試みた姿勢から、地球人に「合格」を与えた後に宇宙に帰っていった。
『超高度文明人』の思想
劇中の行動自体は「発達した文明の負の側面=『武力の暴走』の危惧と警告」であり、最終的には地球人を認める言動を見せた為、本質は(実害こそ出したものの)『平和を第一義とする善意に満ちた存在』である。
だが、その行動の端々は、善き面も悪しき面も突き抜けて極端になっており、とても同一存在に見えないのが実状でもある。
『平和を望む者』として
EYESは確かに怪獣保護の任務を的確に実行できていたが、その実長い期間人類が怪獣の保護・浄化がコスモスに頼り切りだったり、コスモスがいなければ今ほど怪獣を保護できなかった現状がある。
また、シゲムラ参謀や西条武官のように、コスモスの存在や『怪獣保護』の理念を否定し、抹殺に踏み切ろうとする危険な人間がいるのも事実である(特にコスモスに頼り切りの点は、後にとんでもない事態の引き金となってしまう……)。
また、上記の通り『コスモスの存在が欠片にも地球上になかった』場合、ミトルの指摘通り「地球人が『文明人に相応しい行動』を採った」か分からないのも現実である。
更には今作の後日談にして最終作である『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』では、この世界の守護者たるデラシオンから「地球文明は2000年後に宇宙にとって害悪になる」と判断された後、一方的な地球リセットまで勧告されている。
ヒウラキャップが口にした「コスモスのせいばかりではない。地球人は共生不可能と思える怪獣とも手を取り合おうとしている」人類は、いつか彼女の出したテストに完璧な回答をする時がくるだろうか?
『狂気の非戦論者』として
一方で、劇中での行い自体は『自分達の文明の偉大さ・優位性』を笠に着て振る舞う行為そのものであり、本質的にはモネラ星人やチブル星人エクセラーと何ら変わらない存在でしかない(そもそも、一方的に『自分達以外の文明の破壊の可否』を大前提としたテストを押し付ける、ミーニンに対する道具そのものの扱い等は『自分達以外の生命を軽んじる行為』そのものであり、端的にお前が言うなと見られても仕方ない。特にミーニンの扱いは命の冒涜者と大差ないものである)。
万が一その行いに何らかの正当性があるのだとしても、その場合するべきなのは真っ先に「是正勧告」、させるべきなのは「改善努力」である。「じゃあ死ね」と絶滅に走る様な真似ではない。
劇中のミトルの言動は端的に言えば、唐突に鳥が魚に「高度な生命体なら飛べて当然、泳ぐなんて下品」などと指摘しても、された側からは環境が違う以上「知らんがな」と一蹴されてしまうのである。
そもそもの話「強大な宇宙人・怪獣が『明確な悪意・害意・敵意』を持って攻めてきた場合、力で対応する以外の選択肢がない(最初から滅ぼす、侵略する意図を持つ以上、説得に効果があるとは思えず、その場合『反抗』以外には『服従』か『絶滅』の2つの末路しか無い……以前に、説得が通用する相手ならまず交渉にくるはずである。劇中でもあのノワール星人ですら、最初は交渉していた)」にもかかわらず、その最低限の自衛すら「『文明を有する生物』として相応しくなく危険」と断定し滅ぼそうとするのは、独善的で頭のイカれた破壊者としか評しようがない。
超高度文明人達が過去に、超兵器R1号と同等の轍を踏んでいるならともかく、常識的に考えて星に攻め込まれている以上は退治はやむを得ずだろうし、そこを『平和的追放』や『保護』でなんとかしているのが、EYESでありコスモスである。
しかし『平和的追放』の選択肢は、作中たまたま理由あっての暴走であったりしたのを解消した結果、運良く自主的に去っていっているだけで罷り間違えれば、本来『自分達が被るだろう実害』を他の星や文明に押し付ける行為に豹変してしまう危険性も秘める。
「では、なんらかの手法で保護すればいいのか?」とするにも、一概にそうならないのが現実である。
リドリアスの様に元々大人しい怪獣はともかく、「現状は700年分のエネルギーで満腹だから、大人しくしているだけ」で700年後また空腹になれば、間違いなくエネルギーを捕食する為に破壊活動を始める事態が予想できるボルギルスを始めとする、根本的な問題の解決が不可能の先送りにしかならない怪獣等が存在する以上、考えなしに『保護』と『追放』を繰り返して周りに迷惑を掛けたり、将来自滅するハメに陥るのであれば、それこそ臭い物に蓋をしているだけの、程度の低い文明の生物が行う愚策であろう。
また、ザ☆ウルトラマンのタフギラン親子のように、大人しく狂暴性はないが食性等の怪獣毎の生態によって、存在するだけで周囲に甚大な被害を及ぼす怪獣や、元来は大人しいがカオスヘッダーやスフィアによるカオス怪獣やスフィア合成獣化、環境汚染や破壊等で狂暴な存在に変質してしまったオプト等、何時・何処で・何が原因で文明に害なす存在が出現するか分からない状況もある以上、『自衛』であれ『自分達以外の被害を抑える』為にも、非情な決断をする必要性があるのだ。
コスモスでさえ敵に自我が無かったり、決して分かり合えない悪が相手の場合はコロナモードで抹殺している以上、やはり保護にせよ自衛にせよ最低限の武力保持は当然であり、でなければなす術なく蹂躙される以外ない。
「力で勝つだけじゃ何かが足りない」のと同様に、「優しいだけでは何も守れない」のも事実なのだから。
総括
以上の考察からミトル達『超高度文明人』は「『自分達の眼鏡に合致した存在』には友好的に振る舞い、そうでない存在には『(超高度文明人の独善的な尺度による)平和』の大義名分を振りかざす」のが基本的な思想と思われ、見方によっては光の国やウルトラ戦士達が道を違えてしまった姿とも評せるだろうか。
余談
当初は劇中より上の年齢が想定されていたが、「純粋な子供の方が良い」との意見により変更された。
当初は特定の名称が無く『宇宙船YEARBOOK2003』『ウルトラマンコスモスイズム』では単に少女、『ウルトラマン画法下巻』では異星人の少女、『テレビマガジン特別総集編ウルトラマンコスモス』では宇宙少女、『ウルトラマンコスモス超全集』では宇宙人少女と一貫しなかった。だが2013年に発売された『円谷プロ全怪獣図鑑』に記載されたミトルが公式名称となった模様。
関連タグ
それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…:安易に平和を叫ぶだけではなく、時には敵に毅然と立ち向かう選択も確かに必要だが、やり過ぎればそれは厄災の呼び水にしかならない。ミトルが危惧しているのは恐らくコレなのだろうが、やり方が的外れである。
テラノイド/ビクトリウム・キャノン/特空機4号ウルトロイドゼロ:上記の考えに盲信した者達による最悪のアンサーそのもので、いずれも地球に仇なす脅威となった。
ギエロン星獣/ヴァルキューレ星人:上記の考えの被害者による最悪のアンサーそのもの。
デラシオン:ある意味で同類。もっとも、デラシオンは過去の反省からの強硬路線を採っていたのもあり、最終的にはウルトラ戦士及び光の国と和解し、後に共同戦線を張るようになる。
宇宙工作員:『ウルトラマンマックス』に登場する文明を調査した上で破壊しようとする辺りやってる行いはほぼ同じ宇宙人。こちらの方が過激だが後のシリーズにて疑問を抱く同族もいる。
セミ人間:ガモランの元ネタを送り込んだ宇宙人。こちらは最初から侵略目的で送り込んできた。地球人への警告の点では、ナメゴンを送り込んだ火星人に近いかもしれない。
ギルバリス及びギャラクトロン:ミトル達〈超高度文明人〉と同じ、独善的過ぎる理由で他の文明を破壊する機械群。こちらは最低限の目安に照らし合わせ、それに外れた瞬間に徹底的な殲滅を開始すると更に質が悪い。また、ミトルは「大きな力に大きな力で対抗する地球人のやり方は文明人のやり方ではない」、ギャラクトロンは「人間の文明から争いがなくならないのは、この星の残虐な生態系を模倣しているから」と、然も自分達は『正しい文明の有り様』を知っている風ながら「文明を有する存在なら知っていて当然」の態度だけを押し付ける=他の文明にそれを教える意思がほぼない悪辣さも共通している。
V99:本来は平和であると思われるが、劇中のすれ違いによって極端な行動に走ってしまった意味では同類に当たる存在。こちらもワームホールを任意に制御する、兵器じみた怪獣群を無数に生む等々、地球を圧倒する文明や文化を保持している。
光の星:シン・ウルトラマンにおける超高度文明人の皆さん。あるアイテムを使用すると人類を光の星の戦士と同等の力を持った生物兵器に転用可能(しかも、技術レベル的に外部からの防衛手段がないに等しい)な仕様が、とある宇宙人によってマルチバース全域に広まってしまった為、その争奪戦を防止するためとある超弩級戦略兵器で人類を滅亡させようとした。しかし、その一方で未発達な知的生命体である人類がその叡智を結集して、超弩級戦略兵器を破壊した際には、彼等の知恵と行動力に敬意を表し、裁定を撤回する面も見せており、ミトル達〈超高度文明人〉と違い決して融通の利かない存在なわけでもないようだ。
ザマス:ドラゴンボール超に登場する界王神(神様の上司の界王の更に上司)見習いの1人。ある程度方針には個人差があるものの、基本的に「自分で人間性のレベルを上げられなくては意味がない、あまり干渉するのは良くも悪くもマズい」とする方向が多い界王神達の中で「野蛮な人間(知性のある生き物を指すので彼も彼も人間である)は不要、積極的に排除すべき」とした潔癖かつ過激な思想を持っており、最終的には「野蛮な人間」どころか「全ての人間は不要」にまでエスカレート、その場合のための専門の役職があるにもかかわらず、宇宙全土の人間の抹殺を独断で行い、最後は地球のみの段階まで行ってしまった。
中村千鶴:ヒロインたるもの!に登場するキャラクター。『自らの崇高対象のためならあらゆる暴動をも起こす』とした、ミトルや上記のザマスに匹敵する異常思想を見せており、実際に劇中では今まで一部の行動を黙認しながらも、様子見していたとある監視対象が「とてもふさわしくない行動をしていた」事実を知った途端に掌を返し彼女(だけでなく崇高対象すらも巻き込んだ)の情報を独断かつ単独で横流しし、更にその人物に対しても怒りをエスカレートさせ、あわや殺しかける段階まで行ってしまった(幸い、殺されかけた人物の命に別状はなく、後の話で何とか和解はできたが)。ある意味ではミトル達〈超高度文明人〉に近しい存在とも称せる。
リリーナ・ピースクラフト:新機動戦記ガンダムWに登場する、近似した平和思想の持ち主。但し、こちらは普通の人間の少女にして、分かり合えない思想の持ち主であって諦めずに交渉し、分かり合う努力をする人間であり、ミトル達〈超高度文明人〉のように『分かり合えないだろう存在』を見下し、切り捨てない違いがある。
イデ:ある意味でミトル達『超高度文明人』と同様の思考を持つ先達。こちらも守る為の武力を否定し、最終的に銀河規模のジェノサイドを実行した。
正義のためなら人間はどこまでも残酷になれるんだ、正義はあっても正解というものは無いのだ、正しさで裁き合うようなこの世界で:ミトル達『超高度文明人』の有り様を皮肉った言葉。