概要
「イデ」(IDE)とは、バッフ・クランの英雄譚に登場する存在。恐るべき力を持った九頭怪獣の前に倒れた英雄の元へ、果実として現れ、無限の力を与えたという。
昔々、バッフ・クランを治めていたお姫様が悪い龍に攫われたことがありました。
そのために光は失われ、木々は枯れ、人々は嘆き悲しみました。
そのとき一人の勇敢な若者が龍に立ち向かいましたが、力尽きて倒れました。
そのとき倒れた若者の眼の涙に反応して、天からイデの果実が落ちてきました。
その果実を口にした若者の体には力がみなぎり、龍を倒すことが出来ました。
若者は助けたお姫様と結婚して、バッフ・クランの王となりました。
正体
イデの正体は、数億の第六文明人(ソロ星の先住民族)の意志が集積して作り出された場である。原作者である富野由悠季によれば、「《知的生物の認識力の集中した場》と思ってください」。この場は1個の意志集合体と言い換える事も出来、自意識を持って、イデオンやソロ・シップ及びそれらの操縦者、クルーに干渉してきた。
元ネタ
アニメックのインタビューで、富野はイドの怪物(SF映画『禁断の惑星』に登場する人間の潜在意識が形となって現れたモンスター)と同じだと考えて下さいと答えた。
「禁断の惑星」で描かれたイドの怪物とは、ある古代文明人が精神力をエネルギーに変換するシステムを完成させたものの、潜在意識(イド)に眠る破壊衝動を制御出来ずに暴走させてしまい、システムだけ残して文明を滅亡させてしまった存在である。
特徴
イデは、パイパー・ルウのような子供達が持つ「純粋な自己防衛本能」に対して反応する。
物語冒頭、地球人とバッフ・クラン人がイデオンを巡って小競り合いを始めた時点で本来ならばイデは即最終発動してもおかしくない状況であったという。それでも発動せずにいたのは、パイパー・ルウの存在によるものだった。
劇中ではルウ、コスモ、モエラ、ギジェ達の恐怖心や純粋な防衛本能に反応し、その都度イデオンやソロシップはバリヤーの強化や新たな武器の発動など、力を解放していった。
ソロ・シップはイデの意志の発生する場であり体でもある。ソロシップに乗艦しているクルー達もイデであると言え、対話によって故郷と地球の和平を目指すバッフ・クラン人カララ・アジバも例外ではない。また、彼女がジョーダン・ベスとの間にバッフ・クラン人と地球人類のハーフである赤ん坊メシアを身籠ったという事は、イデが受胎したのと同義であった。イデは、メシアを守るというエゴの大義名分が出来てしまったから、彼を守るために力を発現させていった。
一方で、戦火の中心人物であり、最後まで地球との抗戦姿勢を崩そうとしなかったカララの父親であるドバ・アジバに対しては「倒すべき敵である」という認識をコスモ達に与えた。
発動篇でメシアを身籠ったカララは、彼を守るためにハルル達を攻撃する意思を見せたことでイデから見放され、無残な死を迎えている。
そして、そんな彼女の死体の中でイデの加護によってなおもメシアが生き続けていたことで、コスモやカーシャ達は「イデは自分たちを見捨てて、次世代の新生命に託した」と悟り、「自分たちは何のために生きてきたのか」と絶望することになる。
行動目的
イデが願うのは、人類が善き進化を遂げてくれる事である。
第六文明人の全人口の意志を吸い尽くし誕生したイデは、彼等の残存有機体を埋め込んで、地球人とバッフ・クランを作った。数億の時間をかけて眠りから目覚めたイデは、地球とバッフ・クラン双方を掃討する為に流星を生み出した。これは単に人間を皆殺しにしたい訳ではなく、善き形での人類の再生を考え、双方の惑星の生命体の意志を新たなる人生再生の為に出来るだけ集めようとしていた。
発動
TV版では、自分の意図と裏腹に争いをやめようとしないバッフ・クランと地球人類を見たイデは彼等に完全に失望し、自身が消滅するギリギリのエネルギーを放出して、因果地平へ吹き飛ばすというジェノサイドを敢行したところで、物語は幕を下ろした。打ち切りでアニメが終わってしまった為、少々分かりづらい部分があった。
劇場版及び小説版では、 因果地平に飛ばされた後の両人類の再生のプロセスが克明に描かれ、ギジェが大人の水先案内人として、メシアは人類全体の水先案内人として皆を先導し、『伝説巨神イデオン』は終結した。
関連イラスト
余談
チリの伝承に同じ名前の奇怪な姿の怪物が存在している。詳細はこちらで。
イデ発動の全滅エンドの類例オチ含み御勘弁
UFOロボグレンダイザー(冒険王版) 但し、兜甲児、弓さやか、ズリル長官は生存
聖戦士ダンバイン但し、チャム・ファウのみ生存
ゴッドマジンガー漫画版
神の獣
アニメ作家の作家性全開をイデの発動に例えるファンもおり、
(例)富野由悠季のイデ発動 伝説巨神イデオン 聖戦士ダンバイン 機動戦士Zガンダム 機動戦士ガンダム逆襲のシャア
と言うファンもおり、イデオン、ダンバイン、Zは大量死エンドだった事もあり例えられた。また、もののけ姫は富野作品へのアンサー作品と言われている。
関連タグ
ゲッター線、ビムラー:スーパーロボット大戦では対として描かれる存在。
DG細胞:スーパーロボット大戦ではほぼ同一として描かれている
人類補完計画:新世紀エヴァンゲリオンで登場する架空の計画。人類を単一生命として融合・転生させるといったもの。第3次スーパーロボット大戦αでクロスオーバーした際には、イデはこの計画の在り方を肯定している。
マジンガーZERO:世界のリセット、無限のエネルギーといった似通ったフレーズがあることからよく似た存在と誤解されることが多い。実際は根底の部分で真逆の思想を持つ。その為かとある漫画ではZEROが紡ぐ世界はイデの思想に相いれなかった為、主人公側の助っ人として現れた。
終焉を超えた誓い:現在のロボット作品にある中で最もイデに近い存在。実質『自我の無いイデ』そのものと言える。
文明自滅ゲーム:ある意味これを体現し、一つの宇宙規模でやってしまっている。