概要
CV:石森達幸
バッフ・クラン宇宙軍総司令で、バッフ・クランの軍人階級「サムライ」の最高位「ハング」の称号を持つ武人。ハルル・アジバとカララ・アジバの父親でもある。
ズオウ・ハビエル・ガンテ大帝が支配するバッフ・クランの独裁体制の打破のために「イデの力」を手に入れるべく、目的を同じくするバッフ・クラン貴族のギンドロ・ジンムと協力体制を敷いてイデオンをつけ狙う。
テレビ版と劇場版で活躍が異なる。
テレビ版
バッフ・クラン宇宙軍すべてを使ってソロシップに対する大包囲作戦を行う。
最終回において娘カララ・アジバとの再会を果たすも、地球人の子供を宿していた娘に激怒し、イデの期待を裏切ってカララおよびソロ・シップの殲滅を命じた。そのためイデが発動し、二つの種族は滅亡してしまった。
わずか3話の登場であり、演じた石森氏も困惑したという。
劇場版
テレビ版より出番が増え、キャラクターとして掘り下げられている。
発動篇は、再会したカララがハルルに射殺されるなど物語の進行が変わっている。
イデからも「倒すべき敵」として認識され、戦火を巻き起こす原因と見做された。しかしバッフ・クランを想う気持ちや自身の大義への信念そのものは本物で、それを捨てることができなかったことが彼の弱さであり、エゴであった。
終盤、激戦の最中に地球(バッフ・クラン側の母星)がズオウともども流星群で壊滅し、戦う理由も失ったにもかかわらず、なお戦闘を続行する。その事実を知ったギンドロとも仲違いして彼を射殺、また戦闘停止を求める部下たちに「一人でも生き残れば、それでいい!」と一蹴し、何が何でもイデオンを倒すことに執着したことで彼らに射殺されるラストとなっている。
死後に残留思念となったことでドバの心中と感情を理解することができたギンドロからは、その想いを疑ってしまったことを謝罪されている。またお互いに死んだことでズオウとも和解した。
概評
本作において妄執や私怨、愛憎といった「人間の業」を強く体現する人物であると同時に、イデオンの総監督富野喜幸御大の当時の感情や立場が最も色濃く反映されているキャラとなっている。
実際、富野には2人の娘(長女は演劇集団円の文芸/演出の富野アカリ、次女は舞踏家・振付師の富野幸緒)がおり、制作当時はまだ幼かった二人を見ながら「もしこの子たちがハルルやカララのように育ったら、どんな気持ちになるだろう」という娘を持つ父親としての気持ちをシミュレートしながらドバのドラマを構築していったという。その結果、ドバというキャラクターに父親としての生々しいまでのリアリティを持たせている。
物語終盤、知的生物の弱さとは即ち己の業を越えられないことであり、自分もまた業を乗り越えられるような人間ではないと悟りながらも
「ハルルが男だったらという悔しみ、カララが異星人の男に寝取られた悔しみ…。こ…この父親の悔しみを、誰が分かってくれるか!」
というドバのセリフは、己の野心も純血へのこだわりも父親としての情も捨てきれず、目の前の地球人に対して理不尽に八つ当たることでしか感情を爆発させることのできなかった男の血の叫びでもあった。
分かりやすく噛み砕いて言うのであれば、
『跡継ぎに男が産まれなかったにも拘らず長女は能力的に申し分無いから余計それが無念で堪らない。
自分は純血に拘ってるのに次女は憎くてたまらない敵対する異星人の男と結ばれてしまった。
それでも情を完全に捨てきれない自分が嫌で嫌で仕方ない』
と言った心情である。
ちなみに富野監督はドバのキャラ造形を経た事で「子供というのは親が思っているようには育たない」と前もって覚悟する事が出来たとも語っている。
外部作品
第3次スーパーロボット大戦α
スパロボ作品群では本作にて初登場。イデ編ルートのラスボスであり、主要キャラとの戦闘前会話が多数用意されている。敵キャラとしてはDVEも多め。
アジバ3
サンライズのスタッフによって作られたたぶん日本で最初のアニメ公式MAD。詳細は当該記事にて。