1979年の冬頃に語られるようになり、特に翌年の夏にかけて日本を席巻し、全国の小中学生を恐怖に陥れた。
パトカー出動騒ぎや集団下校が行われ、模倣したイタズラも起きるなど社会問題にまで発展した。しかし8月に入ると急速に沈静化し、噂としては風化していった。
一説では「子供の寄り道などを防ぐ目的で親たちがでっち上げた創作の存在」とも言われているが、真相は定かではない。
概要
夜、外を歩いていると大きなマスクをした若い女性が「ねぇ、私綺麗?」と聞いてくる。そこで「綺麗」と答えると、マスクを外し「…これでも?」と耳元まで裂けた口を見せるのが定番。
なお「綺麗じゃない」と言うと刃物で口を切られる、あるいは殺される。
この辺りまでは、ほぼ日本全国共通だが、彼女が何故このようなことになったのか、持っている刃物の種類、その他の細かい設定(実は口裂け女には姉妹がいる等)は、地域により様々なパターンが存在した。
現在では花粉症・インフルエンザ用の大型マスクが広く普及しているが、当時は小型のガーゼマスク(主に子供・老人が使用)が一般的であり、医療従事者以外、しかも若い女性が屋外で顔を大きく覆うマスクをしているのは、それだけで恐怖心を煽られる状況だった。
性格
極めて残忍。上記の事から自身の顔に絶対的な自信(もしくは強烈なコンプレックス)があり、貶されるとキレる。
ただ、(地方にもよるが)「綺麗」と何度も言われると喜ぶともいうので、一種のツンデレと言えない事もない。
こうした性質は「濡れ女子」(ぬれおなご)と言う日本の妖怪と共通するが、関係は不明。
対処法
これも地域により様々なパターンが存在し、下記はあくまで一例。
全国的に有名になったため、地方によって伝えられる対処法が全く異なる場合がある。
- 聞かれても無視をする。
- 甘い声で「綺麗だよ」とずっと言い続ける。
- マスクを外した瞬間、口の中にワサビを入れる。
- うまい事メリーさんと会わせる。
- べっこう飴を差し出すと悪さをしない。或いはべっこう飴を嫌って逃げるとも。
- 「ポマード」と三回唱える。
- 顔を見せられた時に「まあまあです」と答えるとしばらくたじろぐため、いきなり襲われずにすむ。
- 「綺麗です」と答えると家の近くまでついてきてしまい、家の一歩手前で殺されてしまうケースもある。
余談
口裂け女が流行る2~3年ほど前の広島で、「私、きれい?」と尋ね「きれい」と答えると、ケロイドだらけの顔を見せて追いかけてくる「整形オバケ」という噂が流れていたという。これが口裂け女の起源と言う説があるが、口裂け女発祥の地は岐阜である。
『学校の怪談(テレビアニメ)』の第三話はこの口裂け女の話になる予定であったが、口唇口蓋裂(唇に裂け目ができる先天性異常)の団体から抗議が出たため放映中止(EDには登場)となった。
関連イラスト
当時の噂の根底には、容姿に障害のある人への蔑視があったと思われるので、現代的にはこれ位が多分ポリティカル・コレクトネス。