探査機「はやぶさ」
日本の宇宙科学研究所(ISAS)が2003年5月9日に打ち上げた。打ち上げ前名称(日本の衛星は打ち上げ成功が確定した時点で愛称名を正式命名する)は「MUSES-C」(ミューゼス・シー、Μ(ミュー)ロケットによる宇宙工学実験衛星3号機)。
度重なるトラブルに見舞われるもこれらをことごとく克服し帰還までのミッションを完遂、当初予定より3年遅れの2010年6月13日に地球へ帰還。試料カプセルを正常に分離後、本体は大気圏再突入時に(予定通り)燃え尽きた。この試料カプセルに小惑星イトカワの砂が入っていることが期待されていた。
ただ、イトカワからのサンプルリターンのみに注目されがちだが、はやぶさの当初の目的は「イオンエンジンの長期運用試験」である。実際はそれを超えてさまざまな世界初・世界一の記録を残し、さらに今後の宇宙開発につながる多大な実績を残しているためプロジェクトとしては成功度は高い部類といえる。
事実、ISASの後継であるJAXA自身が「100点満点の400点を達成、サンプルが取れていれば500点」であるとアナウンスしている(複数機器の実証・実用試験を同時にこなしたためこういう算定になる)。
もしもサンプルが取れていなかったとしても、そのことだけで探査機自体や関わったスタッフを責めるのは的外れといえる。
2010年8月、文部科学省宇宙開発委員会が後継機となる小惑星探査機「はやぶさ2」の開発予算を承認。
2010年11月16日、カプセル内の微粒子の大半が、小惑星「イトカワ」のものであることが判明した。
今後、太陽系の成り立ちを研究する手掛かりになるものと期待されている。
2014年12月3日、JAXAは後継機「はやぶさ2」の打ち上げに成功。
「はやぶさ」が見た夢は引き継がれ、今日も宇宙を羽ばたいている。