般若心経とは、仏教の経文のひとつである。
概要
おそらく、日本で最も一般的な経文。
六〇〇巻からなる仏教最大の経典のひとつ・『大般若経』(『大般若波羅蜜多経』)の重要な要素を二六二字に圧縮して表したもの。
正確には『大般若波羅蜜多経』に『摩訶般若波羅蜜多経』の要素を加え、最後に陀羅尼(仏教における呪文のようなもの)を加えたものである。
仏教の重要なキーワードである『空(くう)』の重要性について説かれており、『空』の智慧を持って悟りは開かれると書かれている。またその内容は釈迦十大弟子の一人である舎利佛(舎利子/サーリプッタ)が観音菩薩から語られるかたちをとっている。
ほとんどの日本の仏教宗派がこの経文を取り入れており、略式の法要や日課の勤行(ごんぎょう)などに広く用いていて、『法相宗』『天台宗』『真言宗』『禅宗系』では特に重要な経典とされ、宗派によって独特の解釈がされている。字数の少ない手軽さから、よく写経される。
また御霊信仰の根強い日本では、「『空』は悪霊の力を『空する』」という信仰が生まれたことから悪霊払いの呪文としても普及し、一般の在家信者たちにも広まり、『日本でお教といえば般若心経』というほどに根付くこととなった。
昨今では、ストレスや人生に悩む現代人のテキストとして、多くの訳本が出版されている。
全文
仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄。
舎利子。
色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。受想行識亦復如是。
舎利子。是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減。
是故空中、無色、無受想行識、無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法。
無眼界、乃至、無意識界。無無明、亦無無明尽、乃至、無老死、亦無老死尽。
無苦集滅道。
無智亦無得。
以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故、心無罣礙、無罣礙故、無有恐怖、遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃。
三世諸仏、依般若波羅蜜多故、得阿耨多羅三藐三菩提。
故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪、能除一切苦、真実不虚。故説、般若波羅蜜多呪。
即説呪曰、羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶。
般若心経
余談
実は全文の内、前半の語り部分が全文の4/5を占めている。
『故知、般若波羅蜜多』の部分以降が後半部、『羯諦羯諦~』以降が真言に当たる。