概要
いわゆる架空戦記ブームを引き起こした作品で、世界観を共有した旭日の艦隊と共に架空戦記小説の金字塔とされており、今なお根強いファンが多くいる。 物語のテーマは「太平洋戦争で日本はどう戦えば良かったのか」が主題となっている。
あらすじ
昭和18年4月18日、ブーゲンビル島上空で戦死した連合艦隊司令長官山本五十六は、38年前の後世世界に高野五十六として転生する。
元の「前世」と微妙に異なる「後世」にて、前世と同じ悲劇を繰り返させないため、高野は同じ後世転生者を集め、精鋭集団「紺碧会」を結成する。同じく、前世より転生した陸軍中将大高弥三郎率いる青風会と共にクーデターを起こすが、戦争への流れは変えられず、“照和”16年12月8日午前0時。運命の開戦を迎えてしまう。高野らが前世の記憶を元に開発した「紺碧艦隊」は、日本を、世界を救えるのだろうか・・・
主な登場人物
高野五十六
海軍軍司令部総長。大日本帝国海軍連合艦隊司令長官・山本五十六が“後世”世界に転生して「紺碧会」を結成、大高弥三郎と共にクーデターを起こした。前世の記憶を生かして「紺碧艦隊」「旭日艦隊」を組織し、後世日本を“より良き負け”へと導こうとする
大高弥三郎
大日本帝国陸軍大臣。やはり転生者である。高野五十六らと共にクーデターを起こし、新政府を樹立、自ら内閣総理大臣となった。稀代の戦略家であり、前世の記憶を元に緻密かつ大胆な作戦を展開し、多くの戦いに勝利する。“より良き負け”を得て、世界の恒久平和を実現するために……
前原一征
海軍少将。照和16年12月のハワイ奇襲攻撃において戦死したとされているが、実は秘匿潜水艦隊・紺碧艦隊を率い、司令官として縦横無尽の活躍をしている。彼の生存自体が軍事機密であり、一部の人間にしか知られていない。
登場兵器
特潜伊601 富嶽号
紺碧艦隊初代旗艦。鶴翼陣形の「艦隊殲滅雷撃」を行う際は、扇のかなめに当たる位置に陣取り、僚艦へは音通を持って連係攻撃を指揮する。
潜伊3001 亀天号
紺碧艦隊2代目旗艦。トリウム融塩炉・電磁推進の実験艦。初代と違い、攻撃よりも情報収集に特化した艦でもある。
超潜伊10001 須佐之男号
紺碧艦隊3代目旗艦。核融合炉・電磁推進を活かして最大速度100ノット(巡航60ノット)の高速を誇る。後の第3次大戦でその真価を最大限に発揮した。なお、漫画と小説ではかなりデザインが違う。
潜伊500型
紺碧艦隊主力型潜水艦。水上戦闘爆撃機「春嵐」3機を搭載。建造艦は伊501水神号、伊502快竜号、伊503爽海号の3隻。OVA12巻ではカタパルトを旋回させて噴式春嵐を発艦させていた。
潜補伊700型
紺碧艦隊付補給潜水艦。電子水上偵察機「星電改」2機を搭載。同型艦は浦島号、竜宮号の2隻。
海中要塞 鳴門
12隻の潜水艦が連結する海中移動基地。無艦橋型呂号潜の支援を行う。艦内では大規模な手術ができるほか風呂など支援潜乗組員のためのレクリエーション設備がある。原作では12隻全て同じ形状だが、OVAではうち4隻が水上機格納庫を有していた。武装は主に防御用の対空噴進弾や対潜短魚雷などしかないため護衛があることが多い。
潜揚大伊900型
兵士500人を搭載できる輸送潜水艦。サモア・マダガスカル攻略戦で活躍した。船体は富嶽と同じだが機関の大きさが違うため速度では劣っている。また対空能力が優れており、紺碧艦隊でも900型が対空警戒をすることが多い。補給艦能力も持ち、揚陸作戦などがない時は輸送の任務についている。同型艦は9隻。
潜補伊1000型
紺碧艦隊及び水上機用補給潜水艦。司令塔が艦尾にあるため、甲板はB32を乗せられるほど広い。
潜水艦 「伊101」
モルガン艦隊偵察中に発見され、撃沈される
無艦橋型特呂号潜
鳴門が支援する小型潜水艦。主な使い方は諜報活動、輸送艦攻撃。また艦底に海底匍匐装置(無限軌道)を装備。
巡洋潜水艦呂200型
大戦初期、豪州封鎖戦より使用された巡洋潜水艦。後世艦籍種別『潜高中』の中規模高速潜、前世「潜中型」と「潜高型」の折衷型艦種である。主機ワルター機関によるポンプジェット推進器一基を艦尾に持つ。船首と船尾に魚雷発射管を持ち、対潜攻撃や通商破壊作戦に従事した。紺碧艦隊旗下に連絡潜として201〜5までの5艦が先行配備された。
伊一六八型潜水艦
原作、コミック版でのハワイ作戦時、前原司令官は伊一六八潜に座乗していた。史実でも『ハワイ作戦』で活躍した艦型である。劇中ではハルゼー座乗の空母エンタープライズに打撃を与え、随伴していた巡洋艦、駆逐艦を撃沈した(その後、前原はハワイ沖にて富嶽号に移乗した)。OVAでは登場していない。
伊号第一八潜水艦
巡潜丙型2号艦だった 前世同名艦と異なり、改高型(前世『巡潜乙型』相当。前世「巡潜特型」や「巡潜改甲型」に相当する後世「海大型」と「呂号潜」などの「海高型」の折衷タイプ)潜水艦であり、偵察任務などに就いていた。劇中では艦型は登場しないが艦載機を使ってダッチハーバーに潜伏していたリーガン艦隊を発見している。この際に使用した艦載機は原作、コミックでは「星電改」だったがOVAでは「春嵐」であった。
因みに前世「艦載機搭載潜水艦」として「巡潜甲型」が計画、建造されている。
戦略空母「建御雷」(たけみかづち)
印度戦線から投入された帝国海軍最新鋭の大型航空母艦。前世信濃の生まれ変わりであるが、艦の能力はそれを凌いでいる。同型艦は建御名方(たけみなかた)。終盤でドイツ軍の飽和攻撃により大破炎上するが戦後まで生き残り、第三次世界大戦にも参加する。
航空母艦「加賀」
クリスマス島攻略作戦時に米超重爆撃機B35のロケット弾攻撃を受け、撃沈される。
航空母艦「赤城」
米軍の急降下爆撃機により被弾するが、前世でのミッドウェーの反省から艦爆と艦攻を降ろしていたため、甲板が損傷しただけで済んだ。
航空母艦 「飛龍」
高杉艦隊所属艦。終盤に撃沈される。
航空母艦 「蒼龍」
高杉艦隊所属艦。終盤に撃沈される。
翔鶴型航空母艦
高杉艦隊所属。同型艦は瑞鶴。終盤に両艦とも撃沈される。
航空母艦 「大鳳」
インド戦線時に登場。
航空母艦 「持国天」
新紺碧の艦隊に登場。アメリカのエセックス級航空母艦を改装。ただし機関がないため超潜亀天に曳航されている。
広目天型航空母艦
新紺碧の艦隊に登場。持国天と同じくエセックス級航空母艦を改装したもの。
戦艦「比叡」
高杉艦隊旗艦。前世とは違い電子・対空装備が充実しており建御雷登場まで日本水上部隊の主役として活躍した。物語終盤で撃沈される。OVAでは高角砲に全周防盾が装備され、終盤では煙突が現代風になっている。
戦艦「霧島」
高杉艦隊に所属する戦艦。別動隊として戦うことが多い。終盤に撃沈される。
戦艦「金剛」
坂本艦隊所属艦。開戦初期は旗艦であった。終戦まで生き残り、戦後は主砲撤去、後部甲板アングルドデッキ化などの改装を受け、高杉艦隊の旗艦となる
戦艦「長門」
坂元艦隊所属。前部甲板に対空噴進弾の垂直発射筒を8基装備。マダガスカル島攻略戦の時は旗艦を務め、空中投下型V1で攻撃を行ったヨルムンガンドを撃破し窮地を脱している。後に退役したが琵琶州大震災時には被災者を艦内に宿泊させていた。
戦艦「陸奥」
坂本艦隊所属艦。後世では爆発事故は起こさなかった。
戦艦「扶桑」
坂本艦隊所属艦。ハワイ攻略作戦時に登場するが後半では出番がない。
戦艦「日向」
坂本艦隊所属。途中から退役して虎狼型及び信玄型航空戦艦の試験艦として後部をV字型飛行甲板に改装さ、戦後は練習航空戦艦となったことが新紺碧の艦隊で明らかになる。
航空爆撃戦艦「米利蘭土」(メリーランド)
紅玉艦隊旗艦。ハワイ海戦で拿捕した米戦艦を大改装したもの。改装後の速力は29ノットに上がった。同型艦は軽掘尼亜(カリフォルニア)、西処女阿(ウエストヴァージニア)、手音使(テネシー)。前部主砲及び後部3番主砲を外し、艦橋を改造して格納庫を設け「爆龍」・「鮫龍」をカタパルトで発艦させる。他にも水防に新しいシステムを取り入れたり、後部に魚雷艇を搭載したりと実験艦としても作られている。カタパルトは対地攻撃用ン式噴進弾3発を発射可能。軽掘尼亜が戦没し、残りの3隻は老朽化で退役した。
航空特殊戦艦「筆汁芭斤」(ペンシルヴァニア)
米利蘭土と同じくハワイ海戦で拿捕した米戦艦を大改装した艦で同型艦は根婆太(ネヴァダ)。この2艦は思ったより速力が伸びず(筆汁芭斤26.5ノット、根婆太25.5ノット)、燃料タンクを増やして油槽艦能力を付加し春嵐を搭載した航空特殊戦艦になった。双方とも戦没。
重巡洋艦 「利根」
クリスマス島攻略作戦時に米超重爆撃機B35ロケット弾攻撃と触雷により大破炎上。姉妹艦「筑摩」とともに戦没する。
重巡洋艦 「鳥海」
高雄型重巡洋艦。大破炎上した「利根」「筑摩」の乗員を救助する。
重巡洋艦 「最上」
紅玉艦隊所属艦
重巡洋艦 「羽黒」
坂本艦隊所属艦。Uボートからの雷撃で損傷。
航空巡洋艦「東光」
対潜航空護衛艦隊旗艦。キエフ級航空母艦のような斜め飛行甲板を装備した航空巡洋艦。当然前世に該当する関係は存在しないが、サイズは『隼鷹』級に近く、装備や艦型は『妙高』級に近い。対潜哨戒機「仙狩」及び20.5サンチ連装主砲の対潜弾や短魚雷等の対潜装備を活かして、Uボート艦隊を撃滅し朝日島設営隊を守った。自衛用の「対魚雷自動反撃用速射装置(現代でいうCIWSの対潜版)」による「マ式豆爆雷」を初めて使用したのもこの艦である。作中、活躍の機会はなかったが、「10サンチ65口径連装高角砲」などの防空装備も持っていた。
軽巡洋艦「球磨」
高杉艦隊所属艦。
航空母艦「瑞鷹」(ずいよう)
坂元艦隊に所属する航空母艦。姉妹艦に「雲鶴」がある。
航空母艦「紅鶴」(べにつる)
紅玉艦隊に所属する支援空母。姉妹艦に「白鶴」がある。
対潜水雷艇母艦「洋鯨」(ようげい)
艦尾に捕鯨母艦のような「大型開口スリップウェー[4]」を持つ特務母艦。小型水雷艇の発進・収容や補給などを行う。米ロスアラモス原子爆弾研究所攻撃を主目的とした『弦月』作戦において、高杉艦隊パナマ運河攻撃隊に随伴し、水雷艇部隊と共に敵航空機部隊を誘う欺瞞行動に活躍した。
雪嵐型駆逐艦
ガダルカナル島長駆夜襲攻撃で登場した公称戦速37ノットを誇る駆逐艦で、旗艦は雪嵐。前世陽炎級の近代改修型という設定か、艦型も同等であり、戦速は同吹雪級並みにまでなっている。レーダー照準式5インチ連装砲3基・4連装九九式魚雷(音響追尾式)発射管2基、電探連装機銃などを装備。高速凌波性能を持って約1,000kmを長駆、ルンガ・ツラギ両泊地で米駐留艦隊相手に暴れ回った。同型艦は稲妻、雨風、時雨、白雪、潮風
秋月型対空駆逐艦
前世と同じく対空艦として建造され、各艦隊に配属されている。終盤のドイツ軍の反撃により、大半が戦没している。同型艦は照月、涼月、初月、夏月、冬月、赤月、森月、銅月、紅月、紺月、碧月、玄月、紫月、長月、菊月、朝月、夕月、神月
白露型対空駆逐艦
前世と違い後世世界では対空駆逐艦として建造された。紅玉艦隊所属、春雨が雷撃されるなど被害を重ね、大半が戦没したものと思われる。
黒潮型軍用貨物船
自衛用の対潜・対空装備を施した高速輸送船兼海洋土木工作艦。軍艦のように艦体は細く、巡速20ノット、戦速30ノットを誇る高速艦。港湾工事用のアースドリルを装備し、印度領ラカディブ諸島内の紺碧艦隊インド洋支援基地「朝日島」建設に同型艦5隻が投入された。コミック・OVAでは前世の一等輸送艦と同様の外観であった。
駆逐艦 「太刀風」
紅玉艦隊所属艦。前世太刀風は峯風型駆逐艦であったが後世での外観は吹雪型以降の艦型であり艦級が不明。ドイツUボートの雷撃から旗艦を守るために盾となり、爆発沈没した。
駆逐艦 「松波」
神風型対潜駆逐艦。Uボートからの雷撃を受け沈没。
駆逐艦 「高波」
神風型対潜駆逐艦。前世高波は夕雲型であったが後世世界では夕雲型は建造されず。神風型として就役した。朝日島設営隊を守るためUボードと激しい戦闘をする。
護衛艦 「初雪」
高杉艦隊の前衛艦として登場、特型駆逐艦の改装か新規建造なのか不明。単装砲や対潜ロケットランチャーを備える、同型艦に吹雪、白雪、残雪がある。
松型駆逐艦
後世世界でも建造された模様。檜が登場した以外は出番はない。