火焔山
かえんざん
中国文学・「西遊記」に登場する地名。実在の地名でもある。
西遊記では
西域への道中で火を噴き上げる巨大な山として登場。
紅孩児が修行して炎の魔法を会得した土地として彼が登場する回で紹介されているが、三蔵法師一行が辿り着くのはだいぶ後のことである。夏でもないのに蒸し暑い上、普通に穀物が取れる土地柄なのを不思議に思った孫悟空らは村の老人や食料店の若者に話を聞き、「鉄扇仙様と呼ばれる御方に助けを求めよう」と決めるが、その正体は紅孩児の実母・羅刹女(鉄扇公主)だった。
「息子を殺された」と嘆き怒る公主に対し、悟空は「彼は観音様に仕える道を選んだだけであり、芭蕉扇を貸してくれたら返してあげる」と訴えるが彼女は聞かず、騙して扇を借り受けた悟空のやり口を怒った夫の牛魔王が参戦したのもあり、大乱闘に発展する。
自分が天界で暴れた時に蹴飛ばした八卦炉がこの山になったと火焔山の神様(彼は大上老君の元弟子)に聞かされた悟空は責任を取るべく、牛魔王を相手に死闘を演じる。沙悟浄に三蔵の護衛を頼んで応援に来た猪八戒と山神様をはじめ、托塔天王と哪吒の親子が率いる天界軍が悟空に味方する。牛魔王も、妾の玉面公主など配下の怪物オールスターで戦うが、彼は哪吒の火攻めで取り押さえられてしまう。
夫が捕まったのを見た鉄扇公主は芭蕉扇を三蔵一行に貸し与え、火焔山を消火する。悟空は彼女との約束を守って扇を返して和解は成立、牛魔王が天界に仕えるべく発っていったのを見届けた公主は仏教の守り神となる事を誓い一行を見送った。その後、火焔山は火が消え、住む者達は幸せに暮らしたと言う。