概要
本名は「ナージャ・リオネス」
物語の数十年前の時間軸に登場する人物。
当時のリオネス王国の王女であり、バルトラとデンゼルの姉。
体が弱い事から城の外へ出た経験がなく、読書が趣味。
これ以降は、ゴウセル外伝『人形は愛を乞う』のネタバレも含まれているので、閲覧の際はご注意ください。
ゴウセルとの関係
当時、少年だったバルトラの魔力でリオネス城に地下がある事を知り、ナージャは好奇心から探索しに行ったところから物語が始まる。
ナージャは探索中に、三千年の月日を経て眠りから覚めたゴウセルと遭遇する。
この当時のゴウセルは『心の魔法』が込められた【魔法の心臓】があり、知能も生みの親と同じくらいあるものの、感情面はまだ赤子の状態だった。
出逢ったばかりなのに、親切に接してくれるナージャに、ゴウセルは懐いた。
ナージャも、正体を素直に告白したゴウセルに対して強い興味を抱いてしまう。
バルトラの計らいもあり、ゴウセルは侍女に変装してナージャの傍で暮らす事となった。
「ずっとお前に好きでいてほしいから」
「私は…どんなゴウセルだって…」
共に時間を過ごしていくうちに、二人は距離を縮めていき、互いに惹かれていく。
しかし、そんな満ち足りた日々も長くは続かなかった。
ナージャは、この時点で余命いくばくもない状態だった。
バルトラは自らの魔力で、いずれ近い将来、ナージャが亡くなる事を知った上で、ゴウセルと二人きりで過ごせるよう取り計らっていたのだ。
徐々に衰弱していくナージャに、ゴウセルは酷く狼狽する。
生みの親と同じく、消えてしまうかもしれないナージャに自分の心情を吐露した。
「あなたは もう 彼の夢を叶えてあげてるじゃない」
ナージャは、ゴウセルに生みの親が託した夢を既に叶えていると伝えた。
そして、彼女はゴウセルと体を重ね、心を通わせながら、最期の願いを叶える形で安らかな眠りについた。
『色欲の罪』の誕生
愛しあったナージャの死を、ゴウセルは受け入れられなかった。
彼女を蘇生させようと、ゴウセルは彼女の体を切り開いて自らの【魔法の心臓】を移植しようとした。
「俺の心で…キミを救うことは できないのか?」
「俺を…置いていかないで……」
だが、己の【魔法の心臓】をナージャの胸をこじ開けて埋め込んでも、彼女は息を吹き返す事はなかった。さらに、部屋一面に血が飛び散っているその現場を見張りの兵士に目撃され、ゴウセルは拘束される。
裁判の結果、『王女を誘惑・姦淫したあげく、残虐な手口で殺害した』罪に課せられる事となった。
「こんなにも心が辛いものなら…心なんていらない」
「もう 何も思い出したくない…俺は ただの人形でいたい」
大きな喪失感と深い絶望に囚われてしまったゴウセルは、ナージャとの幸せな記憶を封印するかのように、感情と記憶を失ってしまった。