概要
ペンサコラ級重巡洋艦はアメリカ海軍の重巡洋艦である。同型艦は2隻。次級はノーザンプトン級重巡洋艦。
1925年度海軍計画においてワシントン条約の制限に則って設計・建造された。その後、ロンドン条約の締結に伴って艦種を重巡洋艦とし、アメリカ海軍初の条約型重巡洋艦となった。
船体規模・構造的な問題
基準排水量9000t(竣工時)、全長178mで艦首から艦尾へとなだらかに下る平甲板型船体を取っている。
本級は装備に対して排水量を9000tに抑えたために外洋航行性が不十分であり、乾舷の低さは凌波性を劣悪なものとしていた。また船体内部は容積不足が指摘され、居住性にも難があった。
上部構造物は艦首から、前部主砲塔2基、前部艦橋と前部マスト、第一煙突、第二煙突、後部マストと後部艦橋、後部主砲塔2基と続く。
主砲塔を連装と三連装のセットにして、それぞれ前後艦橋の前に背負い式で備えるが、各三連装砲塔が前後艦橋に寄って配置されたため、発砲の際の爆風が構造物を破壊することとなった。後の改装にて構造物は補強されたが、その重量増加による艦のトップヘビーが問題となって動揺性が悪化している。
防御
本級の装甲は舷側76㎜、水平25㎜、主砲塔前盾64㎜を有する。ただし区画細分化などの浸水対策は不徹底で対水雷防御は不十分であった。
機関
重油専燃ボイラ8基とタービン4基を備え、10万7000軸馬力4軸推進で最大32.5kn(改装後31.5kn)を発揮する。本級はシフト配置を採用している。
装備
主砲
主砲にMk.9 55口径8インチ砲を10門装備する。搭載形式は上述の通りである。本砲はワシントン条約に則った新型巡洋艦および運用法の確立されていなかった航空母艦に搭載するために開発された砲で、本級の他にレキシントン級航空母艦やニューオリンズ級タスカルーサ以前の重巡洋艦に搭載された。本砲の発射速度は4発/分、120kgの砲弾を最大29km先に撃ち出すことが可能である。
その他備砲・機銃
Mk.10 25口径5インチ砲を単装砲架に搭載し、これを計4基装備していたが、後に8基に増強された。対空機銃は竣工時、28mm四連装機銃を4基装備するのみだったが、後に40mm四連装機銃6基と20mm単装機銃28基を追加で搭載した。
雷装
竣工時に21インチ三連装魚雷発射管を第二煙突の左右舷側に装備していたが、対空火器増強に伴い撤去された。
レーダー
後の改装で前部マストに対空索敵レーダーのCXAM(後にCXFAに換装)と対水上用のMk.3射撃管制レーダー、艦橋上の高射方位盤に対空用のMk.4射撃管制レーダーを搭載した。
航空機・艦載艇運用
航空機用スペースは両煙突間に用意され、二番煙突基部にクレーン1基を置き、カタパルト2基を備える。また艦載艇用スペースは第二煙突と後部艦橋の間に用意され、後部艦橋の左右舷側にクレーン各1基計2基を備える。
戦歴
本級は就役後、カリブ海での訓練や周辺諸国への遠洋航海を行い、1930年代からは太平洋艦隊に所属した。第二次世界大戦に参加した米巡洋艦の中ではオマハ級に次ぐ古参であったが、水上打撃部隊の一員として太平洋水域にて多くの作戦に従事し、両艦とも喪失することなく終戦を迎えた。
その後は復員兵の輸送に従事した後にクロスロード作戦へ標的艦として参加し、核爆発を耐え抜いた。本級は実験後の1946年から1947年に退役。艦体の調査・研究が完了すると標的艦として海没処分となり、1948年に本級は除籍された。
同型艦
No | 艦名 | 工廠 | 起工 | 進水 | 竣工 | 戦没 |
一番艦 | ペンサコラ | ニューヨーク | 1926/10/27 | 1929/08/25 | 1930/02/06 | 1948/11/10(自沈処分) |
二番艦 | ソルトレークシティ | ニューヨーク | 1927/06/09 | 1929/01/23 | 1929/12/11 | 1948/05/25(自沈処分) |