走ることは、生きること――――
あかほりさとる原作、伊藤大育作画の漫画作品。
角川書店『コンプエース』に2009年3月号から12月号まで連載された。
未来世界のガイノイドを用いたギャンブルレース(というか競馬)を舞台に、そのターフで切磋琢磨する機械の乙女たちの姿を描いた作品である。
あらすじ
時は未来
馬場(ターフ)を駆ける駿馬たちは、可憐な乙女へ姿を変えた
その名を優駿乙女(サラブレドール)!
遠い未来の競馬場。そこでは馬に代わり、その競技用に調整されたガイノイドであるサラブレドールたちが馬場を駆け、生存のためDRA(DOLLS RACING ASSOCIATION)が執り行う幾多のレースを勝ち抜いていた。
走ることは生きること。
乙女たちは今日も、力ある限り、命ある限り、馬たちに代わり馬場を駆ける。
この物語は、そんな彼女たちによる、時に友情を育み、時に争い合い、そして時に共に笑い涙する、そんな日常を描いた物語。
「サラブレドール」とは?
上記の通り本来の競走馬に代わって馬場を駆けるドールレースに特化して開発されたガイノイドたちの事。
元々は介護用アンドロイド(メイドロボ)を所持していたセレブたちが、戯れに自分たちが持っていたメイドロボたちに競争(かけっこ)をさせた事が起源。ここから競技が生まれ技術開発競争や動物愛護の観点などが相まって、従来の競馬から置き換わって公営賭博競技となっていった、という成り立ちがある。
サラブレドールは自らを形作る「プログラム(頭脳・戦術データ)」と「ギア(筐体・駆動体)」から成り、この兼ね合いを調整しつつ成長していく。特に好成績を残した「プログラム」と「ギア」はそれぞれ世代継承されて新世代ドールへと受け継がれていく。すなわちサラブレドールは「プログラムの母(プロ母)」と「ギアの母(ギア母)」という二人の母親から生まれ落ちる。
レースにおける不確定要素を克服するために感情を持たされているが、故に恋愛感情に目覚める事がある。サラブレドールは二人の母をもってして生まれるため、同じサラブレドールを好きになる事は別に問題ではないが、時に自らの調教師(コーチ)に感情を向けるケースも見られる。(コーチ側も、いかにその感情を良い方向に昇華させてドールの方向性を示してやれるか、という技量を求められる)
一方で逆にレースを制するために感情を抑え機能だけに特化されたドールも存在する。その設計思想はドールレース発祥時に「より早く、より強く、計算のみ 」のみを求められレース特化で開発された3体のメイドロボに基づくもので、その設計思想を受け継ぐドールを始祖ドール(あるいは単に始祖)と呼ぶ。
ドールレースにおいては2つのツールを持って挑む。このツールはレース展開を自らの有利に運ぶための武装・防具や補助機構であり、そのためにドールレースは中盤より爆音噴煙渦巻く戦場の場と化す。それゆえに機構や能力では劣るドールも一発逆転のチャンスに恵まれやすく、その意味では非常に公平なレースであると言える。戦場の混乱から、いかにレースを制するか、というのもまたドールレースの醍醐味である。
おもな登場人物
- アクトレスユーコ
- カイザーリン
- ユメノヒナギク
- ヒメジャヒメジャ
- ナニワキッスミー
- ミニミニコマチ
- レディバタフライ
- ギガメイド