ラクシャーサ(Raksasa,Rakshasa)はインド神話に登場する鬼神。
女性形はラクシャーシー(Raksasi,Rakshasi)である。
発音はラークシャサの方が原音に近く、ラクシャス、ラクササという表記もある。
概要
ラクシャーサは人を害して祭儀を混乱させる悪鬼であり、火のように光る鋭い眼や異常に長い尾を持っていて、長大な腕、動物の顔などの異形と、空中を行くなどの超能力を持つ。また、人間から見て醜い姿をしたラクシャーシーほど美人とされるという彼ら独特の美的感覚を語る伝承もある。
夜になると出没し、犬・鷲・梟・カッコウ・野猪や人間(特に夫や妻など身内の姿)など様々な形をとることができる。住処は墓場の屍体の中で、人肉を食うものもあり、とくに新生児にとって最も危険な存在とされる。
プラーナの伝承では、ラクシャーサは聖仙プラスティヤから生まれたとも、ブラフマーの足から生まれた、カシュヤパとその妻カシャーとの間に生まれたともされる。
『ラーマーヤナ』では、ブラフマーが河を造った時にその守護者としてラクシャーサを同時に造ったといい、これはラクシャーサの名を「守護する」を意味する動詞ラクシュ(raks)に由来すると解釈したものであるといい、時に人間の保護者となる話もある。
王はランカー島に住むラーヴァナで、そこに居住するラクシャーサの数は数億を越え、特にラーヴァナの親族は苦行や祭儀を行って神々やアスラすらも退ける力を持っている。
仏典では羅刹、羅刹女と音写し、可畏、速疾鬼などとも訳す。
ラクシャーサは、その性格と行動から多くの別名で呼ばれている。
・アヌシャラ、アシャラ、ハヌーシャ(殺戮者)
・イシュティパチャ(供物を盗む者)
・サンディヤーバラ(黄昏に力をもつ者)
・クシャパータ、ナクタンチャラ、ラートリチャラ、シャマニーシュダ(夜中に出没するもの)
・ヌリジャグダ、ヌリチャクシャ(人食鬼)
・パララ、パラーダ、パランカシャ、クラヴィヤード(肉食性の者)
・アスラパ、アシュリクパ、カウナパ、キーラーラパ、ラクタパ(血を飲む者)
・マリナムカ(黒い顔の者)