概要
同国で最も人気があるモータースポーツの一つで、毎週末アメリカの何処かで必ずレースが行われていると言っても過言ではないとか。
僅かな例外を除いて、殆どが楕円形のオーバルトラックで競われる。
レースによっては、オープニングセレモニーにアメリカ空軍のアクロバットチーム『サンダーバーズ』が飛来する。
発祥
アメリカのアマチュアレースがルーツと言われている。一説には、禁酒法時代に密造酒を運ぶ為にパトカーの追跡を振り切るべくチューニングを重ねた車を、仲間同士で競い合ったのが発祥とか…
マシン・レギュレーション
元々がアマチュアレースである為にマシンは市販車の改造車によって行われていた。
現在は、鋼鉄製のパイプフレームの上に市販車の形を真似たボディを被せたもの(ヘッドライトなどの灯火器類はそれらを模したステッカーである)が使用される。
また、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スカンジウムやカーボンといった先進的な素材は禁止、燃料の供給はキャブレター(〜2011)、エンジンはV8のOHVでホイールもスチール製でセンターロックではなく5穴、車検時には「テンプレート」をあてがい、空力のチェックをするという他にはない独特なルールが存在する。
これは、ルーツがアマチュアレースということ、かつてエアロウォリアーと呼ばれた車種の開発競争によりコストが高騰した反省から、技術競争の激化や開発費の高騰を抑制するためとされている。 ところがOHVのくせに10000rpmまで回るエンジンや、アルミニウム製と同等か更に軽いスチール製ホイールを開発してしまっているところを考えると効果のほどは…
つまるところ、枯れた技術でも特化すれはF1並みかそれ以上の技術力が要求されるのである。
日本からは、2007年からトヨタ自動車がカムリで参戦中。
2019年からは新型スープラに変更される予定。
用語など
同じ状況・同じ意味を持つ言葉でも、世界各地を転戦するFIA管轄のレースとアメリカ独自の競技であるNASCARでは言い回しが異なる場合があるが、全てを網羅するのは非現実的なので一部割愛。
本稿では、NASCAR独自の用語を解説する。
コーション
コース上が危険な状況になった場合に出される。ほかのレースで言う「イエローフラッグ」(追い越し禁止、フルコースコーション)に該当する。ペースカー(セーフティーカー)が入り、1位のクルマの前に入り先導する。
基本的にはクラッシュが発生した場合に出されるが、レース展開が単調になった時には変化を出すために観客が落とした些細なゴミでも発動される。
ラッキードッグパス
周回遅れのクルマに対して発動される救済措置。コーションが発動された際に、周回遅れの中でトップのクルマがペースカーを追い抜き、1周多く回りその遅れを取り戻させるという措置。
たとえ周回遅れにされても逆転できるチャンスであり、レース展開をさらに盛り上げる要素でもある。(下位でもこれを巡る争いが起こる)
ドラフティング
ほかのレースカテゴリーでよく言われる「スリップストリーム」のこと。
オーバルトラックで争われるNASCARではとても重要な要素であり、スーパースピードウェイと呼ばれるアクセル常時ベタ踏みトラックでは、ドラフティング中に繰り広げられる駆け引きがキモとなる。これに乗れなければどんどん引き離されてゆく。
バンプ
クルマを相手にぶつけること。普通のレースなら危険な行為だが、NASCARでは悪質でなけれは無問題。というか、後ろからバンプして相手の姿勢を崩して抜くテクニックがよく使われる。
ビッグ・ワン
レース中に起こる多重クラッシュのこと。大抵の場合はフルコースコーションとなるが、ひどい場合はレッドフラッグ(赤旗中断)になったり、終盤で起こった場合にはその時点での順位で決定される場合もある。
プレーオフ
シーズン終盤の10戦に渡り、レギュラーシーズンでのランキング上位16人のドライバーがシーズンチャンピオンを争うもの。米通信大手のスプリントが冠スポンサーを務めていた2016年までは「チェイス・フォー・ザ・スプリントカップ」(略してチェイス)と呼ばれていた。2014年シーズンからノックアウト方式となった。3戦ごとにポイント下位4人のドライバーが脱落していき、最後に残った4人の中で最終戦を最上位でフィニッシュしたドライバーにシーズン王者の称号が与えられる。
外部リンク
公式サイト(英語)