CV:木村良平
映画版演:中島健人
概要
道内でも有数の進学校である新札幌中学出身。1-D組で酪農科所属。実習班はA班。
通称は「八軒」、西川からは「ハチ」と呼ばれている。
黒縁眼鏡に茶髪、制服の下はパーカーと、地味ながらそれなりにアクティブな出で立ち。
少々ひねくれているが、良くも悪くも真面目でお人好し。
農家出身の生徒たちの中では珍しく、都会育ちの一般家庭からの入学者であり、農業高校という特殊な環境において様々な事柄に煩悶としており、駒場の見立てでは「人にかまって損するタイプ」。その性格が高じて、校内でもいつの間にか「断らない男」として有名。
進学校出身とあって日々の努力は欠かさない、努力家でもあり座学においては非常に優秀。
総合科目点数では学年トップの成績を修めているが、各科目ごとの一位は一点特化型の他の生徒たちにさらわれており、本人曰く「釈然としない」。
その秀才ぶりからクラスメートに勉強を教えることもあり、とりわけ常盤の数学に悩まされている。
運動は苦手だが、日々の実習で体力はだいぶ付いている。
非常に優秀な味覚をもっているらしく、食品科の三年生の稲田真一郎(スモークチキン先輩)に食品科への転属を勧められたほど。先輩は「親が食べる物に気を使ってくれたから」だと八軒に教える。
現在では起業する事を目指しており、上手い方向に誘導すれば良い仕事をする大川先輩を社長に据えた形で日々奔走している。
御影に誘われたことから軽い気持ちで馬術部に入り、馬に踏まれたり落馬したりと苦労はしているものの、徐々に魅了されていく。3年生の引退に伴って副部長を任される。
『銀の匙』の登場人物の多くは北海道の地名に由来しており、「八軒」も札幌市西区の地名。
あやめに呼び間違えられた時の「二十四軒」も同じく札幌市西区内の地名であり、しかも隣接しているという超地元民向けのネタ。
余談だが、JR八軒駅のすぐそばには競馬場がある。
入学理由
中学時代の激しい学力競争に敗れ、ノイローゼ気味になるほど自信を喪失し、夢を失っていた。また、天才型で要領も良い兄の慎吾に強いコンプレックスを持ち、成績でしか評価されていないと思い込んでいたため、家族と距離を置くようになり、エゾノーに入ったのも担任だった白石先生の勧めと「寮があるから(家に居るのが嫌)」。
高校入学当初は勉強でトップを張ることを目標としていたが、農業の荒波に揉まれていくうちに「本当にやりたいこと」を意識していくようになる。
家族との関係は相変わらず思わしくないようで(本人曰く、気持ちが通じない母と常識が通じない父と話が通じない兄)、地元ではもっぱら塾通いの日々を送っていた。
余談
被災者支援を目的として、細野不二彦の呼びかけで発売されたチャリティーコミック「3.11を忘れないために ヒーローズ・カムバック」に「銀の匙 特別番外編」が寄稿された。明治時代を舞台とし、八軒の”ひいひいおじいさん”にあたる青年が登場。青年が冤罪により囚人とされ、苦役に耐え兼ねて脱獄し、開拓民たちとともに理不尽と戦い生きていく様子が描かれている。なお、作者である荒川弘の先祖も公害事件と戦い、北海道に逃れた人だったという。