チェルノボグ(Chernobog)はスラヴ神話に登場する神格で、名は“黒い神”を意味する。
スラヴ神話はキリスト教の台頭や共産党の支配などの影響でほとんど失われており、復元された神話の断片から“白い神”ベロボーグと対立する存在であることが辛うじて確認されている。
その為、しばしばチェルノボグは『夜、闇、不幸、死、破壊を司る神』と推測されるが、あくまで“推測”の域を出ないので実際の神話における神性は不明のままである。
なお、白い神と黒い神の二元対立構造はスラヴ諸民族の創世神話に見られ、さらに近隣のペルシャを起源とするゾロアスター教の光明神アフラ・マズダと暗黒神アンラ・マンユの関係とも比較される。
また、チェルノボグの名は西スラヴ民族だけで証言されており、あまり重要な神ではなかったとする説も存在する。
女神転生シリーズのチェルノボグ
一部のシリーズ作品にでは『チェルノボーグ』とも表記される。
初出作品はSFC「真・女神転生Ⅱ」。種族は“破壊神”で、赤い外套をまとって大鎌を構える黒色の死神の如き姿で、“暗黒と死の神”としてのイメージが強調されている。以後死神、邪神など種族の変動もあったが、「デビルサマナー」まではこのグラフィックで登場している。
「ソウルハッカーズ」以降は、キノコ状の頭部と骸骨の顔で胸元に太陽が描かれた黒衣を着て手に長剣を持つというデザインで登場。
特に初3D化作品である「デジタルデビルサーガ2」では、自らの胸(太陽)を剣で突いて『影』を呼び出すなど、“黒い神”の名や災厄を意識した描写がなされている。
葛葉ライドウシリーズでは、「超力兵団」でラスプーチンの使役する悪魔、「コドクノマレビト」ではデビルサマナー“黒犬”媒堅の仲魔として登場しており、両作品ともチェルノボグを術者の能力の高さを語る高位悪魔として描いている。ただし後者の扱いは完全な噛ませ犬で、複数体のアンズーに八つ裂きにされるというとんでもない死に方をする。
また、女神転生シリーズのチェルノボグは名前の類似からチェルノブイリ原発と絡めた性格付けをされており、鈴木一也原作のコミック版『真・女神転生』では放射能をまき散らす破壊神として登場する。