概要
魔神が参画する既存宗教色のない魔術組織『グレムリン』の一柱。女性。
その正体はヘリオポリス九柱神の一柱「ネフテュス」。
体系にもよるが彼女の神話については、泣き女を基に創作されたという説が強い。
容姿は白髪のロングヘアーに褐色肌、赤と青のオッドアイ、包帯で大事な部分と太腿だけを隠した露出度が高いミイラファションの妖艶な美女。ただし、本来の瞳の色はやはり魔神クラスのキャラということで緑色らしい。
なお、所処の包帯の先端にはピラミッドをあしらったアクセサリーのような物が複数付いている。
彼女はまさしく魔術の神「魔神」なのだが、個人が神に至ったのではなく「エジプトの召使いたちがその人生をかけて作り出した神」である。
魔神「ネフテュス」の起源は古代エジプトまで遡る。
当時、ピラミッドに王族の副葬として共に詰め込まれた数千・数万人もの召使い達が、王族の見栄の為に使い捨てられる事に納得できず、せめて何かを残そうと足掻き、自身の知識やパピルスを紐解いていった。
研鑽が魔術の秘奥に届く頃には既に力尽きていたものの、その成果として無数に転がる召使いの骸の中心で魔神ネフテュスが誕生した。
そこから禁書目録の時代に至るまでに足跡が不明だが、気まぐれに不幸な人間に手を差し伸べていたようだ。
作中では魂に関する魔術実験を潰し、被験体の少女を救ったエピソードが行感で語られた。その一節で「神話の中で予定調和とみなされた、必要な犠牲として扱われる死の伝承に異を唱える女神」と自称し、「泣き女」の伝承通りに少女のために涙を流している。
二十世紀には「歴史に名を残すとある魔術師」が「誰も聞いたことのない大悪魔」の召喚を為す光景をどこからか目の当たりにし、あの人間の為に涙を流そうと思ったらしい。
『あら、今となっては珍しい三柱の名前が出てきたわね』
『創作された神格として関わってしまった身としては、彼の知る伝承がオリジナルから歪んでいない事を祈るばかりだけど』
作中の活躍(※以下ネタバレ注意)
初登場は新約10巻の終盤のエピローグ。
魔神オティヌスが世界を文字通り破壊しても全く影響のない「隠世」と呼ばれる異なる位相の神域に身を潜めていた。この理由としては、彼女たち完全な魔神は数値化すら不可能な無限の容量を持ち、世界の容量の問題で存在できない(存在するだけで世界が壊れる)為である。
しかし魔術師「アレイスター=クロウリー」によって潜んでいた空間を10進法に元づいた世界へと変換され、その存在を白日のもとに曝け出されかける。
魔神「僧正」と共にクロウリーが推し進めているプランの要であるエイワスは失敗作だという事を伝えた後、怒りに打ち震えるクロウリーと人知れず交戦したようだが…?。
その後、ブードゥー教の魔神「ゾンビ少女」の開発した術式「鏡合わせの分割」を適用し、無限の存在である魔神を無限に分割して世界を騙す事で、ひとまず自由自在に闊歩できるようになった。
しかし新約13巻ラストで突如現れた謎の人物上里翔流によって、娘々やその他のグレムリンたちは世界から追放されてしまう。
彼女も99%追放されたのだが、エジプト神話のミイラは臓器は別に保存しておくという特徴のおかげで何とか現世に残り、(宅配便で)上条家にやってきた。
新約14巻では、かなり弱ってはいるが既に馴染んでおり第4の居候になるかと思われた。しかしその存在はもはやほんの0.01%くらいの微弱な欠片しか残っておらず、いずれ訪れる消滅を待つ身でしかなかった。
最終的にサンプル=ショゴスを取り除いたパトリシア=バードウェイの「身体の不足分」を補うべくパトリシアと一体化し、この世界に残っていたネフティスの残滓は全て失われた。
パトリシア「……あなた、は……?」
ネフテュス「強いて答えるなら、神様かしらね」
その後の彼女
新約17巻では、追放された新天地にいる「99.9%の彼女」が登場。パトリシアと一体化した彼女は「残滓」に過ぎなかったわけで、「ほぼ本体の彼女」は他の魔神と遊んでいた。
上里が新天地に送られた時には娘々と同じく上里側に付いた他、パトリシアと一体化した彼女の残滓が上里を連れ戻す為の鍵となった。
その後、アレイスター=クロウリーの罠にはまったコロンゾンと新天地で遊んでいたが、コロンゾンが力技で現世に帰還した際に娘々と一緒にうっかりついてきてしまう。
クロウリーズ・ハザードの際にはクロウリーやお気に入りと思われる上条ではなく、クロウリー一行と離れ離れになった浜面仕上に同行中(浜面を観察対象と認識している様子)。