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  1. 英国の魔術師アレイスター・クロウリーに「法の書」の知識を授けた高次知性体。本記事で詳しく解説する。
  2. エイワス(とある魔術の禁書目録) - 1と同一存在という設定の「とある魔術の禁書目録」のキャラクター。
  3. 1を基にした「女神転生」の仲魔。種族は幻魔

※本記事では「史実」と「とあるシリーズ」のエイワスを併記しておりましたが、記事の肥大化のため現在では分割しています。禁書のエイワスは該当記事を参照して下さい。

概要編集

英国の魔術師アレイスター・クロウリーがエジプトのカイロでホルス召喚の儀式を行った際に、「声」により「法の書」を授けた高次元生命体。

クロウリーはエイワスを自身の「聖守護天使」とみなした。同時に「秘密の首領(シークレットチーフ)」「地球外生命体」「ホール・パアル・クラアト(ホルス)の使者」でもある。


聖守護天使編集

黄金の夜明け団マグレガー・メイザースが翻訳して広めた「術士アブラメリンの聖なる魔術の書」において聖守護天使という概念が登場する。


古来よりオカルトの世界では人間が内包する神聖的な一面(例えば「高次の自己(ハイヤーセルフ)」「ジーニアス」「アウゴエイデス」等)が提唱されていた。

聖守護天使はそれらとほぼ同じ概念で、個々人にとって唯一無二の霊的存在、神聖面の一欠片にして高次元との媒介者である。異論はあれど『黄金の夜明け団』では聖守護天使をハイヤーセルフあるいはハイヤージーニアスとして扱っていた。

新旧問わず魔術師、オカルティストと呼ばれる実践主義者達は各々の聖守護天使の知識と対話し、「真の意志」を見出す事を目標に掲げている。


クロウリーはエイワスをこの聖守護天使だと確信していたが、後年になるとクロウリーの見解には変遷が見られ、自己とは独立した別個の存在として扱われるようになった。

クロウリーは聖守護天使エイワスを「秘密の首領(シークレットチーフ)」(アストラル界から人類を導く究極の高次元存在の総称)とも見做しており、その全体像が完全に固まっていない。


なおトマス・アクィナスが集成した「守護天使」とはまた別の概念である。


法の書編集

※「セレマ」も参照。


1904年3月、クロウリーとその妻ローズ・ケリーの旅行の際に行われた空気の精シルフの召喚作業で、ローズに謎の高次元存在が憑依した。その名も「エイワス」(Aiwass,Aiwaz)。現代の米国の魔術師は「アイワス」または「アイウォシュ」と発音する。


エイワスは彼女の体を借りて「貴方はホルス神を怒らせた」と何度も呟いたという。ローズにはエジプト神話は愚か神秘的知識など無いに等しく、これをすぐさま神秘的存在と認識したクロウリーはその「声」を聞く。

エイワスの重用な宣託は次の通りであった。「神々の分点が到来し、人類史の画期的な新時代が始まり、クロウリーは太陽霊の力を人類とを結びつける鎖となるだろう」。つまりクロウリーは新時代の預言者となるべき存在だという。


エイワスの「声」の内容を聞いたクロウリーは、4月8日~10日にかけてさらなる啓示を得ることに成功し、霊界通信の内容を書き留めている。


Had! The manifestation of Nuit.

ハド!ヌイトの顕現。

The unveiling of the company of heaven.

天上の一団がヴェールを上げる。

Every man and every woman is a star.

全ての男女は星である。

Every number is infinite; there is no difference.

全ての数は無限。そこには如何なる差異も無し。

Help me, o warrior lord of Thebes, in my unveiling before the Children of men!

我を助けよ、おおテーベの戦将なる君主よ、人の子らの前でヴェールを脱ぐ事を!

Be thou Hadit, my secret centre, my heart & my tongue!

我が秘密の中枢たる汝 ハディートよ、我が心臓そして我が舌となれ!

Behold! it is revealed by Aiwass the minister of Hoor-paar-kraat.

見よ! それはホール・パール・クラアトに仕えるエイワスによりて啓示された。

 ...

 ~法の書(リベル・エル・ヴェル・レギス)より抜粋~


エイワスの知識(法の書)はクロウリーの新興宗教「テレマ」の土台となり、テレマの神秘体系において、エイワスからの啓示があった1904年は新たな時代「ホルスの時代(アイオーン)」の幕開けと考えられた。この時よりクロウリーは「新時代の預言者」を自称し始めた。

それまでの旧時代はキリスト教の奴隷であるオシリスの時代(アイオーン)、原始宗教が蔓延るイシスの時代(アイオーン)等と呼ぶ。


エイワスとの接触は、クロウリーの人生を左右する運命の分岐点であった。

神秘の世界で霊的存在との接触が重要な事は歴史が証明している。かつてエリファス・レヴィが魔術師アポロニウスの霊と接触したり、〈黄金の夜明け団ウィリアム・ウィン・ウェストコットアンナ・シュプレンゲル(秘密の首領SDAとも)との文通で結社設立許可を貰った事のように。


ジョン・サイモンズはエイワスを指して「神秘的知性がない」「超人的存在とは相容れない」と冷笑的に記した(サイモンズのクロウリー関係の否定はこれだけではないが)。結局、エイワスが〈黄金の夜明け団〉の後継に収まろうと考えたクロウリーの無意識の投影なのか、はたまた捏造の知性なのか、本当に神秘的知性なのかは定かではない。


しかしイスラエル・リガルディは次のように書いた。「その書がエイワスと名付けられた超人の知性によって書き上げられた物でも、クロウリーの創造的観点から花咲いた物でも、大した違いはない。要はその書は生まれた、そして時代の代弁者となって、これまでどこの誰もが表現しなかった我々の時代の本質的性格を見事に表現してくれた」。

確かに後世の魔術師・神秘学者にはエイワスの正体を探る行為が物事の本質をつまらなくしていると考える者が多いという。


コロンゾン、30ものアエティール、アブ・ウル・ディズ、アマラントラ、ラム。クロウリーに影響を与えた数ある知性体の中でも特に重要な存在なのは間違いない。


別名セト。あるいはヨグ=ソトースという説も。


マートのアイオーン編集

クロウリーの思想に影響を受けた人物は数多く存在するが、中にはそれが高じて新たなアイオーンを宣言した人物もいる。

その内の一人フラター・エイカド(フラター=兄弟)は「銀の星」やクロウリー色に染まった「東方聖堂騎士団」(O.T.O.)の一員、ブリティッシュコロンビア州におけるグランドマスターで、一時期はクロウリーの魔術的な「息子」となるくらい認められていたが後に関係は悪化し、最終的にクロウリーの時代を否定している。


兄弟エイカドはエイワスそのものが邪悪な存在であるかのように非難し、ホルスのアイオーンは始まらず「マートのアイオーン」が到来した事を1948年に宣言した(ただこれはエイカド本人のブレにより二重進行説もある)。

当然クロウリー派のセレマイトはこれを受容しなかったようだが、意外にもマートのアイオーンはその後の魔術業界に潮流が残った。


クロウリー系の魔術師にしてマート魔術の創始者ソロール・ネマ(※ソロール=姉妹)の「ホルス/マートのアイオーン」も存在する。もっとも、こちらの見解はエイカドと違ってはっきりしており、ホルスと次なるマートのアイオーンが二重に進行している。


セトのアイオーン編集

悪魔崇拝者にして米国の元陸軍マイケル・アキノ中佐、彼によるとクロウリーに法の書をもたらした聖守護天使エイワスは「セト」と同一存在であるらしい。


1975年6月21日、アキノは「悪魔教会」(アントン・ラヴェイ)と袂を分かった後、自らの指針を仰ぐべくサタンの召喚を実行したのだが、実際にアキノの前に現れたのはサタンの姿を装った死と破壊の神「セト」であった。

セトはアキノに新たな時代「セトのアイオーン」の到来を宣告。これを受けてアキノは「Temple of Set」(セトの寺院)という新興団体を設立した。


新時代の起源は一九〇四年まで遡ることができる。

セトはこの時、アレイスター・クロウリーの守護天使アイワスに化け、カイロにいた彼の前に現れた。そしてクロウリーを「太陽神ホルスの永劫(アイオーン)」の幕開けの布告者と宣言した。

一九六六年、ラヴィはサタンの永劫を導いた。それは耽溺を象徴する中間段階である。その後にセトの永劫が訪れ、教化をもたらすのだ。

...

~「Satan Wants You: The Cult of Devil Worship in America」~


上記の経緯はアキノにより「セトの寺院」の聖典『The Book of Coming Forth by Night』(夜に現れしことの書)にまとめられた。

セトによって新たな時代の指導者に選ばれたアキノは、自身をクロウリーとその悲運の弟子ジャック・パーソンズ───クロウリーの弟子でロケット(宇宙)開発の立役者として歴史に名を残す───の正当後継者「第二の獣(セカンドビースト)」と称している。


出典編集

「Liber AL vel Legis」「The Great Beast」「The Confessions of Aleister Crowley」「Aleister Crowley & the Hidden God」「Satan Wants You: The Cult of Devil Worship in America」「The magical world of Aleister Crowley」「新紀元社:F-Files図解シリーズ」


関連タグ編集

アレイスター・クロウリー セレマ 聖守護天使 コロンゾン


エイワス(とある魔術の禁書目録):同一存在という設定。

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