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コロンゾン

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ころんぞん

コロンゾンとは、20世紀を代表する魔術師アレイスター・クロウリーが呼び出した深淵の天使・悪魔である。

曖昧さ回避

  1. 20世紀初頭に実在したアレイスター・クロウリーが召喚した悪魔。第10番目のアエティールにして深淵の主。→本項で詳しく解説。
  2. コロンゾン(とある魔術の禁書目録):ライトノベル「とある魔術の禁書目録」に登場するキャラクター。かつてアレイスター=クロウリーが召喚したとされる悪魔。
  3. 真・女神転生真・女神転生Ⅲに登場する悪魔。種族はⅠでは妖魔、Ⅲでは幽鬼。1では小悪魔の様な姿をしてるが3ではレギオンに近いデザインをしている。

※※本記事では「史実」と「とあるシリーズ」のコロンゾンを併記しておりましたが、記事の肥大化のため現在では分割しています。禁書のコロンゾンは該当記事を参照して下さい。

概要

知識の本質に近づく者を様々な手段を用いて誘惑し、妨害を試みようとする邪悪な意識の集合体。ジョン・ディーの魔術理論である30もの〈エノキアン・アエティール〉の内、10番目の領域〈ザクス〉にわだかまる〈深淵〉の悪魔。本質の名はディスパーション(分散,拡散)。

悪魔コロンゾンは〈黄金の夜明け団〉や〈銀の星団〉における実践的な魔術師の修行過程で、〈セフィロト〉にわだかまる〈ダアト〉(または深淵)を渡る際に、その〈深淵〉から理の結合を妨げる存在とされる。

魔術師アレイスター・クロウリーは〈ケセド〉と〈ビナー〉間にわだかまる〈深淵〉を乗り越えた。〈銀の星〉において〈ビナー〉は8=3位階〈神殿の首領〉に対応し、コロンゾンの妨害を乗り越える事がアデプトに課せられた試練でもあった。

ライトノベル「新約とある魔術の禁書目録」において、後述の深淵を乗り越える作業過程が端的にまとめられているのでここに引用したい。

さて、ここに一人の『人間』がいる。

アフリカ旅行中に三羽の鳩の血を使って魔法陣を描き、セフィラとセフィラの間を越えようとした魔術師。彼は間にわだかまる意識的な深淵を乗り越えるために、その深淵と同化する事で霊的なダメージを負う事なく目的を達成しようとしたらしい。

~新約とある魔術の禁書目録18巻 行間1~

この召喚・喚起作業はジョン・ディーのエノク魔術における魔術的宇宙解釈すなわち「アエティール」(神秘領域)から何らかの高次意識体、「天使」と表現される存在との交信を試みる方法に限りなく近いものであった。

天使達はクロウリーに「叫び」を、様々な秘儀を伝授した。

元々クロウリーは1900年に30番目(テクス)と29番目(リイ)への没入は済ませていたのだが一時中断しており、1909年にアルジェリアにて没入を再開している。

この時、彼の〈聖守護天使〉である「エイワス」からの啓示があった。

クロウリーはアエティールへの没入作業を次々と成功させたが、11番目のアエティール「イクー」に没入した際、呪われた10番目のアエティール〈ザクス〉(コロンゾン)の危険性、注意を促す声を聞いた。

「理解する者は一番遠くの深淵まで行かなくてはいけない。そしてそこで四重の恐怖の上に立つ悪の王子、すなわち最も遠い深淵の主コロンゾンと語り合わなくてはならない」(叫びの一部を抜粋)

第10番目のアエティールはザクスと呼ばれる

「このアエティールは呪われており、霊視を得るものがそのことを事前に警告されているので、筆記者のために予防措置を取る事にする」(霊視と幻聴より)

1909年12月6日、アルジェリアの砂漠で英国の魔術師アレイスター・クロウリーが〈セレマ〉系の魔術結社〈銀の星(A∴A∴)〉に所属する弟子のヴィクター・ニューバーグを付き従わせ、召喚実験を行った。その方法は三羽の鳩の血で魔法陣を描き、クロウリー自らを媒体に内側の三角の陣の中で降臨させるというもの。

召喚実験が始まり鳩を生贄に捧げて陣を描く。古の呪文「ザザス・ザザス、ナサタナダ・ザザス」と唱えるといつの間にか悪魔コロンゾンが降臨していた。

悪魔は美女、老人、蛇、様々な姿に変化してニューバーグを誘惑したが、彼は数々の誘惑を意志と話術で打ち破った。

ニューバーグは守護天使エイワスに祈りを捧げた。悪魔は「私は天使(エイワス)を知っている。天使と汝らの交渉は全て、不潔な魔女の仮面にすぎないのだ」と言った。

ニューバーグの巧みな手法で「本質」を引きずり出された悪魔は自分の本質が「ディスパーション」であると打ち明けた。

コロンゾンは隙を見て魔法陣に砂をかけ、ニューバーグに襲いかかった。ニューバーグは魔術的意味を持った剣を使い、なんとかコロンゾンを陣に押し戻す事に成功する。

コロンゾンはこう言っていた。「全ての物事は拡散である。拡散こそが物事の本質足り得る。10番目のアエティールは付随物の世界で本質がないのだ

幾つか言葉を交わした後、鳩の血の効力が切れたのかコロンゾンの意識は去っていた。

この体験によってクロウリーは8=3位階〈神殿の首領〉に達した。

補足

アエティールにもたらされた情報によると〈深淵〉を意識的に越えることが重要な要素とされる。クロウリーは無意識的に超えてはいたが、意識的に実行したことは無く、正式に8=3へと至る要因となったのがコロンゾンの召喚実験である。

結局のところ「この悪魔はどのような存在なのか」という問いに対し、明確な答えを持っている者はいない。アブラメリンの〈聖守護天使〉のように人に内在する高位の霊的存在なのか、もしくはクロウリー本人の悪魔論───と言ってもゲーティアだが───のように人の未知なる部分の顕在化なのか、いずれにせよ定義は曖昧のままである。

後世の神秘学者は「物質的媒介を介しエクトプラズムが鳩の血に増強されて半物質を構成した」「作業での過度な発奮によりノイバーグの意識が分解された」という説も提唱している。

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