ピクシブ百科事典

アレイスター=クロウリー

あれいすたーくろうりー

ライトノベル『とある魔術の禁書目録』の登場人物。
目次[非表示]

CV:関俊彦
実在する魔術師についてはアレイスター・クロウリーを参照。

概要

魔術(Magick)とは、意志に従って変化を起こす科学であり業である
汝の欲する所を為せ、それが汝の法とならん
全ての男女は星である
愛は法だ、それが意志の力で支配される限り

学園都市の最大権力者、総括理事長。
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える「人間」 。
窓のないビルに設置された生命維持槽にて外界を窺い、基本的には表に出ない。
ファンの間での通称は☆。

聖守護天使エイワスから『法の書』の知識を授かった者。
それを土台とした宗教・神秘哲学『テレマ』の提唱者にして創始者。
あるいは『銀の星』、獣の魔法名『Beast666』を名乗る近代西洋最高の魔術師。

史実では自身を「黙示録の獣666(マスター・テリオン)」と称し、「20世紀最高にして最悪の魔術師」「変態」「食人鬼」等とも呼ばれた、史上最も有名な魔術師である。

魔術師クロウリー

アレイスター=クロウリー、本名エドワード=アレクサンダーは19世紀に生まれた。
殆ど史実通り、根本的に科学寄りの人物なのだが、後に神秘の世界に没入していく。

19世紀末に『黄金夜明サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースに見出され、以降は同結社に入団し、魔術師として本格的に活動開始。
クロウリーの実力は『黄金夜明』のメンバーにも見劣りせず非常に優秀だったが、ある時期を境に既存の魔術体系を憎むようになった。
史実では『ブライスロードの戦い』と呼ばれる『黄金夜明』に所属する魔術師同士の内乱を煽り、最終的に自身の手で結社を破滅に導いている。

やがて近代西洋魔術を独自に組み上げ、「ある男(イスラエル=リガルディだろうか?)が編纂した資料の流出」を装い、意図的に自身が構築した近代西洋魔術を拡散。これにより数千年を超える魔術の歴史を、自身の色に塗り替えてしまった。
表の歴史を紐解くだけでも近代魔術師自体がクロウリーの亜流と呼べてしまう。掛け値なしに近代西洋魔術の全てを作った凄まじい人物である。

1904年、最初の妻ローズ=ケリーとの新婚旅行中に彼女の体を使い、「聖守護天使エイワス」を召喚。エイワスが伝えた情報を『法の書』という形で書き残した。
そして『法の書』を土台に「テレマ」の概念を掲げ、人の意識を3つの「時代(アイオーン)」で区分している。

  • イシスの時代:十字教(禁書版キリスト教)成立前の原始宗教の時代
  • オシリスの時代:十字教単一支配下の人間が神に隷属する時代
  • ホルスの時代:十字教による支配体制=オシリスの時代が終わり、人間が真なる目覚めを果たす時代。現実のテレマ思想では「人間が真の意志に目覚めて神となる時代」とも

クロウリーの持論によると、『法の書』が完成した1904年以降は既に十字教の支配体制が消滅した「次(ホルス)の時代(アイオーン)」を迎えているらしい。
十字教を蔑ろにするクロウリーの思想は過激的で、『黄金』系の魔術結社に所属していた者でも支持する者は少なかった。
異常極まりない言動、別件でのマスコミのバッシングと併せて業界内外に多くの敵を作り、後年には20世紀最高であり最低最悪の魔術師と評価されている。

1909年、彼は30もの天使の喚起を試みた。
弟子のヴィクター=ニューバーグと共に行った召喚実験の一つで大悪魔「コロンゾン」と呼ばれる高次元存在と接触し、セフィロトのダアトと同じ深淵に潜む悪魔を呼び起こす。

1920~1923年までイタリアのシチリア島で活動。その時にテレマの僧院を創設するが「たった一つのアクシンデント」により閉鎖に追い込まれた。

晩年には「トートタロット」を編纂。
表の歴史では1947年にイギリスの片田舎で死亡したとされているが、実際には「魔術師討伐組織」に討たれた所をカエル医者に救われていた。
大戦後の混乱中に形を変えたテレマ僧院たる「学園都市」を設立。かつてシチリアにおいて夢半ばで潰えたテレマの思想を科学に擬態させ、魔術師以外の人類を科学信仰へと放り込んだ。

現在は生命維持装置に生命活動を任せ、魔力生成に必要な生命力を機械的に生み出し、あらゆる探査をかい潜って学園都市統括理事長として生きている。

元ネタとの共通点

大まかなところは実在したクロウリーと共通する。
黄金夜明』時代、魔法名、テレマの法を主張、『法の書』を執筆、トートタロットをデザインする、変態要素、K2登山に挑戦、小説を執筆、エイワス、『銀の星』、弟子がヴィクター=ニューバーグ、アフリカでコロンゾンを召喚する...etc
大きな違いは運命の終わり、彼が死亡したと伝えられる1947年以降の経歴となる。

新約18巻では性魔術にハマったり、男性器の表現だけで三桁に達した超大作の官能小説を執筆したり、儀式場に自分の精子を持ち込んで実験を始めたり、同僚と韻を踏んだセクハラ下ネタトークを飛ばすなど、中々ぶっ飛んだ変態エピソードが明かされた。
要するに蓋を開ければ史実通りの「ド変態クソ野郎(上条評)」だったのである。

中性的な容姿なので女性からモテたらしい。史実だとかなりの数の愛人を作っていたが、禁書でも同じのようだ。旧約7巻で第一子リリス、新約18巻ではその母である最初の妻ローズ、第二子ローラの名が判明している。
ちなみに元ネタのクロウリーは、ローズ以外にもマリア・テレサ・フェラーリ・ド・ミラマーとも結婚しており、愛人との子を含めて5人の子供を作っている(死産、未判明分を含めればそれ以上になるが)。
【史実のアレイスターの子供】
ニュイ・マ・アサヌール・ヘカテ・サッポー・イザベル・リリス、ローラ・ザザ(ローズ・エディス・ケリーとの子供)
アン・リア(リア・ハーシグとの子供)
アスタルテ・ルル・パンテア(ニネット・シャムウェイとの子供)
アレイスター・アタテュルク(ディアードレ・パトリシア・マカパインとの子供)

過去(※以下ネタバレ注意)

アレイスター=クロウリー


彼の過去は新約14巻である程度明かされ、新約18巻にて本格的に描写された。

少年だった頃のクロウリーは上っ面だけの大人を見て彼らの崇拝する十字教と神を「大したことがない」と捉え、自身が真理を紐解くことを決意していた。
経緯は不明だが世界最高の魔術結社『黄金夜明』創設者の一人、サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースに見出され、メイザース派に所属して魔術の研究をすすめた。

だが、やがて彼は魔術を憎む事になる。原因は自身の娘「リリス」の死にあった。

位相運命論

クロウリーはアラン=ベネットという『黄金夜明』の魔術師を師と崇めて慕っている。
ベネットはタロット占いの達人で、正確に未来を予見できた。
そして将来的に生まれるクロウリーの娘の死を予見した。

リリスの死の原因は「位相同士の衝突で生じる運命」。

位相とは「層が異なる幾重にも重なった世界」。
神話・宗教概念が支配する異世界で、位相の物理法則を現世に適用する技術こそが魔術とされている。魔術理論において位相は引き出しの対象として必要だが、同時にこの理論を基にした魔術は折り重なる位相同士の衝突を誘ってしまう。

実はこの位相の衝突で生じた「火花」こそが、運命の正体だった

元々、運気とは奇跡になり損ねた火花。位相同士の接触、衝突が生む飛沫は呆れるほど薄く広く人々に影響を与える。
コイントスや店で出てくる料理の順番、出会いや別れ、結婚や離婚……そして人の死までも

『黄金夜明』側はこの運命論を黙認しており、しかも飛沫(不幸)を防ぐ霊装の庇護のもと自分たちに降りかかる不幸の運命を無効化していた。
ブライスロードの秘宝」…幻想殺しと呼ばれる、矢の形をした究極の追儺霊装を用いていたのである。

「人が運命の奴隷となるシステム」と将来的に生まれる事が決定していた「最愛の娘の運命」は、クロウリーに魔術を見限らせるには充分過ぎる内容だった。
この時クロウリーは位相、運命、そして魔術を憎むようになり、『黄金』の全てを敵に回す事を選ぶ。
ベネットから「呪い」を背負う覚悟を説かれ、『黄金』系魔術師でもある師ベネットを彼に導かれるがまま手にかけ、それを引き金にして本格的に魔術根絶の道を歩み始めた。
(後述するが、この「呪い」が禁書本編まで至り彼の人生を縛り付ける事となる)

後に「ブライスロードの戦い」と呼ばれる派閥争い・内紛を仕組み、内紛終結に至るまでにメイザースやウィリアム=ウィン=ウェストコットなどの指導者を始末することに成功。
以降、指導者を失った『黄金』は衰退し、その流れは『黄金』を取り戻そうとした者が結社の再興を目指そうとも変わらなかった。

クロウリーが最初の妻・ローズ=ケリーと結婚し、予言通り娘・リリスを授かったのは「ブライスロードの戦い」の終結後だった。
リリスの死の運命を回避するためにクロウリーは手を尽くしたが、それでも運命を変えられず、死に際に駆けつけることも出来なかった。

その後のクロウリーは、内外問わず周囲に苛烈で異常な言動を撒き散らした。リリスの件でローズに八つ当たりし、家庭は崩壊(後に離婚)。これが原因で2人目の娘にも嫌われた挙げ句、数回も国外退去処分を受ける程の問題を各地で引き起こす。
当時のマスコミには「食人鬼」「変態」等と面白おかしく書き立てられ、数々の実績を残した「近代西洋最高の魔術師」でありながら、同時に「最低(最悪)の人物」という評価を得た。

歴史上の彼は1947年にイギリスの片田舎で死亡したと記録されていたが、実際には死んでおらず、魔術師討伐組織とやらに追われ、瀕死状態となっていたところをカエル医者こと冥土返しに救われていたらしい。
後に幻想殺しを宿す者が活躍しやすい環境、彼にとって新たなテレマ僧院である「学園都市」を作り、現在に至る。再起の地に日本を選択した理由は「鎌倉で大仏を見た時の衝撃が忘れられなかったから」らしい(一応史実ネタ)。
シチリアやパリへの興味を失くしていた、戦後復興中の日本で学問を取り戻すというお題目で設立しやすかった、カエル医者の都合など選択肢がだいぶ絞られていたせいでもあったようだ。

失敗の呪い

クロウリーが背負う「呪い」とは『黄金夜明』の全てを対象にした「失敗の呪い」。
呪詛の力が機能した結果、『黄金』に関わるメンバーは生きていても「成功」を収められず、失意と絶望の底に沈んだ。

ベネットの忠告通り、最後の最後に『黄金』である自分自身に劇毒たる「呪い」の刃が突き立てられたが、それでも娘を死に追いやったありふれた病名(運命)だけは覆らず、何をやっても必ず失敗する『黄金』の「呪い」だけが残ってしまう。

しかし、クロウリーは普通の感性の持ち主なら絶望しそうな状態さえ糧に、何をやるにしても必ず失敗する事を前提にして動く
呪いの影響であっけなく失敗する事が多いが、その失敗をもバネに飛躍し、成功しようが失敗しようが構わず同じペースで目的に向かって邁進する。
よってアレイスター=クロウリーは失敗も成功も問わない。それが彼の「法(テレマ)」に基づく考え方であった。

目的

クロウリーの目的は「魔術の殲滅」。
わだかまる「位相」を完全に消滅させ、まっさらな世界を取り戻すこと。

偶発的な悲劇(運命)に屈して仕方ないと諦める者が出る世界ではなく、「奇跡や神に頼らない努力が成果となる世界」「誰もが当たり前に疑問を持ち、当たり前に憤れる世界」を夢見ている。
奇跡になり損ねた「火花」による偏りからの解放。それこそがクロウリーの真の目的である。

ミナ=メイザースによると、「それが父親の勤めを果たせると本気で信じているのでしょう」とのこと。

むかしむかし、せかいさいだいのまじゅつしがまだこどもだったころ。
かれがすんでいたまちは、それはそれはひどいところでした。
かみさまをしんじるおとうさんとおかあさんはわからずやで、がっこうのせんせいはいじわるばかり。なのに、うわっつらばかりいいものだから、かれらはみんなまちのかおやくでした。おさないかれはそんなはきだめのようなまちでくらしながら、こんなうそつきをさばくこともできない、かんたんにだまされる、はんぱなせかいをつくったかみさまなんてたいしたことないんだなとおもうようになりました。
だったら、わたしがほんものをみせてやろう。
はんぱなかみさまにかわってただしいルールをみつけてやろう。
これが、のちにせかいさいだいのまじゅつけっしゃとなる『おうごん』のもんをたたき、あまたのじゅつしきやれいそうをかいはつしたにんげんのスタートちてんです。
ですが、もちろんすべてがせいこうしたというわけではありません
かれがこたえにちかづくたびに、あちこちからじゃまがはいります。きょうこなけっしゃはうちわもめをおこし、こどもはたおれ、つまとはわかれ、かぞくはばらばらになって。かれがつまずくたびに、いつもどこかでくすくすとわらうものがいるのです。
それでもかれはがんばります。
かみさまにもだせなかったこたえをみつけてせかいをよりよくするために。
なげいて、なきさけんで、うちのめされて、ぜつぼうしても。
きょうもアレイスター=クロウリーはかみさまのルールとたたかっていくのです。
       ~新約14巻より全文抜粋~

主な使用魔術・能力

Magick系魔術

「魔術(Magick)とは、意志に従って変化を起こす科学であり業である」

初出:7巻
史実でも存在するクロウリーの〈テレマ〉における魔術。7巻及び新約22巻でも説明されている通りクロウリーが基礎理論を構築した魔術体系で、エイワスにより〈法の書〉の知識を授かった1904年から始まる新時代(ホルスの時代)ではこの体系が支配すると言われている。
イシスの時代やオシリスの時代などの古い魔術とは明確に区別され、今なおMagick系統を使用している者も存在し、専門の調査機関もあるらしい。

「魔術とは意志に応じて変化する科学にして業(技芸)」。これらは史実のクロウリーの魔術定義だが、新約22巻冒頭でも引用されており、禁書の科学(学園都市=形を変えたテレマ僧院)もこれが元ネタだと思われる。

作中では「対魔術式駆動鎧(A.A.A.)」の中身がMagick系魔術の理論で構成され、さらにコロンゾンがこの体系に分類される魔術を使用した。

クロウリーの弟子兼秘書であるケネス・グラント曰く「11(K)」の象徴的英数字に体系化された魔術で、11(k)には様々な意味が含まれる。特にkhu(卓越した魔力)、クティスあるいはクホン、キューなど女性的な面(膣,女陰)の象徴、〈アブラハダブラ〉(Abrahadabra)の文字数など、〈魔力の流れ〉の性質を正確に表現しているという。
11はカバラ神秘主義を重んじる者にとっては〈セフィロト〉から弾き出された数字だが、同時に〈クリフォト〉の数でもあり、クロウリーが11(K)を象徴に選んだ理由もまさに此処に集約される。
しかしダイアン・フォーチュンは、これをクロウリー系魔術の初心者が行う場合に限りとんでもない罠であると暗に否定意見を述べた。

類感魔術

実在する魔術法則の一つ。
提唱者のフレイザー曰く『類感』と『感染』こそが魔術の根本である。
類感理論は「形状の似ている物は相互に作用する」というもの。

本作の実践的な魔術師は「偶像の理論」「偶像崇拝の理論」と呼ぶ。
最もポピュラーな魔術で、模倣品に本物の0.000000001%未満の神性を獲得させる「霊装」は、まさにこの法則に従って構築される。
クロウリー並の魔術師は、相手の使う霊装すら即興で再現する事が可能とされている。

一方の感染理論は「一度でも接触したり元々一つだった物は遠く離れても相互に作用する」。

霊的蹴たぐり

クロウリーやアラン=ベネットが得意とする、類感魔術を応用した攻撃魔術。
効果はリンクした相手に本物の価値を付加したイメージを問答無用で叩き込む

相手にイメージさせる方法は「パントマイム」。
クロウリー程の達人になると長さ、細さ、重厚感、質量、硬さ、斬れ味、火力といった性質をパントマイムだけで正確無比に伝えることが出来るという。
剣といった武器であっても、サーベルやレイピアや太刀などの種類を事細かに指定できると言えば、凄さは多少伝わりやすいかもしれない。

傍目から見ると「ごっこ遊び」のようなシュールな光景だが、リンクした者にはイメージの形が見えるし現象として反映される。剣なら斬られる、銃なら撃たれる、まさに本物と同価値の体験をすることになる。

存在するかもわからない妙な力でもイメージ再現の対象になる。
例えばそれが「世界(宇宙全体)を一掃する架空のビッグバン爆弾」のような意味不明な代物だったとしても。
宇宙全体を覆い、全てを破壊する程の力をリンクした相手だけにダイレクトにぶつけてしまえる。

複数人とリンクした場合、誰を攻撃対象にするかは術者が自由に設定可能で、この魔術による攻撃は
相手の脳内を起点に発動する為、距離や障害物の影響を受けない。
(例えば術者と対象者との間にガラスを挟んだ場合、ガラスは壊れずイメージの銃弾だけが相手の体に現象として叩き込まれる)
ただし、「イメージの武器」を認識した上でその攻撃を防御、迎撃することは可能。

そもそも機械などの「思い浮かべる」能力が無い相手には連想させられず、例えリンクしても相手が変な五感や感性の持ち主だった場合はうまく連想させる事が出来ないが、アレイスター程の達人なら問題無いらしい。

旧約22巻のフィアンマ戦では、パントマイムで『銀の杖』をイメージさせている。
更には、電子顕微鏡やガンマナイフ、CTスキャンと言った武器ではない、大型医療機器さえもイメージさせる事が出来、これを利用してコロンゾンの支配を受けた府蘭を『A・O・フランキスカ』だけを切除して救った。

理論や名前などはステイルSSと天草式SSが初出。

衝撃の杖(ブラスティングロッド)

旧約禁書でも言及されている捻くれた銀の杖。
クロウリーの師アラン=ベネットの所有物であり、実在したベネットの伝承に由来する。

実はこの杖も「霊的蹴たぐり」で再現されたイメージ上の存在であった。

正体は『補助術式』。
術の効果は「魔術の威力を対象の想像の10倍に増幅する」というもの。

この「効果」とは威力だけでなく射程や大きさなども含まれる。
それが単なる10倍で終わるならまだ良かったかもしれない。
しかし、衝撃の杖の増幅効果は10倍後のイメージも基準に含まれる

標的が10倍に対抗しようと思い描けばそれを基準にさらに10倍の「100倍」。
10倍の10倍に対抗しようと思い描けばさらにその10倍の「1000倍」。
さらに10倍…「10000倍」「100000倍」「1000000倍」「10000000倍」と無限に増大して行く。

こうなってくると倍々ゲームでしかない。

術者の力ではなく対象の精神に依存する、つまり対象そのものから力を引き出すため、思い描く内容次第では「魔神」が相手でも通用する可能性を持つ。
ただし、自分の力に絶対の自信を持つ相手の場合、その精神を切り崩す(少しでも魔術の効果を想像させる)ことが出来ないと、増幅どころか魔術自体の効果が無くなってしまうという弱点を持つ。
しかし、相手のイメージを頼りにする都合から霊的蹴たぐりとの親和性が高く、併用することでこの弱点を実質的に解消している。

新約19巻では先述のビッグバン爆弾と併用し、「宇宙全体を一掃する力の10倍」という途方もない火力を実現してみせた。

なおアレイスターやベネットはウェストコットやメイザースからの嫉妬を避ける意味で本来の効果を伏せ、「杖の先で小突いて体内の魔力を暴走させ相手の意識を奪うトリック」と偽装していた。

史実では、この杖に打たれた相手が心身ともに回復するのに14時間かかったという。ブラスティングロッドの正体は「スタンガン」だとする説があり、これはベネットが当時はまだ珍しい『電気』に精通する電気技師であった事に由来する。

アブラ・クアタブラ

アレイスター=クロウリーの金字塔とされる魔術(呪術)の一つ。

今でこそオカルト信奉者を小馬鹿にする時に使われるほど有名な言葉だが(日本でもハリー・ポッターに登場する『死の呪い』等、創作で一度は目にしたりや耳にした者も多いと思われる)、元々は体系化されていない原始的な癒やしの魔術だったり、口で唱える呪文ではない事を知っている者は少ない。

アレイスター=クロウリーの歴史を紐解くにあたり、アブラ・クアタブラは外せない。彼はこの逆三角形からなる呪詛を自らの魔術体系(テレマ系)に組み込む事に成功している。

効能の一つが呪詛返しと呼ばれる力。
本来、敵対者の呪いを弾いたり逸らしたりする「護符」に込められた防御用の力だが、新約17巻でクロウリーはアブラ・クアタブラを攻撃的に使った。
いわく世界には恨み・妬みなどの指向性を持たない呪詛が渦巻いており、このような呪詛を偏向し、一つに集約させる。
術者は魔力を練る必要もなければ、見える範囲から手を下さずとも良い。

新約17巻での術の対象者は御坂美琴
元々、対魔術式駆動鎧(A.A.A.)に接触したためクロウリーの排除対象となっていたが、アブラ・クアタブラの護符が組み込まれたオリジナルA.A.A.と接触した瞬間をクロウリーに狙われてしまった。

呪詛に込められた名の意味は「汝の死に雷光を与えよ」。
最強の電撃使い(エレクトロマスター)を攻撃する術としては、皮肉が利いていると言える。

原型制御(アーキタイプコントローラ)

人間の行いによって醸成される一定の価値観、死生観、宗教観などの原型(アーキタイプ)を根本から操作し、一種のパラダイムシフトを起こす技術。新約20巻時点では具体的な手法はおろか魔術や科学なのかも判明していない。

分かりやすく例えると、典型(ステレオタイプ)を操作する事とほぼ同義。「日本人ならコレ、アメリカ人ならコレ、イギリス人ならコレ」という風に、民族には必ず一定の共通認識・価値観が蔓延っている。原型制御では典型を醸成する原型(アーキタイプ)、つまり人間の根本的な思考・認識を新たに生み出したり、歪めて破壊する事もできる。

クロウリーはこの技術を用いて「科学」という名の新たな枠を作り、世界を「魔術」と「科学」の2陣営に切り分けた。

飛沫

クロウリーが独自に開発した術式。
魔術の使用によって生じた「火花」の着地点を自由に誘導する事が出来る。術式の不幸がいまいち不明瞭で、新約18巻の上条との戦闘では上条に物理的な衝撃(?)が発生し、真横に吹き飛ばされ血反吐を吐いている。

現時点では自分の魔術にしか機能しないが、もしこの術式を100年早く開発できていればリリスは死なずに済んだ未来があったかもしれない。
基本的に魔術で生じた火花は自分に向けている。これは自分が使った魔術で世界に不幸な運命が生じることを許さない、クロウリーの信念である。

血の供犠

あるいはこう言い換えておこうか。ブラッドサインと。

…ブラッドサインと言い換えられているが、鎌池作品最強クラスの「あの御方」が禁書勢を相手に暴れまわるわけではない。
クロウリーはかつて第一次世界大戦を予見しておきながら、自らの目的の為に世界が血で染まる事を受け入れた。その思想が「血の供犠」と呼ばれる。

そして、この血の供犠がもたらすのは魔力の超伝導化。後述の「ifのクロウリー」がイギリス連邦国に大規模な戦闘を仕掛け、殺される度に力(魔力)は最適化されていく。惑星全土を飲み込むほどの闘争がもたらすのは、あくまで力の最大効率化いうわけである。
新約20巻では最大効率にまでデフラグされた事により、あの聖人の音速機動に軽く対応して雑魚扱いできるような何らかの力を手にしていた。

元ネタはアレイスター=クロウリーの思想における「血の供犠」。魔術書「魔術-理論と実践」にて、こう述べられている。
「〈新しきアイオーンの秘儀参入〉という最大限の重要性を有する〈魔術的操作〉がある。言葉を発することが必要になる時は、〈惑星〉全体が血に侵されねばならない。人間が〈テレマの法〉を容認する準備が完了するためには、その前に〈大戦争〉が行われねばならない。この〈血の供犠〉こそ、〈戴冠した征服児ホルス〉が…(以下略)」

計画(プラン)

アレイスターは自身の「思想」に基づき「計画(プラン)」を進めている。
現実のアレイスター=クロウリーは混沌とした人生を送り、最高の魔術師だの変人だの最低最悪だの様々な評価を受けた。
禁書における彼の人生の根底にはプランが有る。このプランこそが彼の本質、混沌とした人生の点と点を結びつける中核的存在とされている。

プラン自体も「呪い」によって修正を余儀なくされ、何度も失敗してしまっている。
そこで生きてくるのが呪いの影響で醸成された彼の「法(テレマ)」。つまり「失敗は成功のもと」を地で行く、成功も失敗も問わないスタイルだった。
(一度失敗しても反動で更なる飛躍が期待できるので「成功と失敗が等価値」で結び付けられているらしい。まさに変人の価値観と言える)

過去のプランで何をやっていたのかは不明だが、現代では再びエイワスを呼び出したり「神浄」と関わる何かを目指している。そのために滞空回線や直属組織、一方通行、幻想殺し(上条当麻)などを利用し、学園都市に秘められた虚数学区を制御するために「プラン」を積み上げている。

一方通行の推測や新約10巻の魔神「僧正」の発言から、既に失われた大切な人物をこの世に呼び戻すことが一つの目的であると推測されていた。
この人物は後に第一子「リリス」であることが確定。エイワスによるとリリスの「肉の器」を作り、彼女の死の運命も覆して現世に再誕させる計画だったらしい。

また、アレイスター自身が創った学園都市自体もプランの一要因に数えられる。
そもそもの学園都市とは、形を変えただけの「テレマの僧院。彼にとって教育機関というのもテレマの隠れ蓑に過ぎず、全ての魔術を排除する為に利用している居城であった。
しかも、学園都市は「上条当麻」を誘致して活躍させる為だけに用意したのだとか……(本編中でも上条とテレマ=ホルスの時代の関係が示唆されている)。

オティヌスによると、彼の目的は全ての「位相」(魔術法則が支配する幾重にも重なった異世界)の消滅。そして最下層の「科学の世界」(純粋なる物理法則の世界とも)を直接操作すること。その最下層の科学=物理法則の世界に佇む天使がエイワスらしい。

アレイスターにとって「科学的」とは「霊的・物理的現象問わず物事を筋道立てて説明できる法則」を意味する。つまり科学=テレマ=物理法則であり、魔術の根絶を目的とするアレイスターがエイワスを重宝するのもそのためである。

テレマ

テレマ(Thelema,セレマ)とは実在するクロウリーが提唱した概念、『法の書』を聖典とする宗教。ギリシャ語で「意志」を意味する言葉でセレーマ、テレーマとも表記される。
禁書だとテレマ表記を採用しており、「法」にテレマとルビが振られる事もある。

禁書でテレマという単語が初めて出たのは新約17巻とかなり遅いが、テレマの内容自体は旧約初期から随所で語られている。

  • Magick
上記の「主な使用魔術・能力」も参照。
  • テレマ僧院
かつてクロウリーがシチリアに創設したテレマの僧院。たった一つのアクシデントから失われてしまったらしく、後に形を変えたテレマ僧院「学園都市」が設立された。
史実だとテレマ教の信者の男性が死んだ事がマスコミに嗅ぎつけられ(男の妻がマスコミに情報を流した為)、クロウリーが国外退去処分を受ける程の大問題に発展し、僧院は閉鎖に追い込まれている。
禁書では全容は不明だがクロウリーの国外退去処分やマスコミ嫌い等の要素と一致する。
  • 四大属性
本作では「属性の歪み」が発生し、ラファエルウリエルの属性配置が入れ替わるありえない状態に陥っていた。
実はこれはテレマの小五芒星儀式における属性配置と一致する為、クロウリー関係の伏線である可能性が指摘されている(歪んだ状態のラファエルにはテリオンが、ウリエルにはヌイトが対応する)。
  • 法の書
高次元存在エイワスが伝えた事を書き留めた魔道書の原典。
難解な内容で、今なお解読作業が進められている。いくつものそれらしき答えに行き着く解読法が用意されている為か、冒頭には「汝の欲する所を為せ、それが汝の法とならん」と記されている。
史実では、晩年のクロウリー自身が「私は『法の書』の内容を完全に理解出来ていない事を認めざるをえない」と語っている。
  • ホルスの時代(アイオーン)
テレマ教の概念。
おおむね概要で説明した通り、十字教(キリスト教)より前の時代をイシスの時代、十字教が支配し、神に盲従する停滞の時代をオシリスの時代、人類が『真の意志』に目覚めて神と成る時代をホルスの時代という。史実では「人は真の意志に目覚めて神と成る」と考えられており、テレマ思想の根幹概念と言える。
時代(アイオーン)の変遷は2000年周期らしいが、クロウリーは「法の書が完成した1904年から十字教の時代は終わり、今ある時代は十字教の支配体制が消滅した次(ホルス)の時代(アイオーン)である」と主張している。
聖守護天使エイワスはホルスの時代を生きる存在とされ、「幻想殺し」「右腕」「神浄」もホルスの時代との関係が示唆されている。
  • 汝の欲する所を為せ、それが汝の法(テレマ)とならん
法の書に記されているテレマの中心概念。
ミナ=メイザースが言うにはクロウリーはこの思想に従って「たとえ万人から負や悪と位置づけられたことであっても必要であれば迷わず手を伸ばす」ような人物らしい。
  • 銀の星
史実のクロウリーが創設したテレマ系の魔術結社。
オティヌスは新約9巻でクロウリーが『銀の星』を名乗っていると述べており、新約19巻で史実の『銀の星』に所属していたヴィクター=ニューバーグの名前も判明。

テレマの概念は今後もストーリーに密接に関わってくるものと予想されている。

新約のクロウリー

旧約禁書22巻で右方のフィアンマの制裁に直接動いて以降、しばらく目立った動きが見られなかった。
実際、魔神オティヌスをはじめグレムリンの計画に後手を取り続けていた。これはプランに看過できない誤差が発生し、ヘタに身動きが取れなくなったのが原因らしい。

そのせいでオティヌスに世界全体の消滅を許したが、クロウリーが目を向けていたのはむしろ他の魔神だった。
位相の一つ「隠世」に存在し、世界の運命をも決するグレムリンの真の正規メンバーとも深く係わりがあるようで、新約10巻において彼らを表舞台に引きずり出すために策謀を巡らす。
存在しないはずの位相を解析して侵入し、無謀にも複数の魔神と交戦。そこで体の半分を失うほどの重傷を負うも、「隠世」の破壊に成功し、魔神を現世に引きずり出した。

続く新約11巻では、木原一族パニッシャー木原脳幹を使い自身が動けない間に増長した者たちに粛清を加えるために暗躍していた事が明かされ、邪魔者を全て始末し終え、遂に下記に記した自身の計画を発動するためにこの世から全ての魔術を無くしてしまうために動き出した。

新約12巻で対魔術式駆動鎧を装備した木原脳幹に魔神の一柱『ゾンビ少女』を殺させた。ゾンビ少女が構築した「鏡合わせの分割」を改竄し、新約10巻で得た魔神のパラメーターを解析して作られた偽の術式を魔神達に適用。弱体化させ、殺せる状態にまで追い込む。

新約13巻における上条と美琴と魔神『僧正』の追走劇の際、宇宙に打ち上げられた魔神『僧正』がアローヘッド彗星と一体化して地球に落下しようとした所で対魔術式駆動鎧を装備した木原脳幹が介入し、僧正を消滅させた。
クロウリーは木原脳幹に僧正への伝言を残していた。
覚えているか。…世界をより良くしたい、世界を余さず救ってみたい。 そんな幼稚な歯車ですり潰されるようにして運命論に命を奪われた私の娘の名を
これは先述したリリスの件である。

新約17巻では、対魔術式駆動鎧を入手した美琴を抹殺するために動く(なお、前巻から続くエレメント諸々の影響で、学園都市の機能は崩壊・世紀末状態の真っ最中である)。
「アブラ・クアタブラ」を使い、世界に渦巻く呪詛のみならず具体的な指向性すら持たない恨み妬みを美琴に向け呪殺しかけたが、上条たちの尽力によって失敗に終わる。
『必要悪の教会』ローラ直属のスパイである元上里勢力の烏丸府蘭を確保するために動くが、土御門元春に銃で撃たれる。無論この程度では死ななかったようで、土御門は妹を連れ学園都市からの亡命を決意し、上条に頼ることになる。

新約18巻で先述の過去が明かされた(尚、彼の過去は上条視点での幻視という形で明かされ、事情は上条もある程度掴んでいる)。
そして窓のないビルに突入した上条と遂に交戦に入る。その最中エイワスを召喚、上条をフルボッコにし、中の存在すら2行で潰している。
だがミナ=メイザース土御門、オティヌス、インデックス、府蘭、美琴、食蜂達のおかげでエイワスを世界に留めていた理論の歯車を狂わせ、一旦消すことに成功。後は上条とアレイスターの1対1の対決となった。

上条からは「天国(位相)に昇ったリリスの魂を踏み躙り否定する立場」に回っていることを指摘され、クロウリーは「まやかし」だと言い放つ。
もはや言葉の応酬に留まらない、力と力のぶつかり合いにもつれ込んだ戦いは、最終的に上条の勝利を以て幕を閉じた。

クロウリーの2人目の娘

上記の「元ネタとの共通点」の通り、史実のアレイスター=クロウリーには最初の妻・ローズとの間に2人の娘がいる。
史実ネタを積極的に取り込んでいる禁書でも、少なくとも2人の子供と複数の愛人がいた事が判明した(新約18巻の流れ的に2人目は愛人との子と解釈できなくもないが…)

1人目は「ニュイ=マ=アサヌール=ヘカテ=サッポー=イザベル=リリス」。
位相の火花(運命)が原因でこの世を去った人物であり、旧約7巻「法の書編」の時点で名前だけが判明済みだった。

そしてリリスの妹にあたる2人目の娘だが…。

ああ、ああ。哀れなるかなローラ。狂気の破綻者と因果の糸で連なる二人目の娘よ。
普段はあれだけ悪態をつきていたのに、最後は泣きながらこう懇願していたぞ。
 お父さん、お父さん、助けてお父さん、ってなぁ!!!!!!

ローラ=スチュアート
彼女は史実で言うところの「ローラ=ザザ=クロウリー」に該当する人物である。

しかし「ローラ」は大悪魔「コロンゾン」に身体を乗っ取られていた。スチュアート姓もコロンゾン本来の契約者の趣向に由来する偽名でしかない。

新約18巻の終章でコロンゾンはある人物との契約内容に従い、クロウリーを始末するために動き、クロウリーにダモクレスの剣を突き刺した。

10億8309万2867通りのアレイスター=クロウリー

コロンゾンが殺したのはクロウリー本人ではあるのだが、厳密に言えば「クロウリーの可能性の一つ」に過ぎない。
クロウリーが使う人工知能「問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)」によれば
クロウリーは10億8309万2867通りもの可能性を秘めているらしく、かつてこの「分岐先」を何らかの手段を用いて作る実験を思い付きで実行、その産物として「分岐先(ifのクロウリー)」を顕現させることに成功していた。
しかし世界に複数のクロウリーが存在したところで、ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。 自分自身と重ね合わせて封じ込める事を余儀なくされた。
旧約22巻ではこの分化した可能性の一つが右方のフィアンマの制裁に向かっている。

魔術を極めた結果、クロウリーは0と1で表現不可能な高次的な存在と化していた。それこそ、自身が憎む『魔神』に至らぬよう制御しなければならない程に。
シークレットチーフの『窓口』とされ、実在も怪しい究極の高次存在「アンナ=シュプレンゲルがそうであったように、彼もまたエイワスの一学説「シークレットチーフの真なる者」への『窓口』として機能していた。
(旧約22巻のセリフからクロウリーはアンナと実際に接触した可能性がある。この状態はアンナが語っていた存在と同質らしい)

数を数えるという基本的な概念が崩れてしまっているような現象だが、それこそが頂点の領域なのだった。そもそも『生命の樹(セフィロト)』には様々な言葉や数字で霊的世界の説明がなされているが、一定以上の上部組織については『言葉で説明できない』ものであるとして、意図的に省かれてしまっている。
その領域に足を突っ込んだ者が上部組織へ到達するのか、上部組織に到達するとその領域に変換されてしまうのか。
ともあれ、クロウリーは次元の違う所にいた。
世界全人類を救済する力を持っていると宣言しておきながら、未だにこの世界の数で数えられる程度の存在であったフィアンマよりも、高い場所に。
     ~旧約22巻より抜粋~

男性はもちろん女性や老人、子供、罪人、聖人まで包括しており、今まで多様に見えてきたクロウリーは、重ねられた可能性だったようだ。
…それだけならまだよかったのだが、何とも形容しがたい触手付きクロウリーから大型の恐竜クロウリーまで、何をやったらそんな可能性に至るんだと突っ込みたくなる異形の化け物も多く、もはや人型を保っている方が珍しい
コロンゾンがクロウリーを殺害した事でその10億以上の可能性は全て開放されてしまった。

分化したクロウリーは形を変えた僧院「学園都市」はキミ(コロンゾン)にくれてやる、とまさかの学園都市の譲渡宣言。
代わりにイギリス連邦と本丸の連合国を貰うと宣戦布告し、コロンゾンが状況を理解した頃には既に遅く、分化したクロウリー群がイギリス連邦の制圧に向かった。

なお、当然地球の人口もいきなり10億超増える事になった訳だが、それによって引き起こされるであろう食料などの生存リソース圧迫の問題については考えていなかったらしく、やってから失敗だったかもと後悔してる部分もある。

アレイスター=クロウリー(美少女)

その後、クロウリーの可能性の一つの「美少女クロウリー」が上条の前に姿を現した。ifとはいえまさかのクロウリーの美少女化である。

Aleister Crowley



知識・能力はこれまでの男クロウリーと同一らしく、当然ここに至るまでの経緯も全て把握していた。違いは性別だけなのである。その上で数刻前まで敵同士だった上条とは早々に打ち解け、女性の性感を知る為にセックスを迫ったり、一緒にラブホに行って、やっぱりセックスを迫っていた。なんだこの変態親父…。

女になったがクロウリーはクロウリー。
エイワスと共にコロンゾンを策略と知識で完全に出し抜き、強さ面でも霊的蹴たぐりと衝撃の杖を併用し、「軽く見積もって宇宙を10回は作れるほどの力」「世界全体を一掃できる力の10倍」とフルスペック魔神に近い火力を出し、困難とされた烏丸府蘭の救出を完璧に成功させた。
かつてのラスボス候補の威厳を取り戻して余りある活躍を残したのだが、敵の時にそれが出来たら良かったのに、とか言ってはいけない。

再会

新約19巻ではなんと彼(?)の娘である「リリス」が復活。

1904年にエイワスがローズの体に降りた時には、ローズは既にリリスを妊娠していた。その時にエイワスがリリスの構造を読み取り、位相に生命力を退避させていた模様。
エイワスはリリス死亡後にアレイスターが自身を現世に固着させ、リリスの「肉の器」を作れるようになるまでは位相で保護しておく予定だったと語っている。

だが、当初の予定を早めて新約19巻では「剥き出しの生命力」のままのリリスを現世に誕生させている。
エイワスによる、100年以上も苦難の道のりを歩んだクロウリーの「血と汗と涙の重さ」に見合うだけの祝福であった。

現世に再誕したリリスは肉の器を持たない「剥き出しの生命力」なので、かなり不安定な存在だが、術式に頼らず思念だけで魔術や超能力じみた現象を起こすことができる。
しかも本体は赤ちゃんなのに精神はある程度成長した少女のそれ。何故かお嬢様言葉で喋る(木目調の人工乳母を操り言葉を代読させている)。

リリスは浜面仕上に保護されていたが、色々あって無事に再会。
(感動の再会シーンなのに父親が何故か美少女になってる件で)ぶん殴られ、さらにようやく出会えた娘相手に躊躇ったりと最初は上手くいかなかった。
エイワスとミナ=メイザースから「幸せになる努力を怠ってはいけない」「幸せになることから逃げるな」と言われ、もう一度父としてリリスを腕の中で抱いた。
新約19巻が終わる頃には、既に「父と娘」に収まっていた。性別はともかく。

史実ネタ(や女体化時の行動)を含めて「ミステリアスなイメージは完全になくなった」「威厳あるボスからは脱落した」とは言われているものの、代わりに「何をやっても100%失敗する呪い」や「父親」の側面が明かされたことで、その人間臭さがかえって魅力的だと別方向での再評価もなされている。

イギリスへの侵攻~クロウリーズ・ハザード

事件の経緯はコロンゾンを参照。

新約19巻終盤ではコロンゾンの自滅を誘う形で「新天地」に送り飛ばすことに成功(ただ完全に隔離できるとは思ってなかったらしく、新天地送りをあくまで時間稼ぎ程度に捉えていたようだ)。
アレイスターは疲弊しながら何とか帰還したコロンゾンに追い打ちをかけるように「学園都市の機能・技術の凍結」を告げた。

そして子鹿のように地面にへたり込むコロンゾンを足蹴にしながら見下し、
必ず娘(ローラ)は返してもらう。だから孤独の城で首を洗って待っていろ、ゴミ虫
と宣戦布告の言葉を叩きつけている。
最終的に上条、一方通行、浜面の3主人公達と共にイギリスへと向かう為に動き始めた。

新約20巻では制御の効かない10億以上のアレイスター=クロウリー(クロウリーズ・ハザードと呼ばれる)を傍目に、イギリスへと侵攻開始。こと近代西洋魔術に関してスタンダードを創った彼は法則に干渉できるため、無類の強さを誇った。
その凄まじいまでの強さは神裂火織騎士団長、神裂に憑依した「クリファパズル545」を一人で倒したことからも覗える。

しかし世界に悪意を撒き散らすクロウリーは、人と人の不理解・不寛容を力に変換する相性最悪のイシス=デメーテルと融合したオルソラ=アクィナスに敗戦。上条にヒントを与え、勝負を託した。

上条がオルソラを解放した後、クロウリーは上条と共に向かったある場所で信じられない光景を目にする。

黄金の夜明け

サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースとの契約に縛られたコロンゾンを逆に制御することを考え、メイザースの遺体が埋葬されている墓に向かう。だが、埋葬されていた遺体はメイザースではなかった。

クロウリー達がその事を把握した後、死んだはずのメイザースが現れる
そこから世界がおかしく歪み、ウィリアム=ウィン=ウェストコットイスラエル=リガルディポール=フォスター=ケイスアーサー=エドワード=ウェイトダイアン=フォーチュンロバート=ウィリアム=フェルキンなど、少なくとも数十人以上の『黄金夜明』のメンバー達も姿を見せ、かつての「ブライスロードの戦い」の再来がここに宣言された。

このメイザースを始めとするメンバーたちは本人ではなく、コロンゾンによって再現された存在。正確にはミナ=メイザースと同じく、タロットカードに『本人』と言う設定を与えて作られた、「意志を持つ原典」である。
本物の遺体はスコットランドのエディンバラ城に埋葬されているが、メイザースは遺体を守るよりもクロウリーとの決着を優先した。

再現された存在とはいえメイザースの力はオリジナルと同等、クロウリーをも上回る。
科学だけではメイザースに勝てないと判断し、科学でも霊的蹴たぐりでもない「マスターセリオンベイバロンの記号を冠した魔術」を発動させたが『蝿の王(ベルゼビュート)』で迎撃され、別方向に吹き飛ばされてしまう。

流れ着いた先はかつての妻ローズ=ケリーと結婚式を挙げたスコットランド方面の教会、そこに居合わせたのはオルソラ=アクィナスだった。
その場でオルソラに手当てして貰い、彼女との会話の中で魔術師クロウリーの深層たる部分を改めて見つめ直す機会を得る。
そして彼は一冊の本を、西洋魔術師の始原たる「聖書」を手にとった。

宿敵メイザースとの決戦を前に、クロウリーは彼に「オリジナルでないのなら過去の因縁は無い」と問いかけ、 メイザースは「作り物だとしてもそこに留まるかを決めるのは俺自身、コロンゾンもアレイスターもどうでも良いが、『反抗』の結末は俺が決める」と返す。
そして過去のトラウマを乗り越え、聖書を手に取ったクロウリーに対し、メイザース自身もあえて同系の魔術を使用した「魔術戦」が始まる。

「私は貴様が羨ましかったんだ、メイザース。ここにいる貴様に言っても仕方がないのかもしれないがな」
家族は大切だったかメイザース」
「運命に抗っても、ブライスロードの戦いを制しても、結局私には永遠に手に入らなかったものだ。故に貴様が許せない、どうあっても。どうして踏み躙れた、何があったら最愛の命を二の次になどできた!? メぇイザぁぁぁース!!」

即興での四大天使(高次元存在)4体の召喚、その気になれば世界を滅ぼせる規模の十字教魔術のぶつけ合いは、最終的に拳による殴り合いにもつれ込む。
真理に辿り着いたクロウリーの魔術…付けられた「聖痕(スティグマ)」解放による爆発的な力の拡散で地脈・龍脈からのエネルギーを断たれ、「メイザース」と呼ばれた者は、他の黄金メンバーと共に消滅し、タロットへと戻っていった。

そして学園都市の機能を復元させた裏で復活したコロンゾンに対し、クロウリーはメイザースの遺体を介して『深淵』への帰還を命令する。こうして2人目の娘「ローラ」を悪魔から無事取り戻したのである。めでたしめでたし。

…とはならず直後、抱きしめたローラに刺され、致命傷を負って倒れ伏す事になる。

新約22巻 - イギリスへの『帰還』

対コロンゾン

コロンゾンに致命傷を負わされ、クロウリーを嘲笑うコロンゾンに憤って挑んだ上条も皮肉な事にクロウリー系の「Magick系魔術」で敗北したものの(肉塊と化したが彼の魔術で右腕以外回復)、美琴食蜂の好判断もあり無事逃げ果せてイギリス王室派に保護された。

実体を持つ以上、幻想殺しも機能せず、他にこの世界の者ではない悪魔コロンゾンを殺す方法も存在しない。だがクロウリーはただ一つ、333の悪魔を消滅させる方法がある事に気付いてしまった。

そもそもエイワスは何故リリスの魂を保護し、あのタイミングで剥き出しの魂のまま現世に再誕させたのか。現世に生きる者全てが背負う「原罪」が取り除かれた究極の善性、もはや魂の所属すら逆転した赤子の命を消費して悪魔を消滅させる事こそ、エイワスが彼女とクロウリーに課した役割だからである。

ミナ達と共に現れたリリスはクロウリーが導き出した答えを肯定、クロウリーは一人の親として生の感情を爆発させ、子供のように駄々をこねて反発するが

上条
「分かんねぇやつだなっ!!」
「それならリリスを使わなくてもコロンゾンを倒せるって証明するぞ!! そうしなくちゃお前の大切な赤ん坊を守れないだろうがッッッ!!!!!!」

インデックス、美琴、オティヌス、エリザード、ミナ=メイザース脳幹。彼の友人も傷付けてきた者も上条の言葉に同調し、各々クロウリーに力を貸す旨を宣言。クロウリーも顔を上げ、再びコロンゾンに立ち向かう意志を示す。

クイーンブリタニア号におけるコロンゾンとの決戦では、『魔神』オティヌスのように存在を矮小化させる方法を選択。それも最初は通じなかったが、別途にクロウリーに好機をもたらす者がいた。古の『生命の樹(セフィロト)』とも『邪悪の樹(クリフォト)』とも異なる『第三の樹』、後世の人の魂をも網羅した『人造の樹(クロノオト)』の創造者、今ある既存の世界に新たな図面を埋め込んだ一方通行(アクセラレータ)クリファパズル545が。

しかし、最後の最後に上条の右腕が再び切断され、その内なる力が抑えきれずに暴発しクイーンブリタニア号を破壊してしまう。

ある魔術師の最期

クイーンブリタニアに取り残されたクロウリーの前に黄金』の事実上の始祖であり、かつて自身が接触したらしき事を述べたアンナ=シュプレンゲルが現れ、此処までの暗躍と目的を告げた。

正確には、まず最初に現れたアンナ=シュプレンゲルは、本物のアンナ=シュプレンゲルの器を乗っ取ったホロス夫人であった。ホロス夫人についてはリンク先を見るなり史実を調べるなりして貰うとして、すぐさまエイワスが顕現、ホロス夫人から「器」を奪い返した。
エイワスはクロウリーに自身の真の目的、つまりシュプレンゲル嬢を取り戻す為にクロウリーをも利用していた事を告げる。そして、本物のアンナ=シュプレンゲル嬢が復活。始祖の〈令嬢(フロイライン)〉シュプレンゲルとエイワスはクロウリーを見下し、去っていった。

倒れ伏し死が迫るクロウリーのもとへアクセラレータが現れ、自身を超えてみせたアクセラレータへ今後の脅威と学園都市の「統括理事長」の座を譲る旨を最期に伝える。

この日、世界最大の魔術師と呼ばれたアレイスター=クロウリーは息を引き取った。


「この魔術師は国葬とする……。
 そんなもので、今までの仕打ちをチャラにできるなどとは思わないがな」




「おかえり、アレイスター。霧と魔術と平和の国、イギリスへ」


※新約22巻の「あとがき後の展開」については関連タグの下部にて

関連タグ

とある魔術の禁書目録 黄金夜明 セレマ 学園都市
マグレガー=メイザース ミナ=メイザース ダイアン=フォーチュン
エイワス コロンゾン アンナ=シュプレンゲル
ローラ=スチュアート 上条当麻 幻想殺し アクセラレータ オルソラ=アクィナス

アレイスター・クロウリー - モデル

(暫定)新約22巻あとがき後

※さらなるネタバレ配慮につき了承した方のみスクロールを。






































「くたばるべき時にくたばったと思ったが、やはりこれが私か。良くも悪くも失敗するものだな。しかし困った、今からのこのこと出戻りなど出来るものか」

センシティブな作品



恒例となった「あとがき後のストーリー」(NT22/518ページ以降)でまさかの登場。史実でもあったヴィクター=ニューバーグとの共同実験の本来の形がなんたら、火花や飛沫の影響がなんたらで、コロンゾンの肉体で悪魔と共生することになってしまう。

この面白生命体がどうなるかはさて置き、新約最終巻のリバースでは表舞台からは退場しつつ暗躍しているようなので、今後の活躍にも期待しところ。しかしNT22で噴き出した上条のアレが当初のアレイスター(あとオティヌス)の予想をも越えてしまってるらしいのは、ある意味行き当たりばったりのこの男の性か…。

関連記事

親記事

アレイスター・クロウリー あれいすたーくろうりー

兄弟記事

pixivに投稿された作品 pixivで「アレイスター=クロウリー」のイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 99793

コメント