魔術とは、意志に応じて変化を起こす〈科学〉にして〈業〉である
────────アレイスター=クロウリー「魔術-理論と実践」(新約22巻で引用)
※この記事は本編に関わる重大なネタバレを含みます。 |
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概要
科学技術を日々研究する学園都市を総本山とした勢力。
主人公の上条当麻、一方通行、浜面仕上もこの科学サイドの人間である。
基本的に魔術サイドに対する呼称であり、魔術を認識していない人間はそもそもこの呼称を用いることはない。
また、魔術を操る魔術サイド、学園都市の技術を主とする科学サイドと区別するために一般的な科学社会は一般サイドという扱いとなっている。
学園都市の科学技術は外部と比べて数十年は進んでおり、学園都市と対等な組織は他に存在しないため実質的に科学サイドは「学園都市」単体を指す。また、超能力の研究と近未来的なオーバーテクノロジーや次世代兵器など様々に保有しており軍事力も他国を遥かに凌ぐため独立国家のような状態となっている。
『才能の無い人間がそれでも才能ある人間と対等になる為の技術』である魔術と科学的に『人工的に後天開花させた才能』である超能力は異なる仕組みで超常現象を引き起こしている……と思われていたが、実態は根本から異なった。
テレマ神秘思想 ※ネタバレ注意
その正体は、〈テレマ〉という実在する近代魔術思想。
能力開発と称して行われた「思春期の心性と薬物作用を網羅した超常誘発方式」はテレマ僧院で行われた事と同じ。実際は近代魔術のテレマを科学に偽装し、それを発展させた勢力こそが禁書の科学サイドであった。
現実のテレマは1904年に魔術師アレイスター=クロウリーが「聖守護天使エイワス」から授かった知識で記された〈法の書〉を教典とする神秘思想だが、本作では創始者のクロウリーによって巧妙に科学という形へと偽装・カモフラージュされている。
科学サイド総本山の学園都市は、形を変えたテレマ僧院に過ぎなかった。学園都市が創立された第二次世界大戦の直後から、科学はたった一人の魔術師によって全ての魔術を排除するための勢力として発展していたのである。
なお科学サイド、魔術サイドという枠組みは自然発生したものではない。これらは魔術を憎悪するクロウリーが、「原型制御」というパラダイムシフトを起こす技術を使い、魔術に対抗する枠組みとして人為的に線引かれている。
元々、世界は統一した理論で説明できていたのだが、まさにたった一人の邪悪によって強制的に科学(超能力)と魔術に隔てられたのが、現在のとあるシリーズの世界観となる。
つまり本作の世界観は、
以上の二つに“明確に”分断されている事になる(後述)。
つまり、現実的には魔術サイドに分類されるべき新興宗教の形を変えた姿。
現実世界におけるテレマ思想はクロウリーの没後から現代に至るまで続いているが、禁書では創始者のクロウリーが魔術を憎んで生き長らえていたら…というif・創作設定のもとに成立しているのである。
近代魔術と近代科学の歴史
中世にはカバラ、ヘルメス学や錬金術などの思想を統合して世界の救済を掲げた〈薔薇十字団〉が発足。
19世紀には〈黄金の夜明け団〉がその権威を利用・箔付けとして薔薇十字の名を借り、近代西洋魔術の源流となっている。
近代科学は錬金術、つまり賢者の石の生成過程で発展したというのは割と有名な話だが、作中のある人物はフランシス=ベーコン(※)が4つのイドラを説いたのだから薔薇十字が科学サイドの祖だと言うものもいる。
※イギリスの有名な哲学者。「薔薇十字会」の会員とされる。様々な区切りが人間から真実を覆い隠すものだという4つのイドラ論を提唱し、これが科学の探求につながった。与太話だが「薔薇十字団員」で、CRCまたはサンジェルマン伯爵の転生体ではないかと疑う者もいる。
とあるシリーズでも途中までは現実とほぼ同じ歴史を辿っていたが、史実では死亡したはずのアレイスター=クロウリーの生存以降、全く異なる歴史を歩んでいる事になる。
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レベル0 レベル5 レベル6 神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの