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CV:中原麻衣


概要

木原一族のトップ的立ち位置の女性。

木原脳幹の弟子であり、彼を先生と呼んで慕っている。ゴールデンレトリーバー姿の脳幹の傍に付き従う飼い主のような立ち位置だが、実際の立場は逆。

新約4巻から登場。イラストレーターのはいむら氏曰く『普通』がコンセプトとのこと。

いろいろな被害を考えてあれこれ手を回すのは「木原らしくない」と思っており、脳幹には「君の木原らしさは好ましくない」と言われている。


容姿・性格

リクルートスーツに白衣を着た女性。髪は肩までかかる黒髪で、ぶっ飛んだ造形になりがちな木原の中では普通の容姿である。これは先述したように唯一のコンセプトが『普通』であるため。


知的好奇心が旺盛で対フロイライン=クロイトゥーネ用に垣根帝督を起動させる際に街に開放する事にリスクがあるにもかかわらず『木原』側のシナリオを破壊してくれる程の活躍してくれれば唯一自身、研究意慾が増して助かると告げていた。


脳幹自身には「時々人を上に見ているのか下に見ているのか分からない」と注意されている。

彼女が自分自身の知的好奇心を薬味久子に植えつけ『人的資源』の騒動を引き起こしており、薬味は自身の肉体を捨て科学の枠組みでも語れない未知のモノを(見た瞬間、破滅するだろうと予期した上で)観測しようとした。

薬味久子が垣間見た記憶から考えると、薬味の元の人格は善人のそれに近いものであったと思われる。


新約4巻で木原円周が唯一の思考を再現した際には、

「そんな訳でーえ、体内の二酸化炭素揺さぶって全身の血管ぶち破ってやるぜえ!!…っていうのが『木原』らしいので一つよろしくっ!!」

などと中指を立てて言い放っている。むしろ木原唯一の『素』はこっちなのかもしれない。


常盤台への侵入を妨害した寮監に対しては「クソ先公」と笑いながら攻撃を仕掛ける好戦的な一面を見せている。


能力・スキル

  • 格闘術
    • 血液に気泡を与えて死を招く体術

打点を複数設ける事で体内に伝播する衝撃同士をかち合わせ、血管内を移動する血液中に気泡を与えて死を招く特殊な連続蹴り。

速さや重さで打擲するものではないため、その打撃の威力そのものはさほど高くはない。ただしその性質上、生身の人間に対して正確に叩き込めば一発で死亡させられる強力な体術である。

作中で上条が受けた際は唯一の白衣の裾を踏むことで計算された打点をズラしても、一瞬で全身を叩かれ、ドラム缶に放り込まれて金属バットで外から殴られるような数や方向さえわからない衝撃に包み込まれ、気づいた時には空中で縦回転していた。

ただし、全身に気泡が発生するより前に同系統の衝撃を与えることで気泡の発生条件を潰して無効化できるという対処法が存在する。

作中では上条が再び受けた際に、腕の中で猛烈な熱が生じ、胴体へと流れ込もうとするが去鳴が唯一の体術を即興で真似て上条へと打ち込むことで無効化した。

体術に関しては、木原数多が半端な形でコピーしていたらしい。

とある科学の心理掌握』では常盤台の寮監に直撃させるも、寮監に衝撃を門柱に逃がして無効化された(門柱は大きくひび割れて凹んだ)。


また、寮監に背後を取られたことに「疾すぎません!?」と驚いていたり、合気や中国拳法(太極拳または八卦掌)の纏絲勁(てんしけい)を連想していたり、実際に高度な格闘戦を繰り広げたりと格闘技術と知識の高さを見せる。


    • 鬼首挫(おにくびひしぎ)

立った相手の首に両脚を掛け、極めながら地面に叩きつけることで「首を折るか頭蓋を割る初見殺し」の技。寮監には先に飛んで受け身で威力を殺された。


  • サンプル=ショゴス

未元物質』の変種である寄生生命体。

通常は寄生されると宿主の体内の脂肪分を溶かして占拠し、栄養の蓄積と分配を支配する。また摘出しようとすると暴れ回り体構造を破壊、更に体を乗っ取り全身を不定形で覆い牙や爪などで反撃、摘出できても宿主は脂肪を失った脱け殻のような存在となる等、極めて厄介な性質を持つが培養し実験を繰り返したことで、自身の意のままに操っている。

一例として、作中では以下のように使用していた。

    • 指を鳴らすことで、右手首を瞬時に切断
    • 『理想送り』を宿した右手を縫合
    • 両腕から黒い濁流のように放つ
    • ムチのようにしならせる
    • 真下に放ちクッションとする
    • 高層ビルの壁面に張り付く
    • 遠くに伸ばした後、縮めることで体を引っ張り高速移動する
    • A.A.A.』の砲撃を受けても致命傷とならず、全身各部の裂傷を適宜縫い合わせて少しの時間で復帰する

肉体の再生や攻撃にも利用されており『魔神』の形状の再現も行っていた。

  • ペイジングアナザー

『魔神』の姿や技を再現する。

ただし、あくまで外見や攻撃方法を模倣しただけであり、モチーフの『魔神』が持つ能力・威力等は再現されていない。唯一が『理想送り』を持つことを利用した、相手にそれが本物の『魔神』だと思わせる「ブラフ」の技である。

作中では娘々、プロセルピナ、キメラ、テスカトリポカ、ヌァダの姿を再現している。

  • 弱毒性サンジェルマンウィルス

サンジェルマン』という人格を『感染』させる際に使用する、黒い丸薬の形をした頭脳侵食細菌を培養し弱毒化した赤い丸薬。

通常は感染すると人格・外見・能力の全てがサンジェルマン化するが、弱毒化したことで木原唯一という自我を保ちながら以下の能力を得た。

    • 認識詐称:サンジェルマンの「人格書き換え能力」を応用し『理想送り』を奪った際に自身がその右手の持ち主であると脳に誤認させた。
    • 魔術の使用:サンジェルマンの炭素を操る魔術『シャンボール』を扱える能力を応用し『魔神』プロセルピナの『ザクロの粒』を再現した。野球ボール程の黒い闇を無数に打ち込み、光を曲げるように周囲の景色を中心点へ吸い込むように引き延ばしていく術式。その闇をどのような形であれ体内に取り込んでしまうと死亡する。

  • エレメント

唯一が無数に作り出した魔術の『四大元素』をコアとし、科学の『還元生命』で肉体を構成している疑似生命体。

コアは人魂のような形で赤・青・黄・緑の内いずれかの色を持つ。これはそれぞれ火・水・風・土の四大元素に対応している。肉体は炭素をベースとした半透明な水晶体で、何らかの生物の姿を模している。また、モチーフの生物は「擬態能力を持つ」という共通点を持つ。

具体的にはハナカマキリ、ヒシガニ、マネキグモ、マダコ、アリグモ、トカゲ、ワニ、ダイオウサソリ、コノハカマキリ、カミキリムシ、スタモファグマナミシャク、キノハダカマキリ、スカシバガといった生物の姿を模していた。

大きさは米粒サイズから100m規模の個体まで存在し、上条達は暫定的に大きさ別に「クラス1~6」という表現によって区別をしていた。なお、クラス5については登場しなかったため不明である。

具体的にはクラス1:3m、クラス2:6m、クラス3:12m、クラス4:24m、クラス5:不明、クラス6:100mとなる。

『エレメント』は以下のような特徴及び戦闘手段を持つ。

    • モチーフとなった生物の部位(鎌、ハサミ等)による攻撃やその巨体による突進
    • 自身のコアの色に対応した火・水・風・土属性の魔術
    • 半透明の体によって背景に溶け込む擬態能力
    • 超音波によるエレメント間の情報の送受信
    • 摂氏42度を超える環境において、自身の活動能力が低下する

なお作中で登場した個体は、大熱波によって既に弱体化している状態である。

このように『エレメント』達は強力な戦闘能力を有するが、本来の用途は唯一自身を強化するための「エサ」である。最終的には決戦の場となった「窓のないビル」にいた個体は全て『サンプル=ショゴス』によって捕食され、各学区に放った残る個体も上里への復讐を果たしたことで不要と判断したためか、消滅させた。

  • 対魔術式駆動鎧

アレイスターが作成した兵器群。

ただしここで扱うのはアレイスターや木原脳幹の持つオリジナルではなく『エレメント』によって再現した兵器群である。

唯一の体から半透明な水晶体のような鋭い突起がいくつも生え、その眼球や爪のような突起、意匠を組み込む装甲、巨大な翼を作るアーム、ガトリング砲、チェーンソー、ドリル、ミサイル、レーザー等が形成され覆い尽くしていく。

また『エレメント』の性質も合わせ持っており、半透明な水晶体という外見、刃にも似た爪の展開、半透明に擬態する能力等を有している。ただしその性質上、兵器群ながら『幻想殺し』によって打ち消される。

なお、唯一が自力で構築した兵器群のためアレイスターからの干渉を受けない代わりに『意思の力』も受信できない。


作中の行動

上里翔流に瀕死の重傷を負わされた脳幹に対して、

どんなに残酷でも、どんなにえげつなくても“目的”を果たすという“木原”らしい行動であるコールドスリープ措置を施す。

そんな成長した教え子を垣間見た脳幹から「自分を超える“木原”」になる様に託されると、必ず脳幹を越え『木原』の枠組みすら超えた唯一の存在になると心に誓い、新たな対立軸としての産声を上げる。


化粧院明日香の姿を借り上里への接近を画策する。

上里が生徒会に頻繁に出入りをしていることから『理想送り』の情報を集めるには最適な立場だろうとの判断だった。

上条、上里、秋川未絵の推理が「生徒会長が生徒会長ではない」という結論に達した時、上里の右手ごと理想送りを切断・強奪し本性を表した。

本来であれば単なる切り貼り程度で使いこなせる代物では無いのだが、唯一はこれを肉体的・精神的に解決。 上里および上里勢力への復讐という彼女の目的を果たすべく上条、上里両名の前に立ちはだかる。


血管内を移動する血液に気泡を与えて死を招く体術、サンプル=ショゴスの力、サンジェルマンウィルスによる魔術、理想送りをそれぞれ思うがままに振りかざして上条達を追い詰め最終的に上条にサンジェルマンウィルスを投与し、体内からの崩壊を狙う。

が、その一部始終を見ていた御坂美琴が激昂。脳幹の置き土産となった対魔術式駆動鎧を装備した彼女の一撃を受け、窓のないビルまで吹き飛ばされていった。

そして突如現れたアレイスターと結託。上里翔流・御坂美琴の両名に狙いを定めることになった。


復讐鬼と化してはいるが、随所で(良い意味で)『木原』らしくない善性を見せている。

例えば『理想送り』の調査のために化粧院明日香になりすました際、本物は抹殺せず「7000万人に1人のレア度SSRの寄生虫が見つかった」という突拍子もない嘘で隔離するという、穏便な手段を選択している。

また目撃者に対しても確実性のある殺害という手段ではなく、非殺傷兵器を用いた直近記憶の抹消という手間を掛けている。

しかし一方で己の復讐に関係のない人間を巻き込むなど、脳幹ならば良しとしないであろう行動も行ったりしている。これは師である脳幹の「ロマン」を引き継ぎつつも、脳幹を超える唯一となるべく「先生とは違う選択肢を取ってみよう」という考えから彼女が下した判断である。


新約16巻では御坂を討って対魔術式駆動鎧を奪還するため、そして何より上里を討って復讐を果たすため学園都市に数多のエレメントを放つ。

脳幹が遺した浪漫であるA.A.A.のデッドコピーが製造されないよう、その痕跡を執拗に追い続けていた唯一だが、この点を上里らに付け込まれる。 上里が暮亞の力で対魔術式駆動鎧「に見せかけたシルエット」を夜明け空に映し出したことに憤慨。

隠れ家であった窓のないビルの地下へ続く入り口を開けて上里たちを呼び込み、その最奥で待ち構えて決戦した。彼女なりのアレンジを加えた唯一の対魔術式駆動鎧を用いて死闘を繰り広げたが、とうとう最後まで真っ当に勝利を収めることは叶わず、皮肉にも上里に繋がれた「自らの右手」で殴り飛ばされた。

その一撃が決定打となったかと思われたが、自らの口に仕込んでいたスイッチを起動することで窓のないビルの直下にあるブースターを点火。自分もろとも上里達を消し炭にしようと最期の足掻きを見せた。

これは『理想送り』を強引に繋いで使用した上里によって阻止されたものの、上里は「願望の重複」により自滅『新天地』へ飛ばされ、肝心の『理想送り』は再び唯一の元に戻った。

「上里への唯一の繋がりである『右手』を残し、彼を取り戻す可能性を残す」という半ば脅しに近い条件で上里勢力を服従させた唯一は最後に1人残された部外者の上条を指し「そのガキを殺せ」と命じた。


上里勢力を乗っ取り『暴君』として君臨した唯一は勢力内の有力メンバーを直衛に配して肉体的にも精神的にも虐げ続けるのだが、これは彼女にとって一種の実験であった。

彼女が「師を超えた唯一」になるため、そうなったと自己評価するためには「偉業の達成」を果たす必要があった。

そこで彼女が考えた「偉業」は「全人類を『木原に脅えて木原を組み込んだ誰か』に作り替える」こと。言ってみれば相互監視社会を超えた相互犯行社会を作るための実験である。

ただし、地の文で「あるいはもっと別の方法で上里勢力の少女達が元々持っていた残虐性を引き出しても構わない」とも述べられている。


去鳴ら上里勢力の少女たちを恐怖で支配する過程で彼女たちは唯一を嫌悪し、恐怖し、忌避しながらも徐々に似通っていく。木原唯一という異物と接し、木原唯一という異物を理解することで、しかし「木原唯一」とはズレた存在となる。

こうして希釈拡散した『木原唯一に媚びて木原唯一となった思考』はやがて学園都市全域に及び、去鳴たちが木原唯一を恐怖したように学園都市の住人も去鳴達を恐怖し始める。

あとはこれを繰り返すことで世界を覆うほど広がった『木原』という思考はアメーバのように形を変えて唯一本人ですら驚くほど変化するだろうとの事。


さらに、こうして移植された『木原』によって新たな『木原』を無尽蔵に生み出すことで全人類を『木原』にしてしまえば、彼女の宿敵たるアレイスターの『原型制御(アーキタイプコントローラ)』も無効化できる算段であった。

『原型制御』は人類を好きな形で切り分けて対立させる力だが、全人類が『木原』という共通因子を持ってしまえばどれだけ切り分けようと意味がない。

「『木原』を捨てる=地球人類の滅亡を意味する形」に世界を整えてしまえば、もう誰も何が起きようとも『木原』を切り捨てられない『錆びた歯車(バッドマジョリティ)』の位置を陣取れる・・・との事らしい。


上里翔流の帰還に際して、上里勢力が木原唯一に従う理由も無くなったため、理想送りは奪還された。

去鳴を初めとした上里勢力の精鋭達に囲まれた唯一は大して興味もない声色で大きな実験の一つを終わらせたような顔で「ゲームセット」と呟いていた。

その後の唯一の消息は描かれていない。


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