未元物質
だーくまたー
「この世に存在しない素粒子を生み出し操作する」能力 及びそれによって作られた「この世に存在しない素粒子」そのもの。
この能力で生み出される物質『未元物質』は「まだ見つかっていない」「理論上は存在するはず」といった『物理学で定義されるダークマター』とは異なり、学問上の分類に当てはまらない、本当にこの世界には本来存在しない新物質である。
「この世の物質」ではない以上、この世の物理法則には従わないし、相互作用した物質もこの世のものでない独自の物理法則に従って動き出す。
つまり単に変わった物質を作るというだけでなく、物理法則全体を塗り替えてしまう能力でもある。
垣根がこの能力を使う際は天使のような白い6枚の翼の形になる。
一方通行に白い翼を「似合わない」と指摘された際に「自覚はある」と答えながらもこの形状を取ることから垣根が意図して翼の形状を作っているわけでは無いらしい。
未元物質の白い翼は飛行・防御・打撃・斬撃・烈風・衝撃波・光線などかなりの応用性を持つ。
この翼の大きさは可変で数mのものから数百mのものまで生み出せる。
他にも特定の範囲に上から強力な圧力を与える攻撃や対能力者施設を内側から吹き飛ばすほどの爆発(翼がなくとも使用可能)などを起こしている。
外伝漫画『とある科学の未元物質』では更なる応用として、
- 翼に触れただけで身体が溶解・気化・砂状化する
- 念動能力による投擲を見えない力で逸らす
- 装甲をすり抜けて人体だけに翼を刺す
- 音や光を間接的に操り、脳の電気信号に干渉して暴走状態の相手に語りかける
- 理解できない事象を同時に三千三百以上展開する(発火、結晶化など)
といった現象を起こした。
また、塗り替えられた物理法則が身体に悪影響を与えるためか未元物質が展開された空間にいるだけで敵が血を吐いて気絶する場面も見られた。
この世に本来存在しない物質のためか強度も異常に高く、鉄や窒素といった「この世の物質」を元にした攻撃で未元物質を破壊出来たのは『原子崩し』などごく少数しかない。
本人曰く「『超電磁砲』くらいまでなら耐えられる」模様。
加えて、本人が意識していない攻撃を防ぐ自動防御の機能もあるらしく一方通行との戦闘ではATMを高速で投げつける不意打ちを凌ぎ、コラボ小説では使用者が対応出来なかったオブジェクトの一撃を翼が勝手に展開して防いでいる。
垣根は太陽光と烈風に注入した併せて25000のベクトルにより一方通行の「無意識の内に受け入れているベクトル」を逆算し、偽装した「ありえないベクトル」の翼を通常の物理法則に従うが故に存在する『隙間』へ撃ち込むことで反射をすり抜け一方通行にダメージを与える事を可能とした。
攻撃を通すことが可能になったことにより一時は一方通行を押す戦闘を見せたが一方通行に「『未元物質』が存在することでどのように物理法則が変化するのか」を解析し反射の設定に組み込まれ、未元物質で一方通行を傷付けることは今後一切不可能となった。
それでも純粋な「超能力」でダメージを一方通行に与えることができたのはこの能力だけである。
『この世のものでない性質を物質に付与できる』という点で極めて工業的な価値が高く学園都市では盛んに研究対象にされている。
兵器『Equ.DarkMatter』
浜面仕上抹殺の為に派遣された学園都市の暗部部隊に支給された新装備。
ありふれた物理法則を超越した性質を持つ、白いのっぺりとした仮面。
金と白で彩られ縦の長さが顔の二倍以上ある異様な形相。目や口のための穴は存在しない。
また、仮面全体が携帯電話のLEDデコレーションのように発光し、複数の色の光で模様を描く。
その光により『Equ.DarkMatter』の文字が浮かび上がる。
戦闘に入ると仮面の中心部から生物的な外見の翼が発生。複数枚同時に発生させることもでき装備者の意志に従って盾にも武器にも用いる事が可能。
翼も仮面と同じ素材で出来ており、飴細工を伸ばしたような不自然な広がり方をする。
その性能はライフル弾をたたき落とし、針葉樹林の樹木をたやすく切断する程。
不完全な状態の『原子崩し』位なら防げるようだ。
超能力とは一線を画した存在であり襲撃部隊の人間は、超能力をそのまま振るうことを『原始人の松明』と称し、この仮面は『文明人が炎を使って打った鉄』であると説明した。
しかし『仮面』という性質上、スーツと仮面とに隙間があるため隙間に攻撃を差し込むことが出来ればダメージが通る。
圧倒的な性能を持つため、本来は気にならない程度の欠点だがハッタリと状況を駆使した浜面にそこを突かれ、派遣された3体共が撃破されてしまった。
なお、撃破された部隊の『仮面』は学園都市との交渉素材の一つとするために浜面達が回収している。
これだけの規格外装備であっても『敵陣に派遣してきた』という事実から学園都市にとっては「知られてもどうとでもなる」程度の重要度のようだ。
新約4巻において木原病理が使用。
上述の『仮面』やスーツといった身に着ける装備ではなく、肉体の全身に『未元物質』による改造を施しており、心臓を潰されようが肉体を潰されようがコマンド一つで修復可能なほどに強化されている。
肉体の一部をイエティやスカイフィッシュといった未確認生物の推定肉体構造に変形させる事で常人離れした戦闘力を得る事まで可能。
しかしこの「未元物質による肉体改造」という利用法には大きな欠点がある。
というのも第二位が製造させられた『未元物質』には必ず第二位としての『匂い』が残り、それを取り込んだ病理の肉体は移植手術の拒絶反応のように病理の意識を作り物の体の外に追い出そうとしてしまうらしく、結果的に肉体への『未元物質』の移植と変形行為には使用限度が生まれ、やがて自滅してしまう。
病理はこの自滅的な変形の繰り返しと木原加群の術式により、最終的に死亡した。
白いカブトムシ
垣根帝督が進化した『未元物質』を用いて作り出した兵器。
垣根の指示に従い、自律的に行動する。
その名の通りカブトムシを模した外見をしているが外見は『未元物質』と同様に真っ白で全長15mもの巨体を誇る。
生物学的な緩やかな物もあれば急な物もある曲線だけで構成されたフォルムであり、表面は新車のようにつるりとした光沢を放っている。
瞳からは緑色の光が放たれ警戒時には赤色に変化する。
背部の装甲を展開すると薄い羽が展開され高速振動で空気を攪拌する事で擬似的な発声を行ったり、衝撃波を放ったり逆に相殺したりする事が可能。
垣根とは常時リンクが繋がっており、機体が損傷しても『未元物質』を供給することで瞬時に復元される。
その一方で自己修復する前提だからなのか、装甲の強度そのものはそこまで高くない。
太い角は砲身になっており中央は空洞。
発射にはスプリング式を採用しており火薬の類は搭載していない。
技術自体は昔から存在したものだが『未元物質』の力で補強することで大きな威力を発揮させている。
また、砲弾の炸裂についてはスポンジ状のスプリングで砲弾外周の硬化皮膜を炸裂させる方式が採用されている。
「火薬を自身で製造することが出来ない」という欠点を補うための方式だが、その反面、普通の砲撃が起こす「衝撃波による副次的な破壊や音響効果」は苦手としており、通常砲弾と比較して36%~50%前後の効果しか期待できない。
死者の複製
周囲の建材の磨耗をレコードのように読み込み擬似的な読心能力を使用する事で、その場で死亡した人物の表層人格を模倣。
それに未元物質で肉体を与える事で擬似的な死者の複製を可能とする。
作中ではかつて絶対能力進化計画にて実験が行われた現場の一つに訪れ、そこで死亡した妹達の残留思念を読み込む事で複製し一方通行を揺さぶった。
あくまで未元物質で形作られた人形であり、垣根の私事で自在に操作できる。
サンプル=ショゴス
南極調査活動で偶然発見された新種の寄生生命体で、その不気味な容姿から暫定的に『サンプル=ショゴス』と称されていた。
大学側からの客員研究員としてチームに参加していたパトリシア=バードウェイに寄生し学園都市が後方支援として参加していた事から最初は『外』の協力機関へ、その後たらい回しにされて学園都市内部まで送られた。
寄生すると宿主の全身の脂肪を溶かして空いたスペースへ潜り込み栄養の蓄積と分配をショゴスが脂肪に代わって行う。
下手に摘出しようとすれば暴れ回って体構造はズタズタにされるし、仮に上手く取り出せても残っているのは脂肪を失った宿主の抜け殻のみで体力が回復する前に衰弱死してしまう。
また、普段は体内で分散して鳴りを潜めているが害意を感じたり攻撃性を見せると宿主の皮膚に亀裂のようなものを入れて外部へと姿を現し自らの身を割り裂いて鋭い爪のようなもので反撃を行う。
完全に戦闘態勢に入ると全身が宿主を包み、不定形な真っ黒な塊となる。
その外見は深海に揺蕩うタコのようにも包丁で切り分けられたぶよぶよの脂肪の塊にも、たるんだゴムの膜を裏側から炙ったようにも見える。
表面は不気味に泡立ち、目玉とも吸盤とも言えない何かが聞いた事もない毒を持つカエルやトカゲの極彩色ように黄色か緑か、ぬめった夜光塗料めいた光を明滅させている。
攻撃の際にはいくつもの牙が乱雑に生えた大口の形をした捕食器官を展開する。
最終的に田妻暮亞の能力で脂肪を補いつつパトリシアから摘出される。
摘出された端から幻想殺しで消されていくサンプル=ショゴスは最期のあがきとしてパトリシアの背中側から地中を回りこみ、その場の全員に奇襲を仕掛けることに成功。
サンプル=ショゴスからすれば自身が未だ巣食っているパトリシアの命を盾にした攻撃だったのだが不意をつかれた上条は思わず後先を考えずに幻想殺しを叩き込んでしまい、サンプル=ショゴスは僅かな残骸を残して消滅。
一方パトリシアは「神様らしく奇跡を起こす側でありたかった」と自覚した『魔神』ネフテュスの現世最期の奇跡で救われた。
後に上里が木原脳幹と対峙した際に、このサンプル=ショゴスについて言及。
その正体は「変色した『未元物質』」であると推測している。
後に、復讐鬼と化した木原唯一が上里翔流からの『理想送り』奪取と、それに伴う外科的施術のためにこれを利用。
上里の右手を奪取したのみならず、肉体の再生や攻撃にも利用されており『魔神』の形状の再現も行っていた。
上記の推測が正しければ、体にEqu.DarkMatterを埋め込んだ木原病理とは好対照をなす。
Attachment DarkMatter
超電磁砲142話に登場した物質。
アンティキティラ社が開発し、下部組織であるモンゴルフィエ社に実験データの収集をさせていた
機械的な手法のみで能力の再現を掲げており、様々な能力の再現には成功している。
だが奇跡的に入手できた垣根帝督の過去の生体資料を元に研究を進めていたが、その精度は入手当時の垣根と比較しても遠く及ばず、現在の垣根帝督を入手することも不可能であるため多種多様な能力とすりあわせて多角的に解析する必要があった。
そのため生成されているのは“学園都市の能力で生成可能な物質”であり、本物の未元物質の再現は未だ出来ていない。
最終的には『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を組み込んだ機械を創ろうとしている。
趣向としてはファイブオーバーシリーズに似通っている。