ババロン
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ばばろん
ババロン(Babalon)とは、アレイスター・クロウリーの創始した「セレマ」における神格。
アレイスター・クロウリーが用いた英語での発音は「ババロン」だが、日本語媒体では「ベイバロン」表記もみられる。
大淫婦バビロンをイメージソースとしており、この象徴と同様に獣(セリオン、マスターテリオン)に乗り、聖杯を持つ。
女性の性欲の解放、豊穣を司り、創造と生命の原理であるカオスの配偶者である。
しかし自身が跨るセリオンを愛人とし、彼女が握る手綱は両者を繋ぐ情熱を象徴する。
ババロンは地上における肉ある者を化身とし、そうした女性は「緋色の女」と呼ばれる。
自らをセリオンと同一視するクロウリーは、生涯において妻や恋人だった女性たちの何人かをこの「緋色の女」であった、あるいはそうだったかもしれないと述べている。
クロウリーが「緋色の女」と結び付けた女性たちは彼と魔術において繋がっていたり、共に儀式を行ったりした人物である。
セレマには性魔術の要素も含み、性交渉を宗教儀礼として含んだ古代メソポタミア、地中海近辺地域の豊穣の女神を想起させる。
イシュタル、イナンナのような女神は、大淫婦バビロンのイメージソースになったと考えられている。
『ヨハネの黙示録』においては極めて否定的に扱われていたこのシンボルを、肯定的に捉えなおしたものがババロンと見ることもできる。
セレマの儀礼「グノーシスのミサ」ではエジプト神話のイシス、マアト、インド神話のバヴァニ(パールヴァティーの一側面)と結び付けられる。
彼女はこうした母なる女神を体現するものとしてカバラの生命の樹(セフィロト)のセフィラーの一つ「ビナー(理解)」と見なされた。
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